堀田善衛著の『方丈記私記』を今、読む意味
過日、古書店の店内の棚を漁っていて、堀田善衛著『方丈記私記』(ちくま文庫)を見つけた。
← 堀田善衛著『方丈記私記』(ちくま文庫) 本書については、「方丈記私記 - 堀田 善衛【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア」など参照のこと。
見つけたというのは、大袈裟かもしれないが、東日本大震災や、戦争法案の衆院通過を目の当たりにして、またまた日本が戦火にまみえることを予感させ、読み返したくなっていたので、気持ちの上では関心が本書を見出させたというべきかもしれない。
堀田善衛は、我が富山県が誇る数少ない作家の一人で、『広場の孤独』を若い頃に読み、さらに、あの浩瀚な『ゴヤ』(全四巻)をも、敢えて入手して読んだ、遠い記憶がある。
その後、一旦は関心が遠ざかったが、8年ほど前、車内で読む本として、『定家明月記私抄』 (ちくま学芸文庫)を選んだことで、ある意味での再会を果たしたのだった:
「土井さん、「超新星発見」から定家のこと」(2007/02/23)
戦争法案が成立可決したら、いよいよ日本は自国防衛の名目のもと、戦地、それも海外へと派兵されることになる。自国の兵士や国民も犠牲になるだろうが、他国の人も、軍人民間人を問わず、犠牲に供することになる。
思えば、日本を護るという大義名分で、中国に満州国なる傀儡政権を樹立させたり、碌でもないことを仕出かしてきた。
日本がいよいよ窮地に陥ると、かの沖縄戦では、民間人を盾にして軍が逃げ惑った。いよいよとなったら、日本の軍人は民間人を護るなんて責任を放棄してしまった。
戦争にならなくとも、日本にある原発は、テロの恰好の標的たりえる。平野が狭く、人口密度の高い日本では、原発の事故が発生したら、逃げる場所が見いだせないし、その前に、逃げる算段自体が成り立っていない。
なのに、住民の避難計画も後回しにして、原発の稼働再開を画策している。

← 堀田 善衞 著『定家明月記私抄』 (ちくま学芸文庫)
民間人を犠牲にして顧みなかった、戦前の日本の悪夢を今、目の前で、再現している。
なんと愚かしい国なのだろう。
ということで、『方丈記』はもちろんだが、堀田善衛著『方丈記私記』を読むのも、単なる教養主義なんかじゃない、切実な関心のゆえだし、悪夢の再来はかくの如しかと読んでいくことになるだろう。
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