風邪を引いて『隔離の島』へ
思いがけなく風邪を引いたこともあって、仕事は休み。さすがに畑も庭も一切、世話しない。ひたすら養生。
別に風邪薬を飲んだわけではないが、短い眠りを断続的に繰り返している。というか、ぐっすり眠れないのである。
← ル・クレジオ 著『隔離の島』 (中地 義和 翻訳 筑摩書房) 今日から読み始める。ル・クレジオだもの。ランボーだもの。自分には一番、縁の薄い詩の世界なのだけど、それこそ、無限よりはるかな世界だけれど、郷愁と羨望と憧憬の念で読むっきゃない! (画像は、「筑摩書房 隔離の島 - ル・クレジオ 著, 中地 義和 著」より)
もう、寝足りたかなと、寝室から茶の間に移動し、リクライニングに体を埋めて読書…し始めると、ほんの数頁も読まないうちになんとなく億劫になり、目を閉じ、空想に耽りだすと、本をお腹に抱え込み、老眼鏡も架けたまま、いつしか居眠りと相成る。
目覚めると、一瞬、頭がすっきりしたような気がして、本を手にするのだが、やはり、少々読むと本を持つ手が重く感じられてしまう。
そんな繰り返し。

→ プラト島(flat island Platte Island) (画像は、「The Islands of the Seychelles」より)
ジョン・D.バロウ著の『無限の話』(松浦俊輔訳 青土社)の残りの百頁余りをそれでも読み切った。無限の世界へ空想を巡らす。
さて、次に何を読むか。未読の本が並ぶ小さなカラーボックスを眺める。
堀内大学への聞き書きの本、『古語拾遺』、橘曙覧の全歌集、ルネホッケの大著、マルケスの『落ち葉』、プルーストの吉川氏による翻訳(最新刊)、ポール・オースターの新刊、司馬遼太郎『播磨灘物語』など、候補は目白押しである。
あるいは、思い切って、車中でちびちび読んでいる、大西巨人の『神聖喜劇』を自宅で読むか……。
が、ふと、ル・クレジオ 著『隔離の島』 (中地 義和 翻訳 筑摩書房)が目に入った。半年近く前に入手したまま、ずっとキープしてきた本である。
ふと、ル・クレジオの世界への誘惑を感じた。今こそ、彼の本を読もう!
← ジョン・D.バロウ著『無限の話』(松浦俊輔訳 青土社) 昨日というか、今朝未明、寝床の中で半ば、夢現のままに読了。(画像は、「楽天ブックス 無限の話 - ジョン・D.バロウ - 4791762584 本」より)
別に体調のすぐれない、やや弱った状態の今の自分に彼の本の世界が相応しいとか、そんなことじゃない。
でも、自宅に籠る生活が、「隔離」という言葉・状態に親和させたという可能性は否定できない。
本書の冒頭に載っている、「日本語版に寄せて」という短い一文。
せっかくなので(?)、その最初の一段落だけ、以下に転記する:
一八九一年のことであるが、私の母方の祖父アレクシ・ル・クレジオは、医学校入学の準備を終えのちの私の祖母(当時はまだ十五歳!)と結婚できるようになるのを待ちがてら、モーリシャスの家族のもとに帰省することにした。祖父が乗船したのはフランス郵便会社のアマゾン号、その少し前に紅海を横断してアフリカからイエメンのアデンにアルチュール・ランボーを移送したまさにその船だった。短時間アフリカ東岸に寄港した船は、ザンジバルで二人の移住者を不法に乗船させたために、モーリシャスで足止めを食う羽目になった。船上で天然痘の症状を呈する者が一名見つかったのである。そこで乗組員一同と乗客は、四十日間の検疫隔離に服すべく、モーリシャスの北に位置するプラト島に下船することを余儀なくされた。この強制滞在をめぐる祖父の記憶が、以下に読まれる小説の起源になった。
まあ、こんな次第では、読まないわけにいかない。たとえ、相当に脚色が加わっているし、物語化されているとはいえ、ル・クレジオと(思い入れ深い)ランボーとの化学反応の書であったとしても、である。
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