ディオダディ荘の怪奇談義再び?
インドネシア中南部、スンバワ島にある成層火山であるタンボラ山が、1815年に大噴火を起こした。「過去2世紀に世界で記録されたもののうち最大規模」だった(「タンボラ山 - Wikipedia」より)。
← 「タンボラ山の山頂のカルデラ」 (画像は、「タンボラ山 - Wikipedia」より)。
「1812年から火山活動が始まり、1815年4月10日から同年4月12日にかけての大爆発音は1,750キロメートル先まで聞こえ、500キロメートル離れたマドゥラ島では火山灰によって3日間も暗闇が続いた。高さ3,900メートルあった山頂は2,851メートルに減じ、面積約30平方キロメートル、深さ1,300メートルの火口が生じた。この大噴火による噴出物の総量は150立方キロメートルにおよび、半径約1,000キロメートルの範囲に火山灰が降り注いだ。地球規模の気象にも影響を与えた」という。
「この大噴火後数か月にわたって世界各地で異常な夕焼けが見られ、この1815年の夏は異常に低温であった。同年、アメリカ北東部では異常低温となり、雪や霜が6月までみられた。イギリスやスカンディナヴィアでは5月から10月まで長雨が続き、異常低温による不作や食糧不足の事態が社会不安を引き起こした。さらに、翌1816年は「夏のない年」(Year Without a Summer)と言われた」とも。
(但し、「1809年頃に地球上の熱帯地方のいずれかの位置にて、上記大噴火の半分程度の二酸化硫黄の噴出規模の噴火が起きたことが判明している」らしい。)
→ ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー『チチェスター運河(英語版)』(1828年) (画像は、「夏のない年 - Wikipedia」より) タンボラ山の「噴火により大量の火山灰が大気中に放出されたことにより、この時期には壮大な夕暮れを見ることができた」。ターナーの描いたこの絵も、噴火の影響だと見られている。
ちなみに、「フランケンシュタイン」や「吸血鬼」は、夏なのに雨が降り続くスイス・レマン湖畔の別荘で、退屈しのぎの余興として生まれた物語」である(朝日新聞GLOBE「火山と人類」特集より。さらに、「ディオダディ荘の怪奇談義 - Wikipedia」参照):
前年の1815年にインドネシアのタンボラ火山が大噴火した影響で、北半球はすっかり寒冷化していた。1816年は「夏のない年」と呼ばれ、長雨が続いた。レマン湖畔も例外ではなく雨が降り続き、バイロン卿ら一行は外出もままならず大いに退屈した。バイロンとシェリーは哲学談義にふけっていたが、その内容はガルヴァーニ電気の可能性、生命の伝達、死者の蘇生、エラズマス・ダーウィン博士の生命実験といった、どちらかというと現代のSFに近いような話題だった。ある日、バイロンがコールリッジのバラード(詩)『クリスタルベル姫』を朗読していたが、神経過敏だったシェリーが全身に冷や汗をかいて大声出し、昏倒してしまった。ひとしきりすると一行は気を取り直してドイツの怪奇譚集『ファンタスマゴリア』のフランス語訳を朗読することにした。そして朗読後「皆でひとつずつ怪奇譚を書こう(We will each write a ghost story.)」とバイロン卿が一同に提案した。
← ムンク「叫び」(「エドヴァルド・ムンク-叫び-」より) 拙稿「モディリアーニ…ムンクあるかと見つめおり」など参照。
そうして、上記の二作品が生まれたわけである。
今、「警戒続く桜島 いつ噴火しても」(2015年8月17日(月)掲載) - Yahoo!ニュース)という差し迫った状況にあるので、火山絡みの話題を提供してみた。
才能ある諸氏が集まれば、閑の徒然であっても、ディオダディ荘の怪奇談義ではないが、何かしら、そうでなかったら生まれなかったような作品が誕生するのだろう。
そんな悪夢のような時が迫っている?
→ 現在のアナク・クラカタウ (画像は、「クラカタウ - Wikipedia」より) 「クラカタウは、インドネシアのジャワ島とスマトラ島の中間、スンダ海峡にある火山島の総称」。1883年の「8月27日月曜日バタヴィア時間午前10時02分(現地時間9時58分)に大噴火が起った」。「死者は36,417人に及び、2004年にスマトラ島沖地震が起こるまではインド洋における最大の津波災害であった」。「2003年にはテキサス州立大学の天文学の教授が画家エドヴァルド・ムンクの代表作“叫び”は、この夕焼けがヒントになっていると主張した」ようである(以上、「クラカタウ - Wikipedia」より)。
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