谷川 渥 著の「肉体の迷宮」へ
今日、組合の大事なイベントである、定期大会があった。委員長として、大会を采配する大役を無事、務めることができて、ホッとしている。
← 谷川 渥【著】『肉体の迷宮』(ちくま学芸文庫) (画像は、「紀伊國屋書店ウェブストア」より) 「東西の美術・文学・哲学を自在に横断しながら、“肉体”と格闘した美意識を論じる独創的な表象論」だとか。
実際の戦いは、これからが本番なのだ、束の間の安堵の念に過ぎないと分かっているけれど、それでも、ホッとした気持ちなのは正直なところ。
前日は夜半過ぎまで仕事だったし、仕事が終わってからも、大会で議長の訳を担ってくれる方に、疑似の進行をどう進めるか、レクチャーしたりした。
しかも、帰宅してから、審査委員長へのレクチャーの文面を考えたり、委員長としての挨拶文を考えたりで、四時ごろまで大会の準備に余念がなかった。
3時間も寝ただろうか。やはり、神経が昂ぶっていて、深い眠りに就けるはずもない。
寝床に包まっていても仕方がないと、しぶしぶ起き上がって、新聞を読んだり、大会の準備に遺漏がないか、シミュレーションをしてみたり、こころはテレビを観ていても上の空なのが自分でも分かる。
それでも、大会の進行がどのようだったか、詳しいことは略すが、仲間の協力もあって、大きなトラブルもなく大会を終えることができた。
議長や司会者、監査役、審査役などなどを務めてくれた方たちを労う。
みんなを送り出して、一人になって、さて、誰も吾輩を労ってくれないことに一抹の淋しさを覚える。
吾輩が無事に役目を果たすのは当然と思っているのだろうか。
ま、一人ぼっちなのは昔からなのだけれど。
こんな大会で気忙しい中であっても、読書は欠かせない。
帰宅して、一昨日から読み始めていた、桜井 進/坂口 博樹著の『音楽と数学の交差』(大月書店)を読了した。
一番、印象的だったのは、コンピュータの性能が(量子コンピュータの実用化で)飛躍的に上がると、「ランダム」がもっと見えるようになる、という話だった。
桜井 進によると、20世紀には、数学の世界で「ランダム」という重要な発見があったという。「秩序ある世界を探っていくと、ランダムが見つかった」、「それがゲーデルの不完全性定理」の意味するところだという。「秩序ある世界の大もとにランダムがある。秩序の底にランダムが見つかったことで、神様はいないと断ぜられた。神は葬り去られたという。ニーチェが19世紀に予感し喝破していたことを数学や物理がようやく認識し始めたということか。
数学もだが、音楽も従来はランダムやノイズとして見過ごしたり無視してた領域に、改めて目を向け始めているという。
政治と宗教が古代においては未分化だったように、本来は、数学も音楽も一つの世界だった。いつしか、遠く離れてしまったようだが、今、両者の深い関係がランダムという切り口から見え始めているとか。
この辺り、もう少し丁寧に解かないと理解が及ばないだろうが、少し驚いたのは、自分がジャクソン・ポロックのドリッピングアートを見ながら、夜な夜な詩的な瞑想文を掻き綴っていたのは、まさしくそうしたことだったのか、それを自分は本能か直感で嗅ぎ取っていたのかと、再認識させてもらったことである。
→ 谷川 渥著『鏡と皮膚―芸術のミュトロギア』(ちくま学芸文庫2001/04刊) 「深みに「真実」を求めてはならない。なぜなら「生はいかなる深さも要求しない。その逆である」(ヴァレリー)からである」。拙稿「谷川 渥著『鏡と皮膚』 」参照のこと。
さて、会社では、谷川 渥著の『肉体の迷宮』(ちくま学芸文庫)を読み始めた。
同氏の本というと、もう十年近く前になるが、『鏡と皮膚―芸術のミュトロギア』(ちくま学芸文庫)を読んだことがあるので、二冊目ということになる。
小生は、同氏の扱うテーマが好きなのである。
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コメント
委員長のお仕事お疲れ様でした!
いたわりの言葉がないのは淋しいけれど、それだけスムーズに進行したということですよ。
労せず、大役を果たしたと思っているのでしょう。
ぜひ、自分にご褒美を(笑)
今、私は疲労しているので、温泉旅が欲しいです。
やいっちさんは本かしら?
投稿: 砂希 | 2014/11/01 11:01
砂希さん
大会、まるで吾輩の個人的なイベントに過ぎず、その成功のため、みんなが手伝ってやった、といった雰囲気。
どれほど苦労したことか。
ホント、不毛の日々です。やるのが当たり前だと思っているようです。
責任感だけで頑張っている。
優しい女性に癒してほしい…けど、まあ、本を読んだり、音楽、いい風景なのかなー。
なお、大会後のガッカリ感については、次の日の日記(モノローグ)に書きました。
投稿: やいっち | 2014/11/02 21:38