オリオンの真下春立つ雪の宿
真っ先に断っておくが、表題に掲げた句は、今日の日記の主人公である、前田普羅のものである。
どうやら、旧奥田村の道を歩き回りつつ、まさに奥田村から立山連峰を眺めたりして詠んだ句のようである。
雪の宿は、雪の降り積もった普羅の家のこと。
← 中坪 達哉 (著) 『前田普羅―その求道の詩魂』(桂書房)
さて、ここからが本題である。
過日、「奥田村における國重知事の住居について」といった記事を書いた。
我が郷里を含む地域の古い地名である「奥田村」に在住していた知名人ということで、國重知事が取り上げられていた。どうやら、知事の公館の正確な場所を確かめる資料が見出せなかったらしい。
県の公文書館でも分からなかった、という返答だったらしい。
小生は、地元や県に情報がないなら、同知事の郷里の地に問い合わせる手間位は取ってみてもいいのではと、意見を具申した。
さて、ついでながら、奥田村界隈には、もう一人、忘れちゃいけない人がいるんでは、という言わでもがなの意見も表明しておいた。
それは前田普羅で、高浜虚子の高弟の一人であり、富山を終の棲家にせんと、移り住み、最晩年の二年を除き、実際、奥田村に長く住んでいたのだった。
小生が東京在住時代から、彼に注目していて、確か、本ブログでも取り上げたことがあったはず。
当然、奥田村界隈の人なら知っているはず(だから、言わずもがなと書いたのである)。
小生の家からも、歩いて行ける場所にあったらしい。
そのことは、掲げた本にも書いてある(著者の家からも歩ける範囲にあったとのこと)。
上掲の記事でも書いたのだが、初代知事や俳人らが移り住むというのも、昔は風光明媚な土地だったから、選ばれたらしい。今では面影をたどるのも難しいが。
ただし、ゆかりの地は、今では奥田という地名ではなくなっている。
というわけで、昨年師走半ばの回覧板で奥田村界隈のことが話題に上った際に、前田普羅を思い出し、俄かに小生の中で小さなマイブームが到来したのである。
すると、まるでそんな小生の前田普羅熱に呼応してくれたかのように、新聞に正津 勉著の「山水の飄客 前田普羅」(アーツアンドクラフツ)なる本の広告が載ったではないか。
早速、買い求めに書店に走ったが、見いだせない……と思った矢先、郷土の本のコーナーに、その前にこれを読めよとばかりに、中坪達哉著の『前田普羅―その求道の詩魂』(桂書房)が目に飛び込んできたのだった。
実は、正津 勉著の「山水の飄客 前田普羅」(アーツアンドクラフツ)のほうは、一月刊行予定で、書店にあるはずはなかったのだった。
本書中坪達哉著の『前田普羅―その求道の詩魂』については、「めぐり逢うことばたち 俳誌「辛夷」の《4月17日》 (1)」や「めぐり逢うことばたち 俳誌「辛夷」の《4月17日》 (2)」が非常に参考になる。
拙稿に「前田普羅のこと(前編)」「前田普羅のこと(後編)」がある。
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