堀田 善衞著の『時間』を読み始める
過日、武田 泰淳著の『評論集 滅亡について 他三十篇』(川西 政明【編】 岩波文庫)を読んだ。
→ 「夏景山水図」 作者不明 宗時代 絹本墨画淡彩 「身延山久遠寺-身延山宝物館」で見ることができる。ある雑誌でこの図を見たが、実物はまだ。間近でじっくり眺めたい。 (画像は、「久遠寺 - Wikipedia」より)
次いで、これまた、戦争法案が通過。憲法の改悪も目前。戦争を知らない連中が突っ走っている。だからこそ、戦争を知る世代の本を読まないと。日本(軍)が中国でどんな野蛮なをやったかは、当事者、せめて同時代を身近に知る人たちに聞くしかない、ということで、堀田 善衞著の『時間』(岩波現代文庫)を読み始めた。
古い本だし、どうせ書店では見つからないだろうなー、古書店で探すしかないかなーと、それでもダメもとで探していたら、なんと平積みされている形で本書が陳列されているではないか!
どうやら、辺見庸氏が(『1★9★3★7』に集約される、ある)雑誌の連載の中で本書に言及されていて、急遽、復刊と相成ったらしい。
さすが辺見庸氏であり岩波書店だなーと感心。時代に危機感を抱く良心的な作家や出版社もあるものだ。
本書の感想は後日として、こうした南京虐殺を採り上げる堀田の覚悟を感じる。
「南京事件 (1937年) - Wikipedia」によると、「南京事件は、日中戦争(支那事変)初期の1937年(昭和12年)に日本軍が中華民国の首都南京市を占領した際(南京攻略戦)、約6週間から2ヶ月にわたって中国軍の便衣兵、敗残兵、捕虜、一般市民などを殺したとされる事件」である。
近年、右翼やタカ派の連中は、南京事件について、日本軍が虐殺した数は、中国が唱える数よりずっと少ない云々と、極力矮小化しようとしている。教科書の記述も修正(隠蔽)しようと企てているようにも見受けられる。
一方、日本の一部の連中の思惑とは別に、「2015年10月9日、ユネスコは「Nanjing Massacre (南京虐殺)」を巡る資料を記憶遺産に登録することを決めた」のは記憶に新しい。
日本国内では権力や暴力で言論を封殺できても、海外の目はごまかさせない。むしろ、そうした営為は見苦しい、國としての品位を疑われる。ドイツを見習え、と言いたい気分である。
それもこれも、戦争を生きた世代が少なくなり、政界にも皆無に近くなったから、戦争を知らないアベ一派らの好き放題なわけである。
← 堀田 善衞【著】『時間』(岩波現代文庫)
「映画『ジョン・ラーベ』再考① 朝香宮中将宮殿下を巡る表象と実相青空帝国」によると、「朝香宮殿下が指揮をしていた上海派遣軍の直属の師団が南京事件に深く関与している。指揮官は中島今朝吾陸軍少将であり、多くの記録を検討しても中島少将の戦 時国際法に抵触する戦争犯罪責任は逃れようもない」のであり、「投降した中国兵捕虜を全員、処刑にしてしまうという措置は朝香宮殿下の司令部より口頭で発令されたという説がある」という。
それだけに、一部の連中は、事件を風化させるか隠蔽するか、極力矮小化するか、あれこれ画策しているのだろう。見苦しい限りだ。
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