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2015/09/02

ボラーニョ 著『2666』と映画「ボーダータウン 報道されない殺人者」

 先月より、ロベルト・ボラーニョ 著の『2666』(白水社)を読み始めている。
 この大部の小説の主な舞台は、メキシコのサンタ・テレサである。

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← ロベルト・ボラーニョ 著『2666』( 野谷 文昭 やく /内田 兆史/久野 量一 訳 白水社) (画像は、「2666 - 白水社」より) 「現代ラテンアメリカ文学を代表する鬼才が遺した、記念碑的大巨篇」だとか。ラテンアメリカ文学は、依然として輝いている。読み始めて数日。ようやく300頁を越したところ。いよいよ、異常な犯罪多発を扱う章に入る。カバー画は、ジュール・ド・バランクール

 サンタ・テレサなる町は、いろんな国にあるのだが、小説の上ではメキシコ北部のアメリカとの国境を接する街とされているが、架空の町である。

2666 (小説) - Wikipedia」によると、「『2666』は謎の作家アルチンボルディについての批評家たちの会話に始まり、幾つかの場面と状況が異なる五部によって構成されている。複数の視点を通して、メキシコ北部のアメリカとの国境を接する街サンタ・テレサで発生した未解決の連続殺人事件が描かれ、最後には、第二次世界大戦の東部戦線で起きたユダヤ人の虐殺を経て、サンタ・テレサの連続殺人事件へと再び回帰していくまでの軌跡が描かれる、という構成になっている」。 

 物語は、「全てはファレス街で発生した少なくとも三百人の若い、貧しい、大部分は無教育のメキシコの女性(小説の中ではサンタ・テレサとされている)が殺害された、未解決の殺人事件に対する関心の程度を変えることによって繋がってる」。
サンタテレサ - Wikipedia」によると、サンタテレサ (スペイン語・ポルトガル語 Santa Teresa)とは、「聖テレサの意で、16世紀のカトリックの聖者アビラのテレサをいう。ラテンアメリカにはこの人物にちなんだサンタテレサという町が多い」とか。

メキシコ麻薬戦争 - Wikipedia」によれば、「メキシコ検察当局の発表によれば、2011年9月までのおよそ5年間に麻薬組織による犯罪や抗争に巻き込まれるなどして4万7515人が殺害されている」という。
「メキシコの麻薬カルテルや麻薬密売組織は何十年も前から存在していたが、1990年代にコロンビアのカリ・カルテルおよびメデジン・カルテルが壊滅したことによってより強い力を付け始め」、「麻薬カルテルはアメリカにおける麻薬の輸送ルート確保にいっそう力を入れるようになったため、麻薬にかかわる暴力事件はむしろ増加傾向にある」という。

 この小説もメキシコのこうした現実を背景にしている。
「アメリカ合衆国国務省は、コロンビアで生産されメキシコを経由してアメリカに流入するコカインは全体の90%にも及ぶと見積っている」というのだからすごい。
 このあたりについては、「国境の街 シウダー・フアレス - メキシコ麻薬戦争」なども参考になる。

 関連して、「ファレスにおける「報道されない殺人」/アルコムワールド」によると、「テキサス州のエルパソからメキシコに入ってすぐの町、ファレスで1993年以来500人以上の女性が殺害され、行方不明も入れると5000人にも及ぶ婦女暴行殺人事件があること、そのほとんどは未解決のままであることを「リマインダーズ・プロジェクト」の記事で知りました。被害者の多くは他の地域から来て「マキラドーラ」で働く労働者なのだそうです」だって。

 ボラーニョ 著の『2666』でも、全5部のうち、第4部は、「犯罪の部」となっていて、この「犯罪についての部では1993年から1997年までの間に数十人の女性がサンタ・テレサで殺害された事件について綴られる。それは同時に警察当局の実りの無い捜査についても書かれている」のだが、まさに実態を踏まえての筋立てになっているということだ。
 このあまりに深甚なる事態は、多くの人の心を痛めさせている。

 実際、「ボーダータウン 報道されない殺人者」なる映画があるくらいである。

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→ 「ボーダータウン 報道されない殺人者」 「メキシコで起きている実際の連続女性殺害事件をもとに、国家の闇を鋭く批判するサスペンス』映画。「メキシコとアメリカの国境の町フアレスで起こっている連続女性殺人事件を追う敏腕記者ローレンは、現地で新聞社を経営する元同僚ディアスを訪ねるが、そこでメキシコの汚職にまみれた情報操作の実態に直面する」というもので、まさに小説『2666』ともテーマが重なる。こうしたメキシコの実態に切り込むというのは、作家にしても命がけのこと。 (画像は、「ボーダータウン 報道されない殺人者 : 作品情報 - 映画.com」より)

 恥ずかしながら、小生は、この小説の背景など一切知らずに本書に手を出した。どうしてこの小説がこんなに高く評価されるのか、読み始めるまで、また、今日のように、周辺を調べるまで全く知らなかった。
 いよいよ、今日から「犯罪の部」に突入する。現実の犯罪とだぶらせながら、読んでいくことになる。こんな読み方は、小説読みとして邪道なのだろうが、テーマがテーマだけに仕方がない。

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