本末転倒の日々
今年の夏も例年のように、本末転倒の日々が続いている。
帰郷して9年目の夏を迎えている。帰郷した年は、母はもう動けない体になっていた。父は、外出も可能な体だったけど、さすがに庭や畑仕事は無理。
自然、外仕事は小生の役割となる。
畑仕事など、したことがない。今までは全て父母らにまかせっきり。
そんな自分に畑の仕事はこうやると、お手本を示そうとしたのだろう、帰郷したその年の春、父が作業着になって、キュウリの苗を植える作業に入った。小生も手伝う。
キュウリの棚の作り方など、手ずから父がやってみせる。
が、作業の無理が祟ったのか、父は熱が出て、一週間ほど寝込むことに。
以来、父は買い物などの外出以外、一切、外仕事はしなくなった。やむを得ないこと。
次の年からは、小生が自分で庭も畑もやることに。
庭は草むしりをするだけ。庭の形を整えるなんて、知恵は小生にない。
一方、畑も実務は何も知らない。
父母に聞いたり、近所の小母さんたちに伺ったりして……でも、実際は行き当たりばったりの作業。
帰郷して二年目も三年目も、ナスもキュウリも棚を作るのを怠り、枝葉が地を這うように伸び広がって、収拾がつかない状態に。枝葉の間を縫うようにして、野菜を収穫。
帰郷して三年目の夏、父母は相次いで亡くなった。
借金はなかったけど、財産もなくて、あるのは築60年ほどの家と、納屋、蔵、そして庭と畑。
家の修繕などに毎年、嫌ってほどカネが掛かる。負の遺産とまでは言えないとしても、先行き、古い家をどうしたらいいのか分からない。
さて、残された唯一の価値ある財産といえば、畑である。
が、悲しいかな、生憎なことに、吾輩は、野菜が苦手、嫌いと来ている。
でも、遺された貴重な、掛け替えのない財産である畑である。
たとえ、野菜が嫌いでも、畑は畑として残していこうと思っている。
殊勝な思いはまあいいのだが、帰郷して9年目に至るも、畑は畑として残っているのだが、野菜嫌いという現実は、微動だにしない。
毎年、ナス、キュウリ、トマト、ゴーヤ、トウガラシなどを作る。そこに、年によって、トウモロコシやらスイカやらカボチャ、ジャガイモなどが入れ替わりにメニューとして加わる(あるいは、放棄する)。
最初は怠っていた、キュウリやナス、トマトのための棚作りも、この数年は、我ながら結構、入念に作っている。
これだけ熱を入れて作っているのだし、自ら汗して作ったのだから、少しは野菜への思い入れがあって、好きになるかと思ったが、一向に進展がない。
嫌いなものは、嫌いなのである。余程、野菜とは馬が合わないのだろう。
格別、肥料など与えないが、代わりに農薬の類も与えない。安全な食品であることは、断言できる。
ただ、嫌いなので、ナスやキュウリなどは浅漬けにして食べる。一人分なので、収穫の大部分は余ることになる。
ゴーヤも、チャンプルなどにして食べるが、収穫の量たるや手に余る。
当然、誰かしらにあげることになる。
隣の家の奥さんが貰ってくれたら、その人に。
親戚の家の人が来たら、半ば強制的に野菜を上げる(その家も、何かしら野菜を作っているので、貰ってうれしいのは、ジャガイモやらトマトなど)。
今年は、会社の同僚が料理好きということで、何度かたっぷりと貰ってもらった。
今日は、畑や庭仕事で汗だくになり、疲れ果て、外出する(野菜を以て会社へ行く)のが億劫になり、困り果てていたところ、ふと、別の隣の家(親戚)から声が漏れ聞こえてきた。
そこも、ナスやトマトを作っているが、キュウリやゴーヤは作っていない。で、籠に一杯のキュウリやゴーヤを届けた。
というわけで、小生、畑で野菜を作っているのだが、自分が食べるのはほんの少々で、あとは、収穫の大部分は、収穫のつど、貰う人を探して回ることになる。
一体、何のために野菜作りをしているのやら。
まあ、畑を畑として残していくという最低限の務めは果たしていると、云えるのだろうけど。
いつか、野菜が好きになる日が来るだろうか……。
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