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2015/09/13

これがボクの人生

 殺伐たる荒野が広がっている。
 見渡す限りの荒れ地。草茫々とさえも言えない。

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 なぜなら、草も木も、枯れ果てて、樹液の一滴すら消え果ている。
 虫たちさえ、ほんの寸時も止まらないで、遠い彼方の見果てぬ夢を追っていく。

 なぜか、ドン・キホーテの旅の名残を連想する。ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャが、従者サンチョ・パンサを引きつれ遍歴の旅に出かける、あの物語である。

 だが、その物語が本当にあったのだとしても、もう遠い昔の話だ。遍歴の舞台であるスペインもオランダも、今じゃすっかり様変わりしている。誰一人、思い出す人はいない。

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 なのに、どうして、そんな昔話を想ってしまったのか。風車だって、朽ち果てて、今じゃ、羽の欠けらすら見出せない。ドン・キホーテは、ジャコメッティの針金細工、サンチョ・パンサは、死に絶えたサボテン。二人は、無数の棘に刺し貫かれている。木偶の坊だ。

 ああ、淋しい。ボクはアルフレート・クービンより淋しいよ。声が出ないくらいだ。嘆きの思いは、空っぽの井戸のひび割れた壁面に擦り減らされてしまった。
 声は、虚ろな目のように沈黙を守っている。

 ボクは独りぼっちだ。連れさえいない。そんなボクが従者を伴うようなドン・キホーテの物語を連想するなんて。
 あるいは、ボクは相棒のいる奴らが羨ましいのか。

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 茫漠たる死の時空が伸び広がっている。ボクは、耳の奥深くで鳴り響く金属音に気が狂いそうだ。でも、それでいて、神経に障る時空の振動を喜んでもいる。なぜなら、聾する音の響きが脳髄を揺り動かしている間だけ、孤独を忘れていられるから。
 
 お前よ! お前はどこにいるのだ。お前がいた時は、ボクはそっぽを向き、お前の影すら消えた時になってやっと、ボクはお前の存在を愛おしむ。
 ああ、これがボクの人生なのだ。

(画像は、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」あるいは、「ドン・キホーテ - Wikipedia」より)

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