野暮用に忙殺されるからこそ読書
今日の休日は、前日から読みだしていたユーゴー作の「死刑囚最後の日」(岩波文庫)を未明に読了。
ついで、組合の定期大会へ向けての書類作りに没頭。会社にはないがしろにされている組合だけれど、あるとないとでは大違いだと思う。働くものをただのコスト、消耗品としか見ない現代社会。その傾向は強まるばかり。
← 野口武彦著『「今昔物語」いまむかし』(文藝春秋) (画像は、「『「今昔物語」いまむかし』野口武彦 単行本 - 文藝春秋BOOKS」より) 「古典への招待 【第38回:『今昔物語集』のおもしろさ】」など参照。
細々ながらでも労働組合を延命させないと。
完全歩合で働く労働者の気持ちをまるで理解しない、生まれながらの経営者御曹司社長に、少しでも底辺の思いを伝えたいと思う。
さて、こんな野暮用に忙殺されるだけに、逆に読書が楽しみであり励みとなる。
書類作りに一段落してから、ようやく次の本に手を出す。
それは、野口武彦著の『「今昔物語」いまむかし』(文藝春秋)である。
昨日、予約していた本を引取りに書店へ。
小生はいろんなジャンルの書架を観て回るのだが、それでも、大きな書店なので、全てのコーナーを観て回ることはできない。
→ 羅城門復元模型(京都文化博物館) 『羅生門』は、芥川龍之介の小説。『今昔物語集』の中の物語の内容を織り込みながら書かれたものである。上掲書でも、芥川の解釈が寸評されている。(画像は、「羅生門 (小説) - Wikipedia」より)
昨日は、いつもなら通り過ぎる一角に足を踏み入れた。全集ものがあるらしい。が、そこに思いがけない本を見つけた。たとえば、冒頭に三浦佑之と大和岩雄との対談が冒頭に載っている、さらには武田祐吉の「古事記」概観などが載っている、『古事記』(河出書房新社)なる書。全くノーマークの本。
小生は三浦佑之も大和岩雄の本も読んできたが、意見の異なる二人の対談が楽しみである。
見ると、名著〈文芸読本・古事記〉を再編集したもので、「新たに大和岩雄・三浦佑之対談や、古事記偽書説、古朝鮮からの影響などの論考を収録する決定版」だとか。久々に古代史関連の本を入手。
さらに同じ一角に、野口武彦著の『「今昔物語」いまむかし』(文藝春秋)があった。パラパラ捲ってみたら、文章がいい。ほんの一節を読んでみたが、達観した読みが淡々と、といって年齢相応に枯れることなく艶っぽさを感じさせつつ論が展開されている。
これは一読の値打ちが間違いなくあると感じ、衝動買い。
← 『【文芸の本棚】 古事記』(河出書房新社 編) (画像は、「古事記 河出書房新社」より)
いつかは、『源氏物語』をじっくり読みたいと思っているが、日本の特に平安の文化や社会を理解するには、『源氏物語』などの王朝文化作品ばかりではなく、『今昔物語』の俗の世界との両側に跨って目を配ることで初めて成ることと思うわけである。
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コメント
今月は私も読書に励んでいます。
忙しいときはダメですけど(笑)
夏休み中は、仕事を持ち帰ることもないし、結構時間があるんですよ。
読んだら、読書メーターに投稿。
感想を忘れることがなくなります。
古典は未知の分野です。
唯一、源氏物語を『あさきゆめみし』で読んだくらいですね。
『今昔物語』にはちょっとそそられますが。
投稿: 砂希 | 2014/08/23 20:08
砂希さん
仕事柄、夏休みなど長期休みの時以外は、雑用が多いですね。何かと、調べ事が多いようだし。
もっと、生徒さんたちに向き合えるようであってほしいですね。
本を読む。読書感想を書く。この二つを連動させるのっていいですね。印象が一層、強まるし深まる。
実際、読んだのを忘れきったりすることもある。
本を借りて読むのと、買って読むのも違うし、電子ブックで読むのも違う。
小生は古いタイプなので、できれば、買って読むのを続けたい。そんなに多く、読むわけじゃないし。
投稿: やいっち | 2014/08/23 22:29