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2014/09/14

富山市は平坦な町

 茶の間の窓から、田圃越しに公園が見える。アスレチック広場もあるし、少年野球くらいはできるグラウンドもある、なかなかの公園。綺麗に整備されていて、土日の賑わいはもちろんのこと、週日でも午後遅めの時間ともなると、子供連れのお母さんたちや犬を連れて散歩する姿も散見される。
 小さなかぬ公園を囲むように、木立が並んでいて、できて数年という公園だけあって、まだ若い樹木が多い。したがって、緑豊かというわけにはまだいかない。

 前にも書いたが、小生はこの公園が完成するまでは、しばしば訪れている。というより、雨さえ降っていなければ、連日、通うように行っていた。
 その頃はまだ、定職に就いておらず、運転代行や新聞配達で小銭を稼ぎながら、家事をこなす日々だったのである。つまり、仕事は夜なので、昼間は家事、その合間に、銭湯へ行く、その通り道に、わざわざ若干の回り道になるのも構わず、この公園を通るような道筋を選んでいた。

 造成中ということもあり、広い空間なので、人影も少ないし、夕日の、あるいは朝焼けの絶好のスポットだったのだ。
 完成してからは、もう、足が遠のいた。家族連れなど、子供が多いので、変なおっさんなどの足を踏み込む場ではなくなった。吾輩などが公園に<侵入>したら、どこの不審者が迷い込んできたかと、警戒されるのが落ちである。
 なので、今は茶の間の出窓からその公園のほうを眺めるだけである。
 あるいは、買い物の帰り、公園の脇を、その片隅を掠めるようにして通り過ぎていく。横目で、わき目で、公園の様子を伺うだけである。

 できれば、完成するまでの数年前のように、人影の少ない中、夕焼けを、あるいは朝焼けの立山連峰などを眺め、撮影したいものだ、というのがささやかな願いである。

 書いたように、この公園が好きというわけではない。あくまで広い空間の場に立ち、遠景を撮影したいと思うだけである。
 緑が生い茂るようになれば、散歩コースに組み込みたいが、まだまだ先の話だろうし、そもそも、並木道に囲まれた公園となる前に、樹木はあっさり剪定され、今のように、緑については、スカスカの状態をキープされていくような気がする。あくまで、子供(を連れた若い母親)が安心して憩いのひと時を持てるような空間を企図するものと推測される。

 富山は東京など比較にならないほどの田舎の町であり、緑は車で十数分も走らせれば、どこにでも林を森を愛でることができる(以下、特に断らない限り、富山市に焦点を合わせている。他の市町村はあまり知らないからである)。

 ただし、東京のように、都会の真ん中に日比谷だ明治神宮だ、皇居だ、新宿御苑だと、何か所も緑濃い公園があるわけではない。というより、皆無である。公園があっても、周りを杉や桜などが一重に巡っているだけで、外から公園を伺うと、緑の壁に中の空間が見通せない、なんて公園は市街地には一つもない。
 富山市は空襲で市街地が全焼したので、その後の復興の中でも、濃い緑の公園は計画されなかった。
 城址公園から松川、県庁などの辺りが、辛うじて緑が豊かだが、小生の好みからは遥かに遠い。高岡市の古城公園がやや古風な佇まいを保っているかもしれないが。

 ある意味、富山は、車で三十分も走らせると、田園風景どころか、里山地区に、それどころか山間部に入り込むので、市街地に樹木豊かな公園を持つ必要性を誰も感じないのかもしれない。
 富山は、平野部は平坦な町である。起伏が少ない。極端な位に少ない。
 特に富山市は戦災で灰燼に帰したので、入り組んだ路地が極小で、なおのこと、上下についても左右についても起伏も陰影も乏しい町である。
 曲がりくねった道が少ない(ある?)のも、欲求不満の種。

 東京は山の手と下町にはっきり分かれていて、山の手はまさに坂の町で、アンジュレーションの微妙さが町に深い陰影と物語性を与えている。
 歴史も数百年と刻まれたこともあって、街歩きは都会であっても面白い。撮影スポットも際限なくあった。東京在住の最後の12年余りはタクシードライバーだったが、営業中、都内各地を巡りながら、随所で撮影に興じたものだった。

 富山では、まだタクシードライバーになって3年と半年に過ぎないからかもしれないが、市街地で撮影の食指が動いた経験は皆無である。町中から不意に垣間見える立山連峰を撮るのがせいぜいのこと。
 富山市に限ると、町中に大きな公園(緑の濃い公園)がない、平坦過ぎて起伏に由来する土地的な面白みが乏しい、町中を行っても、撮影したいと思わせる風景が乏しい。
 歴史に由来する謎めいた物語性も、これまた皆無に近い。

 これは小説を書きたくなるモチベーションの低さとも連動していて、自分にとっては、やや深刻な問題なのである。どう、創作意欲を高めるか。
 こうなると、自分で富山市の各地の町名を織り込んだ創作を幾つも作って、その掌編の相乗効果で勝手に物語性を高めていくしかないのかもしれない、なんて、悲壮な思いでいるのだ。

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コメント

先日、品川区で「立山賛歌」というイベントがあり、参加してきました。
立山連峰の見どころや、歴史、信仰などの勉強をしましたよ。
博物館の館長さんも、壇上で解説されました。
北陸新幹線が開通したら、一度は行ってみたいところです。
市街地から見る立山は雄大ですが、立山から見る市街地もステキでした。
特に夜景。
平坦な道なら、歩きやすそうですね。

投稿: 砂希 | 2014/09/15 15:50

砂希さん

品川区で「立山賛歌」というイベント!
何故、品川区でそんなイベントがあったのでしょう。

富山は来春の新幹線開通を期して、富山を売り出そうと懸命で、特に東京で多くのイベントをする予定と聞いていますけど。

富山は平坦な町、なんて意味不明な記事を書いてしまいましたが、実は、公園を巡って、詩か掌編を書こうと思っていたのです。
が、時間がなくて、つい、惰性に流れて。

今日、改めて、創作に挑戦しました:
「そしてボクは世界の」
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2014/09/post-db8f.html

投稿: やいっち | 2014/09/16 21:48

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6月23日(木)八尾町から自宅に帰る前に、富山駅北の環水公園に立ち寄った。環水公 [続きを読む]

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