« 無限の空間の永遠の沈黙 | トップページ | サナギ »

2014/12/28

官能という言葉が高尚に感じる作品

 昨日今日と、富山(北陸)にしては珍しい晴天が続いた。束の間の晴れ間。
 けれど、仕事が妙に忙しく、休みの日も休息を取るのがせいぜい。情けない。

The_death_of_hyacinthos

→ ジャン・ブロック(Jean Broc)による『ヒュアキントスの死』(The Death of Hyacinthos) (画像は、「ヒュアキントス - Wikipedia」より) 「ヒュアキントスは、ギリシア神話に登場する男性神」で、「ギリシア神話において登場する最高神ゼウスと女性神レトの息子として生誕し、月の女神アルテミスの双生児アポローンに愛された美青年」だとか。「アポローンとの円盤投げの遊戯を行っていた際、円盤の跳ね返りを頭部に受けてしまい、逝去したと記述されている」。画像を拡大して凝視すると気づくかもしれないが、少年愛を描いた有名な絵でもある。ジャン・ブロックは、ダヴィッドの弟子たちの中の一人。師匠とはやや違って幻想的な画風、とは池上氏の弁。

 昨日など、夜は忙しかったが、日中暇で、車中の友として読んできた、池上 英洋 著の『官能美術史 ─ヌードが語る名画 の謎 』(ちくま学芸文庫)を百頁以上も読めてしまった。

 残りは60頁ほどになったのて、自宅で一気に読了へ。もっとゆっくり楽しみたかったのだが、掲げられている作品の数々に魅入られ、頁をめくる手も焦り気味?

 今日は、必ずしもすべてが傑作というわけではないが、エロティックさ卑猥さが際立つ作品の幾つかをアトランダムに紹介する。
 といっても、いずれも有名な作品だと思うが。

800pxcourbet_sleep1

← クールベ『眠り』(1866年) (画像は、「ジョアンナ・ヒファーナン - Wikipedia」より) 「ジョアンナ・ヒファーナン は、19世紀に複数の有名な絵画にモデルとして描かれたアイルランド出身の女性」。「アメリカ人画家ジェームズ・マクニール・ホイッスラーの恋人だったが、フランス人画家ギュスターヴ・クールベとも関係があったのではないかといわれている」。なんといっても、「大きな議論を巻き起こしたクールベの『世界の起源』のモデルもヒファーナンだと考えられている」! この絵は、レズビアンを描いた有名な作品。ギュスターブ・クールベの『世界の起源(L'Origine du monde)』については、拙稿「クールベや始原の旅のあたたかき」を参照のこと。


800pxrolla

→ アンリ・ジェルヴェックス『ロラ.』(Rolla (1878), Musée d'Orsay, Paris) (画像は、「Henri Gervex — Wikipédia」より) 本書によると、「さんざん遊んで首がまわらなくなった男ロラが自殺するストーリーであり、アルフレッド・ド・ミュッセの詩に基いている。ロラは最後の晩を娼婦マリーの部屋ですごす。窓から下はかなりの高さがありそうだが、これはマリーの部屋が家賃の安い屋根裏部屋であることを示している。乱暴に脱ぎ捨てられた衣服と荒れたベッドは、昨夜の愛の交歓の激しさと、一夜明けてのけだるさを感じさせる。悲劇的な場面ながらも、絵の中心となっているのは、愛しあった後の女性の裸体がはなつ官能性にある」とか。あるツイッター(「日本美学研究所 @bigakukenkyujo」参照)によると、「不道徳としてサロンに出品を拒否されたが、画商が引き取って店に置くと、三ヶ月も観客の列が途絶えなかった」とか。さもあらん。


Src_31522423

← ワシーリー・ウラディミロヴィッチ・プキレフ(1832~1890年)画「不づりあいな結婚」(1862年 モスクワ トレチャコフ美術館) (画像は、「2013年ロシア旅行~13年ぶりの再訪を3年前にあきらめた旅行計画で実現【第4日目:モスクワ】(1)トレチャコフ美術館(前編)シーシキンやアイヴァゾフスキー等の大好きな絵画が目白押し (モスクワ) まみさんの旅行写真 - フォートラベル」より) 本書によると、「資産家の老人男性が、若く美しい貴族階級の娘を娶っている。19世紀のロシアでは、近代化から取り残された没落貴族と富裕商人層との縁組が多く見られた。前者は家系を保つことができ、後者には家柄が手に入る、双方にとってうまみのある話だからだ。ただひとり、家のために老人の妻となる娘の、はかなげな悲しい表情が印象的である」だって。うーむ、男女ともに打算の思惑が思いっきり膨らんでいるような。

 他にも、ブグローやベルニーニなど、採り上げたい作家や作品が幾つも。拙稿でも扱ってきたので、今回は割愛したが、ここでは、以下の拙稿を紹介しておく:
ベルニーニの謎の表情へ


|

« 無限の空間の永遠の沈黙 | トップページ | サナギ »

恋愛・心と体」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

美術エッセイ」カテゴリの記事

コメント

池上先生、今度は、残酷美術史と言う本出されましたね。
今、美術雑誌では、写実絵画がちょっとしたブームです。
月刊美術やら、アートコレクターズという雑誌が次々と特集を組んでいまして、自然と、千葉に出来た、写実の美術館、ホキ美術館、が注目を。
さて、今年も終わります。来年は、僕は年男ですから、まあ頑張りたいなと。

投稿: oki | 2014/12/30 21:42

okiさん
写実絵画、スーパーリアリズムとは違うのかな。
以前、一冊、リアル画作家の特集ものを買ったことがある。
女性のヌードを描いたもの。

さて、早くも一年が過ぎようとしています。何をしていたのか、情けないような。
とにかく、ダラダラ、生きてます。
来年もボチボチです。

投稿: やいっち | 2014/12/31 21:49

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/52847/60881344

この記事へのトラックバック一覧です: 官能という言葉が高尚に感じる作品:

« 無限の空間の永遠の沈黙 | トップページ | サナギ »