核燃料サイクル政策は“ゴミとして処分可能”
夕食時、七時からのNHKニュースを観ていたら、気になるニュースが報じられた。
「使用済み核燃料“ゴミとして処分可能”」である。
「原子力発電所から出る使用済み核燃料について、国は資源としてすべて再処理して利用するとした「核燃料サイクル政策」の実現を目指していますが、日本原子力研究開発機構が、再処理せずにゴミとして処分した場合の環境への影響を評価し、「処分は可能」とした初めての報告書案をまとめたことが分かりました」というのだ。
↑ 核燃料サイクルの概念図(資源エネルギー庁資料) (画像は、「【解説】核燃料サイクル政策の現状 — 全量再処理方策の再検討が始まる Global Energy Policy Research」より)
「使用済み核燃料を巡る今後の議論の行方が注目されます」というが、「原発から出る使用済み核燃料について、国はすべて資源として再処理し、燃料として利用する「核燃料サイクル政策」の実現を基本方針としていて」いたことからすると、核燃料リサイクルという従前の方式からの大転換ではないか。
以下、重要なニュースだと思うので、当該のニュースを是非、覗いてみてもらいたい:
「使用済み核燃料“ゴミとして処分可能” NHKニュース」
「「核燃料サイクル政策」を巡っては再処理工場の本格稼働のめどが立たないなど見通しが不透明な一方、全国の原発などには1万7000トンもの使用済み核燃料がたまっていて、今回、直接処分することの技術的な可能性が示されたことで、今後の議論の行方が注目されます」って、大注目である。
ほとんど、国として、「核燃料サイクル政策」の放棄を宣言したようなものだ。
「使用済み核燃料は高レベル放射性廃棄物と比べて放射線量が高いなどの課題が指摘されていますが、報告書案では、仮に地下1000メートルに100万年間埋めた場合、含まれる放射性物質の分析から地上で受ける放射線量は3000年後に最大となり、年間およそ0.3マイクロシーベルトと試算しています。そのうえで「十分に低い値で使用済み核燃料を再処理せずに直接処分することは技術的に可能」としています」って、本当かね。
安全神話を新たに作るだけのことじゃないの?
誰が真に受ける? やはり、経済的に困窮する何処かの地方自治体が引き受けることを当てにする?
「政府がことし4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」では、使用済み核燃料をすべて再処理するとした従来の方針は維持しながら、再処理せずにそのままゴミとして処分する「直接処分」についても「調査・研究を推進する」と初めて明記されました」というから、国は密かに(でも、あからさまに)、方針の大転換を画策していたわけだ。
ただ、実現の見通しの暗さからして、4月に閣議決定した「エネルギー基本計画」は、最初から絵に描いた餅のような計画に思えてならない。
以前も何処かで書いたけど、たとえば、鉛筆一本について、これは貴重品だからと、「地下1000メートルに100万年間埋めた場合」(あるいは他のアイデアに頼ったとして)、百万年も傷一つ付けず、劣化もさせず、保存することができると誰が保障できる? そもそも、誰か百万年昔に埋めた宝石箱の在り処も、そもそも埋めたこと自体も思い出してくれるだろうか?
きっと、今世紀の終りか来世紀の前半に、リニア新幹線のスーパー版なんてのが計画され、大深度の地下が掘り返され、あれ? 何か変な異物を掘り出しちゃったよって、大騒ぎになること必定であないのだろうか。
小生は「使用済み核燃料“ゴミとして処分可能”」というのは、むしろ、「核燃料サイクル政策は“ゴミとして処分可能”」と読み替えたい気分である。
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