明晰なる世界から天地晦冥の世界へ
今日の午前は、庭木の選定。といっても、表の道路に面する庭木が食み出しているので、カットする作業。
同時に、笹がやたらと育ってしまって、生け垣を圧倒し、壁面の石垣の隙間を縫い、せっかく植えた、寒菊や雪柳などを呑み付くすような状態になっているので、笹の藪を退治。
← ロジャー・イーカーチ【著】『失われた夜の歴史』(樋口 幸子/片柳 佐智子/三宅 真砂子【訳】 インターシフト) (画像は、「紀伊國屋書店ウェブストア」より)
といっても、背丈十センチほどにカットしただけなので、すぐに元の状態に戻るのだろう。いつかは、徹底的に除去しないと、家の土台が浸食されそう。
寝不足のままに作業したので、その後はすぐに眠りたかったが、シャワーを浴びたら、一時的に眠気が去り、余儀なく遅い食事を摂った。
途端に眠気が襲来。食後すぐに眠るのは拙いと思いつつも睡魔には勝てず…。
目覚めてからは洗濯。
その洗濯に苦労した。
昨年、買った洗濯機は、やたらと機能が多く、小生、使いこなせていない。
今日は薄手の毛布も洗濯したのだが、何故か途中で警告音がピーピーとなって止まってしまう。
すすぎの段階で常に。脱水ができない。
前の旧式の洗濯機だと、洗いと脱水層の二層式。なので、脱水機に放り込んで脱水すればよかったのだが、新しい洗濯機だと、どうやっても、脱水だけの機能を使えない。
とうとう、脱水のされていないずぶ濡れの洗い物をそのまま、水の滴るままに物干し竿に架ける。
水がいつまで経ってもポタポタ垂れる。
夕方か夜には雨だというし、これじゃ、いつ、乾くか予想しようがない。
すったもんだがあって、午後の四時ごろからやっと読書。過日より読みだしていた、マルコム・E.ラインズ著の『物理と数学の不思議な関係―遠くて近い二つの「科学」』の残りの数十頁をボチボチ読む。
数式の展開は理解できないことが多い。
小生、数学も物理も苦手なのだが、しかし、好きなのである。
中学の頃から生物や宇宙論などと共に、数学や物理に入れ込んできた。
理解できなくとも、啓蒙書の類を読んで、そういった分野への飢えをしのいできた。
憧れるのだが、数学や物理には全く相手にされず、大学を理学部(物理)へ進学するというい夢を、だらだら引き摺りつつも、高校三年の夏になって、ようやく断念。
それは、好きな人に恋い焦がれても、好きな人には相手にされないようなもの(かなり無理な比喩か)。
中学や高校の頃は誰しも、身の程知らずなもの。相手にされるはずのない人に憧れ、恋し、焦れ、挙句、予想通りの失恋である。
美人に焦がれても、美人はこっちなど眼中にないのだ。美と真は気高く、庶民は這いつくばるしかないのだ。
でも、好きなものは好きなのである!
本書を読了後、すぐに手にしたのは、ロジャー・イーカーチ著の『失われた夜の歴史』である。
本書の内容説明によると、「私たちが忘れてしまった、夜の魅惑と恐怖を初めて描き尽くした傑作!夜を暗闇が支配していた時代、悪魔などが跋扈する一方で、自由を求める人々は夜に解き放たれた」云々とある。
そう、少なくとも西欧は、照明の普及が近代の幕開けを齎したのだ。街灯などといった、現代となっては当たり前の設備も、近代以前はちょっとした街道沿いの宿場にあるかどうか。
夜、特に新月の夜は、全くの闇夜の世界。闇の深さは、我々の想像をはるかに超えていただろう。
歴史は夜、作られるという名(迷)文句がある。
← マルコム・E.ラインズ【著】『物理と数学の不思議な関係―遠くて近い二つの「科学」』(青木 薫【訳】 ハヤカワ文庫) (画像は、「紀伊國屋書店ウェブストア」より)
通常の歴史は昼間、決まりきったしきたりや秩序のもとに展開される。が、ドラマは昼間の戦争もだが、夜の密談、密約、格闘、暗闘の中で展開される。
男と女も夜の深い闇の中で絡み合い契り合い千切りあう。
夜の闇は、生き物を悪魔にあるいは善魔に変える。形の失われた手触りと気配と妄想とが人間をして悪魔に変えてしまったりする。
ちょっと先走ってしまった。本書を手にしたばかり。どんな物語が展開されるのか、楽しみである。
ちなみに、本書を読み始めたのは、黄昏時、あるいは逢魔が時、つまりは天地晦冥の時であった:
「「灯ともし頃」と「逢魔が時」の間」(2006/06/16)
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