泰淳やら『生物界をつくった微生物』やら
戦争法案が通過してしまった。アベ政権は、今年にも憲法の改悪を狙っている。
戦争を知らない連中が突っ走っている。だからこそ、戦争を知る世代の本を読まないと。日本(軍)が中国でどんな野蛮なをやったかは、当事者らに聞くしかない。
← 武田 泰淳【著】『評論集 滅亡について 他三十篇』(川西 政明【編】 岩波文庫)
ということで、まずは、武田 泰淳著の『評論集 滅亡について 他三十篇』を読んでみた。
泰淳の本は、若いころ、日本文学全集の中の泰淳集などで読んだり、文庫本でも読んできた。
特に、高校一年の現代国語の授業で、現代国語のN先生が泰淳の「ひかりごけ」を話題の俎上に乗せ、未だに印象に残っている。
同じく、その先生の余談の中で知った言葉に、「アインデンティティ」がある。
高校一年生だった自分に、哲学(や宗教)への関心を掻き立てられた、切っ掛けの言葉であり、講義だった。
高校一年の時に読んで感激した、ブロンテの『ジェイン・エア』で、世界一級の文学作品に圧倒され、それまで読んできた内外の作品との次元の違いを思い知らされたことなどとも相俟って、自分を文学へ哲学へ、宗教へと駆り立てたのだった。
さて、泰淳は、お寺の子として生まれつつも、お布施をもらうこと、髪を剃った異形の姿に違和感を覚え、悶々とする中、軍人として中国(シナ)へと向かわされる。中国人の死骸の山を見、それが日本人(軍人ら)の仕業だと思い知る。
戦争となったら、人間は何をやりだすか、想像を絶するものがある。
蛮行が日本人だけが行ったとは言わない。ただ、やってしまったことは消せない。消せる、知らん顔で恍けられると思っているのは、右翼の連中くらいのもの。世界は、日本が歴史にどう向き合うかを見ているのだ。
昨年末から上掲書とほぼ並行する形で自宅では、ニコラス・マネー著の『生物界をつくった微生物 』(小川真[訳] 築地書館)を読んできた。今日にも読了の見込み。
← ニコラス・マネー[著] 『生物界をつくった微生物 』(小川真[訳] 築地書館) 「生物界をつくった微生物」には内容説明がある。
先日、記したように、ノーベル生理学医学賞の大村智氏が着目した「放線菌」 ということで、脚光を浴びている…はずの微生物の本を入手。
かなりレベルの高い本。だが、地球大気の温暖化は、微生物などの活動にも大きく影響し、さらに、そうした微生物の活動が大気に影響するなど、興味津々の本でもある。
素養のない小生ごときが、下手な感想など書くのはよす。
「生物界をつくった微生物 紀伊国屋書店」での説明が簡にして要を得ている:
何世紀もの間、我々人類は自分が目にした動物や植物をもとにして、生物の世界を描いてきた。顕微鏡が微生物の隠れた世界を垣間見せてくれたが、微生物世界の真の大きさとその重要性に光が当てられたのは、ここ10年ばかりのことである。
人体、樹木、海水や海底の泥、土壌や湖沼や河川、大気などのすべてが、微生物に満ちあふれている。しかも、その活動は地球の歴史とともに、生物圏を形作り、維持するのに必要不可欠なものなのだ。微生物は、我々自身にとっても必須の存在であり、食べ物を消化するという点で膨大な数の微生物に頼っているのだ。
著者のニコラス・マネーは、地球上の生物に対する考え方を、ひっくり返さなければならないと説く。葉緑体からミトコンドリアまで、生物界は微生物の集合体であり、動物や植物は、微生物が支配する生物界のほんの一部にすぎないのだ。
著者は単細胞の原核生物や藻類、菌類、バクテリア、古細菌、ウイルスなど、その際立った働きを紹介しながら、我々を驚くべき生物の世界へ導いてくれる。また、繊細で美しい植物プランクトンから、空気中の菌の胞子や土の中にいる空中窒素固定細菌、海底の黒い噴出孔にくらす極限環境微生物の古細菌に至るまで、地球上のあらゆる場所に微生物が満ちあふれていることも教えてくれる。
肉眼では見えない小さな生物の大きな世界へ想像の翼をひろげよう。
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