これがボクの人生
なのに、どうして、そんな昔話を想ってしまったのか。風車だって、朽ち果てて、今じゃ、羽の欠けらすら見出せない。ドン・キホーテは、ジャコメッティの針金細工、サンチョ・パンサは、死に絶えたサボテン。二人は、無数の棘に刺し貫かれている。木偶の坊だ。
ああ、淋しい。ボクはアルフレート・クービンより淋しいよ。声が出ないくらいだ。嘆きの思いは、空っぽの井戸のひび割れた壁面に擦り減らされてしまった。
声は、虚ろな目のように沈黙を守っている。
ボクは独りぼっちだ。連れさえいない。そんなボクが従者を伴うようなドン・キホーテの物語を連想するなんて。
あるいは、ボクは相棒のいる奴らが羨ましいのか。
茫漠たる死の時空が伸び広がっている。ボクは、耳の奥深くで鳴り響く金属音に気が狂いそうだ。でも、それでいて、神経に障る時空の振動を喜んでもいる。なぜなら、聾する音の響きが脳髄を揺り動かしている間だけ、孤独を忘れていられるから。
お前よ! お前はどこにいるのだ。お前がいた時は、ボクはそっぽを向き、お前の影すら消えた時になってやっと、ボクはお前の存在を愛おしむ。
ああ、これがボクの人生なのだ。
(画像は、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」あるいは、「ドン・キホーテ - Wikipedia」より)
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