モンス・デジデリオやF.クレリチなど
今朝未明、グスタフ・ルネ・ホッケ著の『迷宮としての世界―マニエリスム美術〈下〉』(種村 季弘/矢川 澄子【訳】 岩波文庫)を読了。
読了というのは、やや生意気で、多くの小生には珍しい画家や作品を愉しんだといったほうがいいだろう。
← 『モンス・デジデリオ画集』(谷川 渥 解説 河出書房新社) 「17世紀ナポリの「世界の終わりの画家」あるいはモンス・デジデリオ。廃墟、崩壊、没落、炎上、死のイメージへの渇望──狂気に満ちた戦慄の作品群をまとめた幻の画集」だとか。 (画像や情報は、「モンス・デジデリオ画集 谷川 渥|河出書房新社」より) 画集の表紙絵は、「爆裂する教会」の一部。
マニエリスムという美術用語の意味合いはずっと小生には把握しづらいものだった。
本書を読んで理解できたということはできないが、美術史などの大きな潮流(もしそれがあるとして)の狭間や端っこで、本流に抗い、あるいはそっぽを向いて、ひたすら自分の皮膚感覚のようなものに忠実に生き、描き、表現した作家たち。
その都度の時代においては傍流だったとしても、忘れ去られ無視されたとしても、決して消し去ることのできない我が道を行く作家・表現者たち。
→ モンス・デジデリオ『アトランティスの滅亡』 (画像は、「モンス・デジデリオ - Wikipedia」より)
「モンス・デジデリオ - Wikipedia」によると、「モンス・デジデリオ(Monsù Desiderio)とは、バロック期の画家フランソワ・ド・ノメおよびディディエ・バラの共同ペンネーム。二人はともに16世紀にロレーヌ地方メスで生まれ、17世紀はじめにナポリで活躍した」とか。
「その作品は、古代ローマ、旧約聖書、新約聖書、ナポリ、ヴェネツィア、メスから霊感を得た「荒廃」「(自然の)大変動」「不思議な建物」が特色で、20世紀になって、アンドレ・ブルトンからシュルレアリスムの先駆者と評価された」という。
← モンス・デジデリオ「沈黙」ローマ 個人蔵 (画像は、「モンス・デジデリオ・廃墟の崩壊 ( 絵画 ) - しろねこ日記」より)
本稿においても、グスタフ・ルネ・ホッケ著の『迷宮としての世界―マニエリスム美術〈下〉』で<発見>した、モンス・デジデリオやファブリツィオ・クレリチらの作品を紹介する。
→ モンス・デジデリオ「偶像を破壊するユダ王国のアサ王」 (画像は、「モンス・デジデリオ・廃墟の崩壊 ( 絵画 ) - しろねこ日記」より)
モンス・デジデリオについては、「モンス・デジデリオ - Wikipedia」という項目が立てられているので、それなりの情報を得ることができる。
← ファブリツィオ・クレリチ「水のないヴェネツィア」 (画像は、「ファブリツィオ・クレリチ Fantomasのブログ」より)
一方、ファブリツィオ・クレリチについては、少なくとも日本語のサイトは少ない。
ただ、本稿を書き終える段階になって、このイタリアの幻想風の画家・建築家のホームページをヒットした:
「Archivio Fabrizio Clerici Just another WordPress site」
→ ファブリツィオ・クレリチ (画像は、「ファブリツィオ・クレリチ Fantomasのブログ」より) ([Fabrizio Clerici](イタリアの画家) 1937~1992)
← ファブリツィオ・クレリチ《ローマの眠り》 (画像は、「〜TOMOHISA SUZUMURA’S CRITICAL SPACE/鈴村智久の批評空間〜 谷川渥『表象の迷宮』(1)ーーファブリツィオ・クレリチ《ローマの眠り》におけるバロキズム、あるいはジョルジョ・デ・キリコと「無人」の図像学」より) 「クレリチは1913年生まれのイタリアの幻想画家で、建築家から転身した。人体解剖図に多大な関心を示し、廃墟世界を描いていく」という。
→ ファブリツィオ・クレリチ (画像は、「[mixi] ファブリツィオ・クレリチ クレリチの絵(画像)」より) 本稿を書き終える頃に発見したサイト(ここで多くの絵を観ることができる):「今日の一枚の絵 第490回:アトリエ5号星地区:So-netブログ」 ホームページ:「Archivio Fabrizio Clerici Just another WordPress site」
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コメント
今日は「ルーブル美術館展」に行ってきました。
庶民の生活を描いた絵が多かったです。
「抜歯屋」とか「蚤をとる少年」とか…。
華やかな絵が見たかったのですが。
モンス・デジデリオもF.クレリチも聞いたことがありません。
退廃的な絵が多いのかしら。
「水のないヴェネツィア」は発想が面白いですね。
投稿: 砂希 | 2015/03/21 20:46
砂希さん
箱根小涌園。お肌、ツルツルになったようですね。
十年ほど前、友人たちと箱根へ温泉旅行したことがあります。ススキの原の光景が懐かしい。
モンス・デジデリオもF.クレリチも本書を読んでほとんど初めて知った画家。
廃墟というのは、絵のテーマの一つとして、結構人気がります。日本でも廃墟めぐりがテーマのツアーがありますね。
「水のないヴェネツィア」も、奇想の風景画ですね。カラーの絵をネットで探したけど、適当なものがありませんでした。
投稿: やいっち | 2015/03/21 22:46