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2015/09/30

畑を店じまい

 表題を「畑を店じまい」としたが、別に畑を止めたってわけじゃない。
 今年度の畑作業を終了としたってことである。

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→ 去年の田は夢かとばかり舞うトンボ  (や) (画像は、拙稿「案山子…去年の田は」(2005/10/01)より)

 何度となく書いたけど、小生が畑仕事を続けているのは、親が残した唯一といっていい財産だからである。ほとんど親孝行らしいこともしなかったし、自分が郷里を離れていたことで、親は先祖代々続けてきた稲作を、田圃一枚、また一枚と手放し、十年ほど前、最後に残っていた田圃も、とうとう手放してしまった。

 自分が田圃を続けないと見限ったのだろう。鉄道一筋で生きてきた父は、田圃も母と二人、細々と続けてきた。 小生が家のことを手伝うのは、五月の連休やお盆休みの時だけ。だから、せいぜい、草むしり程度。五月の連休時には、そのころは、田植えが連休後に奨励される前だったので、小生も田植えを五十台になって経験することができた。

 田圃に素足で入って、耕運機を使うこともあったけど、手植えをしたこともあった。ささやかながらでも、田植えを経験できたことは気持ちの上での財産である。
 田圃は手放したが、わずかばかりの畑だけは、父が続けてきた。最後の数年は、母は体が不都合で、手伝うことができなかったのだ。

 その父も、最後に畑作業をやったのは、死の前年である五年前、ほんの一度か二度だけ。無理が祟って、その日から熱が出て寝込んでしまった。
 なので、五年前からは小生が畑仕事をやることになった。

 上記(前記)したように、小生、野菜が嫌いである。それでも、畑を続けるのは、畑を畑として維持したいという、男の意地である。
 野菜を収穫しても、少しも嬉しくはない。ナスやキュウリなど、浅漬け分を手元に残して、大半は人様にあげてしまう。というか、もらってもらう!

 要は収穫が目的ではなく、あくまで畑(の機能)を維持すること自体が目的なのだ。どこまで続けられるかわからないが、体が動くまで、ということになるのだろう。

 その実、野菜を食べないのだからと、一昨年から徐々に果樹園っぽく畑の機能・役割を変えてきている。

 一昨年、クリを3本植え、昨年もクリを3本追加で植えて計6本となった。
 今年は、キュウイ、ナシ(リンゴ)、アンズ、と、それぞれ一対乃至1本ずつ苗木を植え、一気に果樹の種類が増えた。キュウイは、庭の隅っこに育っていたのが、父母がなくなった4年前の秋に死滅してしまった。
 なので、思い出の意味を込めて、畑に改めて番で植えたのである。今年は実はならなかったが、ツルが絡まるように生え伸びて、葉っぱも元気だし、見るからに壮観である。

 果樹も、別に収穫が目的ではない。生ったら収穫するかもしれないけれど。
 庭の隅っこには、カキやミカン、梅などが一本ずつ、乃至数本、育っている。年によっては収穫の恵みを手にすることもあったりして、結構、楽しい。

 ということで、徐々に畑から果樹園っぽく変貌してきているが、とにかく、今年も畑のほうは店じまいした。
 支柱を取り払い、ネットを外し、野菜の枝葉を根っこから引っこ抜き、抜いた枝葉を、休耕状態の畑に堆積させ、その上に防草シートを被せ、来年度まで寝かせる。
 うまくいけば、植物たちは腐って、立派な肥しに変化してくれる……はずである。

 雑草の類は、食べ物の残飯も併せ、一切、捨てない。コンポストに突っ込むか、畑か庭の隅っこの穴などに放り込んで、時間が肥しに変化させるのをただ、待つばかりである。
 とにかく、野菜たちで賑わっていた畑は、果樹数本を残し、真っ新になってしまった。畑一面に真っ黒の防草シートを被せてあるので、黒一色の畑で、一層、淋しい光景となっている。

 まさに、あの賑わいはどこへやら、祭りの後の閑散ぶりを痛いほど感じるばかりである。
 来年度も(鬼が笑うかもしれないけど)、畑で野菜作りを続けることができるだろうか、それこそ、先のことは分からない。今はただ、ちょっとだけ、当面の作業が終わってホッとしているところなのだ。

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コメント

こんばんは。
やいっちさん、頑張れ!

投稿: シゲ | 2015/10/03 20:38

シゲさん

畑を畑として残していく。
野菜が好きだったら、やりがいがある。
でも、ね。野菜嫌い。
畑を維持するには、やはり、野菜を好きにならないといけない。
あるいは果樹。
誰か、手伝ってくれないかなー。

投稿: やいっち | 2015/10/04 20:10

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