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2015/10/29

堀田 善衛 著 『定家明月記私抄』 の周辺

 藤原定家の著した『明月記』を読了した……と言いたいところだが、小生ごときの学力では、ほんの数行でも何か月を要することやら。

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← 堀田 善衛 (著) 『定家明月記私抄』 (ちくま学芸文庫)

 読んだのは、堀田 善衛著の 『定家明月記私抄』 で、数年ぶりに手にしたので、再読ということになる。
 やはり、読みごたえがあった。近く、続編も読むことになるだろう。

 実際、「17夜『定家明月記私抄』堀田善衛|松岡正剛の千夜千冊」において、松岡正剛氏は、「大原三寂に会いたいなら、西行に会いたいなら、藤原俊成を知りたいなら、後鳥羽院と付き合いたいなら、そして藤原定家を身受けするなら、この本を読むしかない」と言っているほどの本なのである。小生が再読・三読したって、足りないくらいだ。

 小生は、ツイッターなどで、以下のように呟いている:

後鳥羽上皇の時代。親鸞や法然(らの教え)が急激に民衆の支持を得、源氏が勢力が勃興し旧体制が崩れ始め、世相は混乱の極にあった……のだが、宮中の人々は遊びと現状維持に汲々するするばかり。定家は、美のための美…シンボリズムの粋を極めようとしていた。王朝文化とはいかなる風にして成り立ったか、その一端が本書を手にして感じられた気がする

堀田善衛著の「定家明月記私抄」を読了した。時代の転換期にあって、民衆は塗炭の苦しみ。が宮中は狭い世界の保身のみに汲々し、定家の手により「新古今和歌集」が。
 」
 本書を読むと、和歌論から政治、宮中文化のこと、武家と公家の軋轢、時代の変化、何故、法然や親鸞などの鎌倉仏教が勃興したのか、などなど、実に視野が広いし、定家(の「明月記」)を巡る中で骨太に時代を感じさせてくれる。
 やはり、名著だ。

 ここでは、「明月記」のほんの周辺を垣間見るだけにとどめておく(それ以上のことは小生の手に余る!)。

藤原定家の日記 『明月記』(ふじわらさだいえのにっき 『めいげつき』) | 京都国立博物館 | Kyoto National Museum」や「明月記 - Wikipedia」などを参照しつつ、『明月記』の周辺を巡ってみたい。

 まずは、定家だが、「さだいえ」と読むのが正式らしい。自分はずっと(もしかすると、今後も)「ていか」と読んできた。
 また、「『明月記』の名は後世の名称で定家が命名したものではなく、当人自身は「愚記」と読んでいた」とか。

「当時の日記は公家が公事故実や家職家学の知識を子孫に伝えることを作成目的の1つとしていた」が、「日記に自分が思ったことや、感じたことをつけるようになっていくのは、朝廷での会議・儀式が次第に形式化していった平安時代も後半になってからのことで」、「定家の家は「日記の家」と呼ばれる家記(代々の日記)を通じて公事に関する有職故実を有していた家系ではなく、政治的な要職にも恵まれなかった。そのため、定家は『明月記』の中に自らが体験し、収集した知識を多く書き残して自身、あるいは子孫が「日記の家」として重んじられることを期待していたと見られている」のだが、「定家子孫で唯一存続した冷泉家とともに『明月記』のかなりの部分が伝存されたものの、その冷泉家においても『明月記』は歌道・書道の家の家宝とされ、定家が子孫に伝えたかった有職故実については顧みられることがほとんど無かったのである」。

 そのことは、定家自身、自覚していたようで、筆跡にもどこか投げ遣りなところが垣間見られるような。

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← 堀田 善衛 (著) 『定家明月記私抄 続篇』 (ちくま学芸文庫)

 実際、「のちの時代になると、定家は歌人から神様のように崇(あが)められるようになり、その結果定家の和歌だけでなく筆跡(ひっせき)までをもまねることが大流行します。定家の名を取り「定家流(ていかりゅう)」と呼ばれた書風(しょふう)で、日記に見えるかなり変わった筆跡がまさにその原形となるわけです。でも定家自身は、決して自分の字を上手とも思っていなかったようで、「鬼(おに)」のような字だと『明月記』に書いてい」るとか。

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