そしてボクは世界の
真っ昼間。ぽっかり空いた公園。
ボクを圧倒する眩し過ぎる太陽。白い光が溢れ返っている。
立ち竦むしかない。薄っぺらな自分が露わだ。
← 「ブランコ」 (画像は、「ブランコ - Wikipedia」より)
誰もいない。みんな、何処へ行ったの?
ボクとの約束はどうなったのか。ああ、そうか、誰とも約束しなかったっけ。誰一人、お喋りする相手もいないんんじゃ、仕方ないね。
広すぎる公園のど真ん中を目指して歩いてみた。一度だってそんな真似をしたことがない。公園は見つめるだけのプリズムだった。ボクの視線は分光し、やがて粉々に砕け散る。それでも、凍て付いたガラスの時空はびくともしない。
プリズムの焦点は、ボクを映し返す。跳ね返す。弾き飛ばす。塵か埃のように、ボクは舞う。風に弄ばれ、気が付いたら、公園の端っこのブランコの上だ。
埋められたタイヤの上がよかったのに。雲梯みたいな鉄棒がよかったのに。滑り台なら、もっとよかったのに。
よりによって大嫌いなブランコの上。ゆらーり、ゆれて、ボクは居たたまれない。身じろぎもしないのに、ブランコはふり幅をドンドン広げていく。今にも半円を描きそうだよ。
→ お絵かきチャンピオン 作「斜者」
ロープにしがみ付くこともできず、といって、途中で勢いのままに飛び立つこともできず、怖くなってボクは座板に蹲る。遠心力のど真ん中で漲る力を感じるだけ。ボクは今、宇宙を感じている。猛烈な遠心力。度し難い重力。その拮抗。宇宙の意思って奴だ。
ボクはドンドン凝り固まっていった。頑固な肩凝りのような息苦しさを耐えていた。気が付くと、ボクは芯になっていた。極小のコア。二度と解れぬ糸玉。
そしてそれは今、世界の辺縁、そして軸芯なのだ。
(一昨日は、公園を巡って詩が掌編を書くつもりだった。なのに、「富山市は平坦な町」なんて小文を書いてしまった。今日こそ、とりあえずは詩もどきを書いてみた。)
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