氷の町
語ろうとすると、喉が痛くなる。顔が引きつってしまう。言葉が凍て付く。
カチンカチンの言葉が体の中で行き場を失っている。もう、あちこちグルグルぶつかって、血の渦を巻き起こす。
← 小林たかゆき作「2012_073」 (画像は、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」より)
喋ることがこんなにも苦しいなら、ボクはもう何も望まない。望むと心が急いて、思わぬ言葉が口を衝いて飛び出そうとするんだもの。
でも、沈黙が怖い。ボクは臆病者なんだ。だから、部屋から飛び出して、氷の町に彷徨い出たんだった。
誰かに会いたいよー。誰かと言葉を交わしたいよ。さよならの一言でいいんだから。
蒼白の町に聞こえるのは吹き荒ぶ風の音だけ。
ああ、言葉を交わしたいなんて、ホントは嘘っぱちなんだ。誰かの熱いからだが欲しいんだ。温もりが欲しいんだ。とっくの昔に忘れちまった感覚。人間の肌。血肉の匂い。汗と涙。
→ 小林たかゆき作「2012_071」 (画像は、「小林たかゆき お絵かきチャンピオン」より)
マグマ溜まりのようなあの部屋で、ボクは血汐を浴びるほどに呑んだ。溺れるほどに真っ赤な分厚い闇の海に飛び込んでいった。
その挙句が、このざまだ。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 真夜中過ぎに創作(2024.10.08)
- 肩が痛い腰が痛い(2024.10.07)
- 白湯健康法?(2024.10.06)
- ウイルスソフト更新しろって(2024.10.02)
- 生け垣の補修はしたものの(2024.10.01)
「美術エッセイ」カテゴリの記事
- 水の流れが変わった!(2024.08.12)
- 自分で自分を厳しく律する(2024.08.11)
- 梅雨明け宣言は出たものの(2024.08.05)
- 緑茶にほうじ茶に昆布茶まで(2024.07.22)
- ブログに旧友からメッセージ(2024.07.19)
「恋愛・心と体」カテゴリの記事
- 真夜中過ぎに創作(2024.10.08)
- 肩が痛い腰が痛い(2024.10.07)
- 白湯健康法?(2024.10.06)
- ウイルスソフト更新しろって(2024.10.02)
- 生け垣の補修はしたものの(2024.10.01)
「祈りのエッセイ」カテゴリの記事
- 沈湎する日常(2023.02.23)
- 日に何度も夢を見るわけは(2023.02.17)
- 観る前に飛ぶんだ(2022.10.25)
- 月影に謎の女(2019.12.26)
- 赤いシーラカンス(2018.08.30)
コメント