タクシードライバーとクールビズ
今夏の異常に暑い日々も、ようやく峠を越したようだ。
お盆のころが一つのピークだったように、今にしてみると思えてくる。
← ロベルト・ボラーニョ 著『2666』( 野谷 文昭 やく /内田 兆史/久野 量一 訳 白水社) (画像は、「2666 - 白水社」より) 「現代ラテンアメリカ文学を代表する鬼才が遺した、記念碑的大巨篇」だとか。ラテンアメリカ文学は、依然として輝いている。今日から読み始めた。カバー画は、ジュール・ド・バランクール
熱帯夜で且つ気温35度以上という真夏日の続く日々、会社の乗務員の間で、タクシードライバーもクールビズでいいのじゃないかという声が澎湃と湧き上がってきた。
実を言うと、小生自身は、東京でのタクシードライバー時代、真夏であっても、ズボンや靴、ネクタイはもちろんだが、制服(上着)もずっと着用してきた。12年と3か月、ずっとである。
11年度の晩冬、富山でタクシードライバーになってからも、昨年の夏までは、上着を着用してきた。
今夏、とうとう上着を脱いだ。冠婚葬祭などの必要もありえるので、上着は脱いではいるが、トランクにしまってあり、必要に応じて着用する。
東京時代、ずっと(富山でも昨夏まで)上着を着てきたのは、真夏のエアコン対策である。
乗客に涼しく感じてもらうためには、ドライバーが涼しいレベルではだめで、客が乗った瞬間、涼しい! と感じてもらう必要がある。なので、タクシードライバーには涼しい…どころではなく、寒いくらいに冷やす必要がある。
そんな冷房の風にずっと当たっていると(直撃は避けるようにするのだが)、長年の間に体に悪い影響が出てくる、だから、少々暑苦しくても、上着は着用していたほうがいい、という先輩のアドバイスに素直に従ってきたのである。
が、この数年の夏の暑さは、富山でも異常である。35度を超えるのが当たり前の日々なんて、昔はありえなかった。
状況が昔とは違うのである。
この状況というのは、気象条件の面もそうだが、社会的環境も違ってきているという意味もある。
確か、小泉内閣の時代だったか(あるいはその前の小渕内閣の頃からか)、クールビズが国会や内閣などでも推奨されるようになった。
小渕総理の時は、総理自身、沖縄の「かりゆしウエア」を愛用されていた。
一般社会でも、大企業や官庁を中心にクールビズが当たり前のウエアになってきている。
とはいっても、中小企業や営業の社員などは、相手への礼儀か遠慮もあって、上着着用は固く守られている。
さて、では、タクシー業界はどうか。
会社では、配車室や経理など社員はクールビズである。というより普段から、ラフな格好がなぜか許されている(ただし、営業で外回りに向かう際は、上着も着用しているらしい)。
一方、乗務員には制服制帽を厳しく指導されている。
では、実情はどうか、というと、夏になると、制帽とネクタイ(むろん、紺色のズボンに黒色の靴は一年を通して励行)はともかくとして、制服のうちの上着の着用は、各自の判断に任せられているようだ。
そして、小生も、今夏、初めて上着を脱いだ(トランクに収めてある)。
16年目の夏にして、初めてのことである。
会社からは特に何も言われない。
ただし、上記したようにネクタイと制帽(むろん、紺色のズボンに黒色の靴は一年を通して励行)は厳格に着用を指導されている。
→ 《衆愚の饗宴》 2004 油彩、エナメル、板 121.9x 203.2 cm ジェフリー・ダイチ氏所蔵 (画像は、「[アートジェーン] 『MAMプロジェクト011:ジュール・ド・バランクール』展」より)
今夏、一部の乗務員から、クールビズということで、ネクタイや制帽も夏季の間だけ、着用の義務を外せないかという声が上がったわけである。
念のため、アンケートも取ってみたが、案の定、ネクタイも制帽もクールビズへ、という声が多かった。
ただ、制帽については、現行のままでという声が若干あっただけだが、ネクタイについては、現状を守るべきという声が3分の1あった。
やはり、いくらクールビズといっても、タクシードライバーという営業的色彩の濃い業務柄、ネクタイを外すことに抵抗感を抱く人が少なくないということか。
となると、せめて、夏季の間、上着と制帽だけは着用義務を外すというのが、ギリギリの判断なのかもしれない。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 大山鳴動して元の木阿弥(2023.05.31)
- 庭木の剪定に汗を流した(2023.05.30)
- 雨の休日らしく過ごす(2023.05.29)
- ナイチンゲールのローズ・ダイアグラム(2023.05.26)
- 蓮でも睡蓮でもなく石蕗です(2023.05.25)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 大山鳴動して元の木阿弥(2023.05.31)
- 庭木の剪定に汗を流した(2023.05.30)
- 雨の休日らしく過ごす(2023.05.29)
- ナイチンゲールのローズ・ダイアグラム(2023.05.26)
- 蓮でも睡蓮でもなく石蕗です(2023.05.25)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 天才は天才を知る(2023.05.07)
- 月面着陸船 燃料つき落下か(2023.04.26)
- 60年代は<砂>の時代だった ? !(2023.02.05)
- 民謡歌手・中村優の歌に母の歌声を思い出す(2022.12.18)
- ぐったり三昧の一日(2022.10.24)
「タクシーエッセイ」カテゴリの記事
- 雨の休日らしく過ごす(2023.05.29)
- 自己満足…自分の勝手?(2023.05.16)
- 秋風の吹くにつけてもあなめあなめ(2023.05.11)
- サツキはまだかいな(2023.05.09)
- 天才は天才を知る(2023.05.07)
コメント