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2014/11/19

『倫敦!倫敦?』から『日本の民家』へ

 昨日は、普段なら丑三つ時の帰宅のはずが、夜の九時過ぎには帰宅できた。
 時間があったこともあって、読み止しの本に手を伸ばした。

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← 長谷川 如是閑著】『倫敦!倫敦?』(岩波文庫) (画像・説明は、「紀伊國屋書店ウェブストア」より)

 長谷川 如是閑著の『倫敦!倫敦?』(岩波文庫)をようやく読めたのも、こうした余暇に恵まれたから。

 本書は、「1910(明治43)年、『大阪朝日新聞』特派員として単身シベリア鉄道経由で渡欧した長谷川如是閑(1875‐1969)のロンドン紀行」だって。 
 比べるのは、無理があるし、意味がないと思うが、つい、漱石の『倫敦塔』や『漱石日記』でのロンドン滞在の日記と比べてしまう。

 長谷川 如是閑は、やはり、ジャーナリストで、ロンドンでの短い滞在期間の間に、なんでも観てやろうの精神がさく裂していて、さすがの感がある。泊まった宿のお上とのやり取りなど、小説的面白みもあって、彼のユーモア精神が垣間見られる。
 だが、小生自身の嗜好もあるのだろう、漱石の(病的な?)倫敦記に惹かれてしまうし、印象が強烈なのである。
 冒頭の百頁ほどを読んだところで、とうとう中断し、何冊かの本を間に読んできてしまった。 
 ようやく、一区切りついたので、読了だけはさせておこうと、読み切ったのである。

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→ 本稿では、(古)民家を扱っている…からでもないが、過日、その前で佇んだ「合掌民宿なかや」の画像などを。

 本書については、「819夜『倫敦!倫敦?』長谷川如是閑松岡正剛の千夜千冊」などを参照するのがいいかも。
 松岡氏は、「これまでイギリス報告は数多く、それこそ漱石の「暗い目」から吉田健一の「粋な目」までいろいろあるけれど、本書の如是閑は「鳥の目」や「全の目」になっている。これは小田実の『何でも見てやろう』の嚆矢ともいえるし、イギリスをイギリスになって書くという意味では、ユーモアに満ちたドキュメンタリズムの嚆矢ともなっている。ぼくは英国落語の名文とも読めた」と書いている。
 小生はそこまでの評価は与えられないが、まあ、人それぞれである。

 今 和次郎著の『日本の民家』(岩波文庫)のほうも、冒頭の数十頁を読んだところで中断していたもの。
 が、本書については事情がいささか違う。
 小生は、向井潤吉の描く古民家絵の世界が好きである(拙稿「陋屋 茅屋 廃屋 古民家」など覗いてみてほしい。さらに向井潤吉については、「世田谷美術館分館 向井潤吉アトリエ館」など参照のこと。
)。
 今、住み暮らしている家の茶の間にも、彼の絵やカレンダーが飾られている。
 明治から昭和の初期に至る、やや古き良き日本の庶民の暮らしをいろんな形で覗いていくことも好きである。
 富山県の福光美術館で催された「日本のふるさとを描く 向井潤吉展ー古民家を中心にー」へも、勇んで出かけたものだった:
あぶく銭の行方は

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← 今 和次郎【著】『日本の民家』(岩波文庫) (画像は、「紀伊國屋書店ウェブストア」より)

 明治などの回想記などを読むのも好きである。
 本書を読むのも、その一環。
 本書を読んでいる間に、他の本につい手を出してしまったこともあるが、なんとなく、気候が寒くなってから読んだ方が味わい深いと思えてきたのである。
 ようやく、そうした時節がやってきた。
「村の人々の日常生活を含めて描きだされた民家の小宇宙は、しみじみとした郷愁に満ちてあたたかい」という滋味深い本書を郷愁や階級の念を掻き立てられつつ、じっく味わいたい。
著書自身によるスケッチを多数収録」というのも、嬉しい。やはり、スケッチが添えられているか否かによって、こうした本は、随分と印象が違う。

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