『椿姫』を読んだ…次はオペラ?
シルバーウイークとも呼ばれている、この秋の連休中、仕事で二回、出勤した。休みの日は、庭仕事に畑仕事なので、一日もまともには休めなかったことになる。
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休む……というと、仕事中くらいのものか。
暇というか、仕事柄、待機中という時間帯が多い。特に連休中は、仕事が少ないので、自然、車中で燻っていることが多かった。情けないし、淋しくもある。
その分、読書が進んだ。これは嬉しい…というより、残念なことなのだろう。
で、二回の出勤日、車中に持ち込んだのは、デュマ・フィス 著の『椿姫』 (新庄 嘉章 訳 新潮文庫) である。
最初の日は、160頁以上、二回目の出勤の日は、二百数十頁も読めて、最後、あと30頁あまりを残すだけになり、帰宅した夜に、就寝前に読了と相成った。
全部で430頁ほどの小説を二日の出勤日でほぼ読了したことになる。
まあ、読みやすい小説だし、意外と面白かったので、車中での待機中の居眠りがもっと少なければ、軽く読了できていたことになる。
デュマ・フィスの名作『椿姫』を新庄 嘉章氏の訳で読んだわけである。
新庄 嘉章氏の訳には、昔、ずいぶんとお世話になった。
アンドレ・ジイド、ギ・ド・モーパッサン、ロマン・ロラン(中学生の頃、『ジャン・クリフトフ』をベートーベンを想いつつ、せっせと読んだのを思い出す)、ラディゲ……。バルザックもいくつかの作品は、新庄 嘉章氏の訳で読んだような。
『ケイン号の叛乱』(ハヤカワ文庫)も、新庄氏だったと記憶しているが、こちらは新庄哲夫氏だったかもしれない(自信がない)。
作者のデュマ・フィスは、『三』『モンテ・クリスト伯』などの作者アレクサンドル・デュマと、あるベルギー婦人との間に、私生児としてパリで生まれた。
この生まれが彼の人間性や作家の性格付けをなしているようだ。実際、訳者によると、「『私生児』という戯曲で、私生児とその母親を擁護している。『椿姫』において、社会悪の犠牲になった一女性に深い同情の涙をそそでいるのも、彼の境遇を無視しては理解されないだろう」という。
『椿姫』は、今回初めて読んだのだが、驚くべきことに、デュマが24歳の若さで書き上げた作品だということ。
← デュマ・フィス (著)『椿姫』 (新庄 嘉章 (翻訳) 新潮文庫) (画像は、「Amazon.co.jp | 通販 」より)
なるほど、情熱と感傷に満ち満ちている。だが、同時に和解にしては、娼婦などの立場への理解が深い。若者の、情熱に突っ走る性向を描きつつも、社会の複雑さを24歳の若者とは思えないほどに描いているとは言えそう。
感傷と情熱と、ある種の主人公の娼婦への過剰な思い入れや共感というより同情と見なすべき傾向にも関わらず、ある意味、奇跡的にある年代以上の大人にも読むに堪えうる作品足りえていると思う(一度くらいなら、読める程度には)。
いうまでもなく、オペラ化されていて、今も人気は絶えない。
原作とはストーリーなどが違うとはいえ、一度はオペラを観劇してみたいと思った。
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コメント
趣味の玉手箱にご訪問頂きありがとうございました。私は原作を読んでいませんが、映画とオペラを見ました。映画はジョージキューカー監督ロバートテーラー、グレタガルボ主演のものだったと思います。オペラはなかなか見る機会がないので、まずは映画の方からごらんになってはいかがでしょうか。古い映画ですがレンタルビデオショップにはあると思います。
投稿: moguma1338 | 2015/09/28 22:35
moguma1338さん
来訪、コメント、ありがとうございます。
グレタガルボ主演の映画、見ごたえがありそう。
情報、ありがとう。
小説「椿姫」も、一気に読める面白い小説ですよ。
投稿: やいっち | 2015/09/29 21:52