越中富山の金さん 七かね山
7月10日(木)付けの北日本新聞(朝刊)に、興味深い特集記事を見つけた。
越中は昔、日本有数のエル・ドラド(黄金郷)だったという、「越中エル・ドラド」と題された記事。
書き手は元北日本新聞論説委員で現在、滑川教育委員長の辻沢賢信氏である。
← 「松倉金山発掘の図」
「ふるさと歴史秘話」と題され、今後、毎週木曜日に掲載される、その第一回目の特集である。
越中では昔、金などが豊富に産出していたという話は、数年前、何かの媒体で仄聞したことがある。
上掲の記事によると、あるいは有名な佐渡金山に倍する産出量だった時期もあったかもしれないという。
なのに、あまり知られていないのは何故か。小生自身、ほんの数年前に知るまでは、そんな知識はまるでなかった。
辻沢賢信氏によると、「正式な記録が残っていないのは、加賀藩が利権確保のため、秘密がばれるのを恐れたから」だという。「鉱山の入口には番所を設けて、幕府隠密の出入りを厳重に防止した」という。
加賀藩(金沢市)が昔から裕福だったのも、富山からの金やコメの収奪があったからである。そもそも日本は、古代から金の産出は豊富だった。金脈は全国的に見つかっていた。
その中、越中では、「七かね山」(越中七金山とも)と称される金脈があった。
「七かね山 とは - コトバンク」によると、「越中新川郡七かね山(松倉・河原波・虎谷・下田(げた)の金山,吉野・亀谷(かめがや)の銀山,長棟(ながと)の鉛山),婦負郡片掛銀山は初期には加賀・富山両藩のドル箱であったが急速に衰滅した」(世界大百科事典より)などとある。
「繁栄をささえた金山」(ホームページは、「魚津市立松倉小学校」)には、「1393年~1764年ごろまでに、今の富山県に七つの鉱山(越中七金山)がありました。そのうち、松倉には、松倉、虎谷(とらだに)、河原波(かわらなみ)の三つの金山があり、武士たちが、うばいあいをくり返していました」とある。
このサイトには、「松倉金山発掘の図」が載っていて、参考になる。
さらに、「松倉金山の探検」なる頁は、興味津々である。
「七かね山」(越中七金山とも)、その中の松倉金山など、地域を整備すれば、越中富山の話題のスポットとして全国的に有名になるのも、夢じゃない気がする。
あるいは歴史を塗り替える可能性もなきにしもあらず、である。
→ 「松倉金山発掘の図」
「越中七かね山 山川旅人日記」によると、「大坂夏の陣の褒賞に、幕府は四国全土を与えようとしたが、三代利常は固辞して受けなかった。危険な転封を避けるとともに、最盛期の金銀山が領内に存在したためといわれる」とか。不勉強で、この経緯は小生、初耳である。
四国全土より、七かね山のある越中(新川郡)!
銀山では、吉野銀山など。ここいについては、「富山市吉野(旧上新川郡大沢野町)蔵王社 由緒書 - 新川神社」が詳しい。
「蔵王社」の祭神は「安閑天皇・大山祇命・金山彦命」の三神だが、その一神「金山彦命」は、「鉱山を守り、冶金の安全をつかさどる鉱業の神」である。古代からの鉱山だったわけだ。
吉野「鉱山の最盛期には山師が多く集まって千軒近い鉱夫の家があったという」。
ところで、小生、富山は「富の山」なのでこう名付けられた、なんて冗談を書いたことがあったが、越中エル・ドラドだったとしたら、まんざら冗談とも言い切れなかったわけである。
参考:
「辻沢賢信氏「富山でゴールドラッシュ」北日本新聞 山川旅人日記」
「越中七かね山 山川旅人日記」
「富山市吉野(旧上新川郡大沢野町)蔵王社 由緒書 - 新川神社」
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