富山ゆかりの文人
小生としては、地元の人間として身贔屓な(ささやかな)活動をしたい。
とりあえずは、自分が関心を抱く文学などの関連で富山絡みの話題を物色し、可能なら掘り下げてみたい。
「高志の国文学館」の中の、「富山文学ゆかりの地」を参照させてもらう。
「いたち川」という項には、宮本 輝、源氏鶏太らの名前が挙げられ、以下の説明が掲げられている:
富山市街地を流れるいたち川は、豊かな地下水に恵まれ、川べりでは、万病に効くとして古くから伝わる延命地蔵尊など、湧水が多く見られます。少年時代の一時期に富山の地に住んだ作家の宮本輝は、このいたち川などを舞台に、小説『螢川』を執筆し、芥川賞を受賞しました。昭和61年(1986)に映画化され、ロケが行われた富山市辰巳町には記念碑があります。
また、いたち川が流れる富山市泉町の橋のたもとには、サラリーマン小説で一世を風靡した地元出身の直木賞作家・源氏鶏太の随想『一本の電柱』の文学碑が建てられています。
「富山」なる項には、前田普羅、瀧口修造、角川源義らの名前が挙げられ、下記の説明が施されている:
富山市中心部にある富山城址公園には、高浜虚子門下の四天王の一人に数えられた俳人・前田普羅の句碑があります。普羅は、そそり立つ立山連峰を仰ぎ見て、富山に住むことを決めました。雄大で美しく、かつ厳しくもある富山の風土は、日本を代表する美術評論家で詩人の瀧口修造や、角川書店を創立した俳人・角川源義など、多彩な人材を育てました。
我がブログでも、宮本 輝や源氏鶏太、前田普羅や瀧口修造らを採り上げたことがある。
角川源義については、俳句に(も)疎い小生なので未だ扱っていないが、父の蔵書にも角川源義の本があることもあり(父は若い頃…から中年のある時期まで俳句に傾倒していた)、いずれは特集してみたい。
と、ここまで書いてきて、あれ、あの人は、あの人の名はと気になってしまった。
「池大雅と富山」でミニ特集も組んだことのある、池大雅の名である。
「会報「商工とやま」平成14年8・9月号 立山と富山12 池大雅の雪見橋と三山完登 立山博物館 顧問 廣瀬 誠(元県立図書館館長)」なる頁(「機関紙「商工とやま」インデックス」参照)からとして、以下の転記をさせてもらっている:
富山城の西は神通川、東はいたち川で守られていた。神通川には橋がなかったから、いたち川の大橋が城下町最大の橋で、しかも北陸道の交通上重要な橋で「表の橋」とも呼ばれ、橋詰には橋番所が設置されていた。(中略)
江戸時代の中期、このいたち川大橋に毎日足を運んでくる人があった。日本一の南画の大家・池大雅その人であった。大雅は藩医・野中玄室の家に逗留していて、大橋から望む雪の立山の絶景に感動し、何度も何度も橋をたずねたのだという。
明治25年、この大橋を改築したとき、大雅の伝説によって「雪見橋」と命名した。単なる雪ではなく「立山の雪」なのだ。(中略)
立山の壮観に感動した大雅は寛延2年(1749)と宝暦10年(1760)の2回、実際に立山に登頂した。2回目の登山のメモ『三岳記行』が京都国立博物館に残っていて、国の重要文化財に指定されている。道中の小遣いを明細に記録し「ひものや長左衛門」方に宿泊し、宿賃240文払ったとある。多分旅籠町の宿屋であろう。
メモのあいまに立山や称名滝のスケッチもある。立山から下山して、15文の代金を払って西瓜を食べているのも愉快だ。
おわら節に歌われたように、富士・白山・立山を日本三霊山と称し、この三山に次々に登ることが江戸時代に流行した。大雅は三霊山を完登し、みずから「三岳道者」と誇らしげに名のった。(現代「日本百名山」完登を志す人があるのと同じ心情だ)。(後略)
確かに、池大雅は富山(市)に居住したわけではなく、「多分旅籠町の宿屋」に宿泊しただけなのだろうが、富山市でも知名度の高い、雪見橋の命名の由縁となった南画の大家・池大雅の名を逸するわけにはいかないのではないか。
他にも、生まれこそ、富山県東砺波郡高瀬村(現井波町)だが、後に富山市に移り住んだ、芥川賞候補ともなった岩倉政治や、明治十二年、富山町旅籠町(現富山市)生まれの小寺菊子の名も忘れないでほしいものだ。
「小寺菊子のこと」
「池大雅と富山」
「宮本輝著『泥の河・蛍川』」
「前田普羅のこと(前編)」
「前田普羅のこと(後編)」
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