木曽の御岳さんはナンジャラホイ
御嶽山は、山岳信仰の山であり、日本では富士山に次いで2番目に標高が高い火山である。
「木曽節」でも歌われ、登ったことのない人、地元ではない人にも馴染みのような印象を抱く山である。
→ 『木曾街道六拾九次 藪原』(渓斎英泉画)に鳥居峠から望む御嶽山が描かれている。(画像は、「御嶽山 (長野県) - Wikipedia」より)
「2014年9月27日に突如噴火を起こし、1991年の雲仙・普賢岳災害以来の火山死者を出す事態となった」(「御嶽山 (長野県) - Wikipedia」より)。事態は今も進行中である。
突然の水蒸気爆発による噴火とはいえ、事前の余地はできなかったものか。専門家はいずれも、困難だったと口をそろえる。
「活火山とは、“概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山”である(日本の火山噴火予知連絡会・気象庁による定義)。この定義による2012年現在の“日本の活火山数は110火山“である」という。
その中で、「火山噴火予知連絡会による活火山の分類」によると:
ランク 説明 該当火山数
A 100年活動度、または1万年活動度が特に高い活火山 13火山
B 100年活動度、または1万年活動度が高い活火山 36火山
C 100年活動度、および1万年活動度がともに低い活火山 38火山
対象外 データが不足しているためランク分け対象外となっている火山 23火山
御嶽山は、上記のランクで、「B]に入っている。
← J次郎2(JJ2)さん 同氏の作品ページ:「jj2 作品一覧 あなたの感性を伝えるストックフォトサイト【TAGSTOCK(タグストック)】」
御嶽山は、昔は死火山と思われていたが、「1968年(昭和43年)から活発な噴気活動をはじめたことから活火山に変更され、1979年(昭和54年)に水蒸気爆発を起こしたことから、改めて死火山の分類区分が無意味であることが一般的にも認知された」のである。
その意味で、御嶽山は、活火山・死火山の弁別や、そもそも、死火山の分類区分が無意味であることが一般的にも認知せしめた、エポックな(活)火山であると云えるだろう。
活火山の定義上、100年活動度、または1万年活動度でランク付けされたりする。一万年という尺度は人間的には長い。が、地質学などの観点からすれば、まさに今、活動期にあるというべきだろう。
では、御嶽山の火山活動はどうだったのか。
1979年(昭和54年)、「地獄谷上部の標高2,700 m付近を西端とし東南東に並ぶ10個の火口群が形成され、噴出量は18万トンから20数万トンほどの小規模な噴出量であった」。
1991年(平成3年)5月中旬 - 79-7火口でごく小規模な噴火が起きて、10トン程度の火山灰を噴出した。
2007年(平成19年)3月後半 - 79-7火口でごく小規模な噴火が起きた。
2008年(平成20年)3月31日 - 気象庁は、噴火警戒レベルの導入に伴い、噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)を発表した。
そして、「2014年(平成26年)9月27日 - 11時52分に噴火」という事態に至るわけである。
→ J次郎2(JJ2)さん 同氏の作品ページ:「jj2 作品一覧 あなたの感性を伝えるストックフォトサイト【TAGSTOCK(タグストック)】」
つまり、上記したように、御嶽山は今、活発な活動期に入っていると理解すべきなのである。
こうなると、(水蒸気爆発による)噴火のゆえに、今の火山学などの知見レベルでは、事前の余地が難しい云々の話ではなくなる。
そもそも、御嶽山は、少なくとも噴火口周辺には接近の許される山ではなかったのでは、ということである。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 大山鳴動して元の木阿弥(2023.05.31)
- 庭木の剪定に汗を流した(2023.05.30)
- 雨の休日らしく過ごす(2023.05.29)
- ナイチンゲールのローズ・ダイアグラム(2023.05.26)
- 蓮でも睡蓮でもなく石蕗です(2023.05.25)
「科学技術評論」カテゴリの記事
- 外出もしたい読書三昧もいい(2023.03.07)
- 知的障害ではなく、精神疾患でもなく(2023.01.16)
- 浴室の温風機は微妙(2023.01.05)
- ネアンデルタール人やら宇沢弘文など(2022.12.19)
- 新しい「雨水利用システム」(2022.02.11)
「美術エッセイ」カテゴリの記事
- 今日は本の日、シェイクスピアの誕生日(2023.04.23)
- バンクシーをも呑み込む現実?(2022.10.27)
- 今の時期にタンポポ(2022.10.22)
- 週末は薪ストーブ小屋で?(2022.04.07)
- 切り絵作家 坂下奈美や雪門玄松の周辺(2022.03.31)
コメント
この山は確か木曽駒と反対側に中央本線から見えたかと思います。火山にも拘らず宿泊施設などがお鉢にあったりする一方、その時の避難小屋があまり検討されていなかったようで驚いています。
ご神体の社を置くならばその下にシャルターを用意するなどの対策が採られていないのです。観光の経済効果を期待する半面、最低限の投資が出来ていないと感じました。なるほど溶岩流が噴出せば役立たないかもしれませんが、少なくとも噴石を避けるだけの十分な施設は準備しておくべきです。
同じように、富士山にも宿泊所や観測所跡があるならば、十分な人数が避難できるように半地下でシャルターを作るべきです。他の山は別にしてこうした火山性の山はブルトーザーとヘリで用意に建設できますので、その利用法を含めて対処するのが普通です。
監視カメラは至る所に設置しても直接人命を護る予算を計上しないのが日本の行政で、その裏には責任逃れの構造と利権があります。
投稿: pfaelzerwein | 2014/10/04 01:16
pfaelzerweinさん
長年、死火山状態だった山が79年に突然噴火、その後数回、噴火したことを考えると、活動期に入った可能性があると考えておくべきでした。
となると、観光客へ情報を流すと同時に、仰られるように、要所に退避壕を設置しておく。微動の回数が増えたら、その情報を登山口で登山客に流す、など、幾つかの対策が為されておくべきでした。
無論、噴火警戒レベルは「2」でしたでしょうね。
投稿: やいっち | 2014/10/04 21:50