『帝国の慰安婦』から古山高麗雄や田村泰次郎へ
今、政治との関わりも含め、話題になっている本というと、一冊は、トマ・ピケティ著の『21世紀の資本』(みすず書房)であり、もう一冊は(もっと話題になってしかるべき本だと思うが)、朴 裕河著の『帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘い』(朝日新聞出版)だろう。
← 朴 裕河《パク/ユハ》【著】 『帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘い』(朝日新聞出版) 「性奴隷vs.売春婦、もはやこの議論は無意味か。対立する「記憶」の矛盾を突き、「帝国」と植民地の視点で見直す。「慰安婦問題」解決のため、“第三の道”を提案する、大佛論壇賞受賞者による渾身の日本版」とか。 (画像は、「紀伊國屋書店ウェブストア」より)
首相が戦後70年ということで、どんな談話を出すか、韓国や中国は無論、アメリカも、そして日本の人々にも関心が抱かれているのだから、猶更である。
トマ・ピケティ著の『21世紀の資本』のほうは、とりあえず入手したので、後日、改めて読むつもりである。
一昨日より、朴 裕河著の『帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘い』を読み始めたところ。
感想や読後感については、後日、改めて書くつもりである。
ところで、我が家の奥まった場所にある書架には、父や吾輩の古い蔵書が詰め込まれてある。その中に古山高麗雄(ふるやまこまお)著の芥川賞受賞作品である、戦争体験に基づく「プレオー8の夜明け」などを収めた箱入の本『プレオー8の夜明け』(講談社)がある。
← 古山高麗雄著『二十三の戦争短編小説』(文藝春秋) 「大東亜をまさに転々ののち、とるに足りぬ“戦犯”というオマケまでついて復員した、万年一等兵の古山さん。八十歳をむかえた今日までたゆまず営みつづけた記憶の物語のすべてを、編年体で編んでみ」たとか。 (画像は、「文藝春秋BOOKS」より)
昭和45年の初版本である。父の蔵書なのか、それとも文学に目覚め始めた頃の小生がやや背伸びして買った本なのか、今となってははっきりとしない。石原慎太郎の『太陽の季節』などの初版本なども並んでいるところを見ると、父の蔵書だったのかもしれない。
というのも、小生は、古山高麗雄の作品に関心を抱いた記憶はないのである。
ということもあって、この40年以上も昔の本は、それこそ、古い本が詰め込まれた書棚で眠り込んだままになるはずだった。彼への関心が呼び覚まされるとは到底、思えなかったし。題名も気にはなるが、なんとなく、敬遠したくなるような。
それが、である。朴 裕河著の『帝国の慰安婦』を読み始めたら、彼の作品が参考にされ、引用までされているではないか。従軍慰安婦との関わりで欠かすことのできない作家であり作品なのだろう。
こうなると、近いうちに読まないわけにいかない!
← 田村 泰次郎 (著)『田村泰次郎選集 4 裸女のいる隊列 蝗/失われた男ほか』(秦 昌弘/ 尾西 康充 (編集) 日本図書センター) (画像は、「hontoネットストア」より) 「田村泰次郎選集 日本図書センター」に載る書評が参考になる。
ついでに、『帝国の慰安婦』で参照されている作家(の作品)に田村 泰次郎がいた。あの『肉体の門』の作家である。というか、小生はこの小説、そして映画された映像でしか、田村 泰次郎を知らない。この作家についても、特に、『田村泰次郎選集 4 裸女のいる隊列 蝗/失われた男ほか』に所収の作品群などは読まないわけにいかない気持ちになった。
こういうことでもないと、同氏は『肉体の門』の作家という印象や理解しか残らなかったに違いない。
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