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2014/06/09

混迷の組合活動

 過日の日記でも書いたように、小生は今、某組合の執行委員長代行の任を担っている。まったく思いがけない事情があっての代行就任である。

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 そもそも、一般論としては組合の存在の意義は理解できるし、労働者の環境が悪化の一途をたどる今日、ますます労働組合の果たす役割の重さは増すばかりだとも思う。
 しかし、まさか自分がその組合に関わり、しかも、当人にどれだけ自覚があるのかはなはだ心もとないとしても、とにもかくにも、責任者の立場に就くとは。

 今日、その組合の所要があって、地連の事務局へ赴いた。用事は組合費の払い込みだが、そこに地連の幹部、一番の責任者が二人居られた。

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← 有島武郎著『或る女』(新潮文庫) 彼の作品、『カインの末裔』『小さき者へ』『生れ出づる悩み』などを読んできたが、それなりに、というのが正直な感想。だけど、この『或る女』は別格。「個性を抑圧する社会道徳に反抗し、不羈(ふき)奔放に生き通そうとして、むなしく敗れた一人の女性の激情と運命を描きつくした、リアリズム文学の最高傑作のひとつ」というが、その解釈や文学史上の位置付けはともかく、島崎藤村の『夜明け前』に匹敵する、世界レベルの小説だと思う。学生時代、中央公論社の世界の文學シリーズの中の一冊でたまたま読んだのだが、圧巻であり表現力の卓抜さに圧倒された。当時、小生自身、若かったこともあり、初恋の人を思い入れしつつ読んでいた気味もあった。下手すると四十年ぶりに再読する今の自分はどう感じるか、自分でも興味深い。今日、冒頭の数十頁を読んだだけだが、その筆力にグングン作品世界の中へ引き込まれていく。これは、自宅で読まねばあかんだろう! (画像は、「有島武郎『或る女』|新潮社」より)

 請求された分を支払ったら、さっさと立ち去るはずが、とうとう一時間半も話し込むことに。
 どうやら、新しく委員長代行となった小生の首実検の意味合い、そして、困窮し混迷する我が組合の現状や行く末を心配してのことのよう。
 さすがに幹部だけあって、頭脳明晰だし、思慮深い。こちらの実情を理解し、できるだけの援助やサポートの意思をも表明してくれた。

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 吾輩の会社には乗務員は40名あまり。そのうち、ちゃんと活動している第一組合(吾輩が所属する)は組合員が僅か17名。組合費を昨年4000円から3000円に下げたこともあり、組合の活動費は極めて乏しい。
 執行部の面々は、最低限の時間弁償すら得られず、手弁当で活動している。
 
 会社には、名目だけの第二組合があって、この組合にも委員長はいるが、一切組合活動はしていない。組合費も一切、払っていない(給料から天引きされていない)。正社員になるには、組合に加入しなければならないので、こうした名目だけの組合があるわけである。こちらのほうが、組合員の数は多い。
 実際の活動は第一組合が行っている。会社との団体交渉などで会社から勝ち取った成果は、第一第二に関係なく、全乗務員や従業員が享受する。
 となると、わざわざ組合費を払って真面目に頑張る第一組合は、慈善団体のようなものである。

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← 村上敏夫著『宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト どこから来るのか、なぜ起こるのか』(講談社ブルーバックス) 「ガンマ線バーストは、電磁波の一種であるガンマ線が大量に放出される「宇宙最大の爆発」のこと。数千億の星を集めた銀河よりもずっと明るく輝く想像を超えた大規模な爆発です。最近では恐竜の大絶滅の原因ではないかという説もあ」るとか。「はるか遠方で起きることから、ガンマ線バーストによって宇宙の起源が解明できるのではと言われてい」るとも。過日、落合 栄一郎【著】『放射能と人体―細胞・分子レベルからみた放射線被曝』(講談社ブルーバックス)を読んだこともあり、放射能との絡みもあって、本書を昨日から車中で読みだした。 (画像や情報は、「宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト  講談社」より)

 さて、地連へ行って幹部の方々と話し合う中で、日ごろ小生自身が考えていることが改めてクローズアップされたり、明確になったことが幾つもあった。さらに、まるで考えていなかった観点も与えてくれて、話し合う意義の大きさを感じた。

 以下、羅列風に幾つか順不同で列挙してみる。

 会社側とのユニオンショップ協定の順守を会社側に念を押す(ユニオン・ショップとは、「職場において労働者が必ず労働組合に加入しなければならないという制度」のこと)。
 乗務員を採用する際、正社員になるには、組合への加入を条件付けている点の再確認と、その実行を。

 第一組合への加入に際しネックになるのが、組合費(3000円)である。実際にはこれでも不足なのだが、不況の最中、収入の上向かない現状にあっては、高く感じる人もいるのは分からなくもない。よって、組合費を収入の2%にする、といった案も検討してみるのもアイデアかも。
 第一組合と第二組合の合体を目指す。そのことで、会社側への発言権を高め、同時に、組合活動費の不足(手弁当での活動)の解消を目指す。
 実際の活動は第一組合が行っている。会社との団体交渉などで会社から勝ち取った成果は、第一第二に関係なく、全乗務員や従業員が享受する。
 となると、わざわざ組合費を払って真面目に頑張る第一組合は、慈善団体のようなものである。このことの理不尽さをもっと訴えるべき。
 組合が存在する意義を再確認する。第一第二組合員それぞれに。ちゃんと活動する組合がなければ、会社側(経営者側)の意向のみが幅を利かせ、乗務員(従業員)の立場は弱くなる一方(経営者側vs個人)である。
 組合費からの地連(上部組織)への上納は、より大きな当局(市や県、会社、行政組織、国)への発言力となる。実際の法案の形で跳ね返ってくる。
 サブロク協定(36協定)の重要性の再確認。
 労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)の要点は以下:

労働者を法定労働時間(1日8時間1週40時間)を超えて(延長して)労働させる場合や、休日に(1週1回または4週を通じて4回を下回って)労働させる場合には、あらかじめ労働組合(労働組合がない場合には労働者の代表)と使用者で書面による協定を締結しておかなければならない。

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 サブロク協定(36協定)の重要性を強調するのは、乗務員が全体として給料(収入)の水準をあげたいという目途があるからである。
 早出や過度の残業をせずとも、所定の勤務時間内で効率的に(つまり採算性を高める)働くことで、みんなが平均して売り上げを、つまりは賃金をアップさせるよう、会社も乗務員(従業員)側も協力すべきなのである。
 


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