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2015/12/20

タカ派日本の行く末は

 世はタカ派が持て囃される傾向にあるような気がする。ロシアはプーチンが皇帝ぶりを発揮しているし、アメリカも、実業家のドナルド・トランプ氏が過激な発言を繰り返すことで支持率を高めている。
 ヨーロッパ各国も、タカ派や右翼勢力が伸びてきている。
 日本は言うまでもない。現首相にしても、彼が期待を寄せるハシモト氏にしても、そもそも政権自体が右翼であり、タカ派そのものだ。
 なんてことを書きながら、では、タカ派の定義は? 右翼って何? と問われて、正確な定義づけはできない自分がいる。これじゃ、論議など成り立たないではないか。
 そうはいっても、そんな神学論争をしている間に、世の中はどんどん右傾化し、タカ派がのさばるのをこのままでいいわけがいいはずがないと思う。

 定義などは後回しだ。危機感を覚える、そのことが先決だ。
 自分が正しいと思い、思うだけならまだしも、反論したり、違う立場を主張するものを排除する。
 自分たちは一枚岩だと思い(思いたいのだろう)、自分の国は単一民族の国、一つの宗教の支配する国だと思い込んでいる。
 自分たちは正しいことを主張しているのだし、正しいことを為そうとしていると信じている。

 信じるている事柄自体の是非など問わない。
 自分の拠って立つその立ち位置の自覚や反省は皆無である。疑ってはならないのである。他者からの容喙など全く受け入れる余地がない。
 自分たちの仲間が全てであり、それ以外は、他者であり、せいぜい、従者であり、敗者、被支配者、ただの盲目なる群衆、羊の群れなのである。

 日本ほどに排他的な国はない。難民はもちろん、移民も受け入れる余地がない。仲間だけの輪を死守しようとする。お客さんとしての他者(観光客)は、どんどん受け入れる。おカネを落としてくれる限りにおいて、日本を侵さない限りにおいて、歓迎はする。
 しかし、あくまで客であり、客としての他者は、丁寧に応対し、優しくもてなす。
 そう、日本一部の人の言う「おもてなし」は、あくまで客に対する応対の話だ。庭の一部へ、時には玄関の一角までは、あるいは思い切って客間までは通すが、目に見えないスクリーンやカーテンや、バリヤーで内側の世界とは一線を画している。

 自分たちだって、そんなに遠くはない過去において、北方大陸の何処か、中国か朝鮮、あるいは東南アジアの何処か、ぶっちゃけ、倭寇ってくらいで、要は東アジアの海域などで活躍していた海賊の末裔なのだ。
 要は、想像以上に多様な宗教や民族的背景をもった人々の集合体であり、今もって、多様な遺伝子を保持しているらしい。
 でも、タカ派の心性においては、神代の昔から貴き血筋の繋がるやんごとなき方々を中心とする、単一民族であり、神話の国なのであり、純粋無雑の国、間違えることなど一度もなかった国なのであり、美しき国、うまし国なのである。

 他者は信じない。己は決して疑わない。反省の余地はない。間違っているのは、常に他者であり、汚れているのも他者なのであり、己たちこそが指導者なのである。
 聞き分けのない連中など、場合によっては天誅を加えても構わない。自分たちが他者を罰するのは天誅であって、テロではない。見廻組や、まして新選組は決してテロリスト集団などではない。命を懸けたヒーローの集まりなのだ。
 彼らの蛮行でいったいどれほどの有為な人材が失われたか、なんてことは夢にも思わない。
 明治維新は、数少ないヒーローたちによって為し遂げられたなんて、夢のような話を信じている。

 タカ派というのは、敢えて肯定的に捉えるなら、彼らは臆病者の心性が強いのだと思う。時代の変化やその危機が高まっていることへの敏感なアンテナを持っているのだ。
 ただ、臆病なので、変化を受け入れることができない。包容力が皆無なので、他者の入り込む余地などない。
 ひたすら己たちが正しい、善意に溢れた、世の指導者たるに相応しい、選ばれた人間なのだと信じている。
 根拠のまるでない自信と思い込みが全てなのだ。

 世の変化に怯える人々の増加、それがタカ派の台頭を齎している。さも、自信ありげな振る舞いが何か頼りがいがありそうに見えさせる。
 でも、根本的に見当違いを犯している。タカ派には、自らの立ち位置を疑う勇気、自分とは違う人間たち、宗教であれ政治的立場であれ、民族であれ、そういった人々が想像以上に世界にはいるのだということを認め、何とか自らのテリトリーの中においても、共生共存することを選ぶ勇気だけはない。

 自らと他者との間の隔壁だけが高くなり、頑丈になっていく。ちょうど、イスラエルがヨルダン川西岸地区との境界のすぐ外側に建設中の分離壁のようなものだ。
 そうした振る舞いは、日本を密室化させる、密封させ、窒息させてしまう。自殺行為なのだということが気づかないのだ。
 でも、大変貌を遂げつつある世界の脅威を前に、虚勢を張るしかなく、その実立ち竦むだけのタカ派やその言動に追随する日本は、アベノミクスで上げ底の景気浮揚策をどれほど取ろうと、議論を無視する政治だけじゃなく、経済や文化までもが先細りし委縮し、挙句は、その果てに衰亡が待っているだけに違いない。

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