山の版画家・畦地梅太郎の世界
今日は昨夜来の雨がほぼ終日、続いた。
畑など外仕事はできない。おかげで、ゆっくり読書と居眠りを愉しんだ。
← 「畦地梅太郎 新収作品展(2014.4.13〜9.28)
」 (画像は、「あとりえ・う(畦地梅太郎ギャラリー)」より。このギャラリーは、山の版画家・畦地梅太郎の作品をゆっくり楽しむためのもので、畦地梅太郎のアトリエを改装して、2001年6月にオープンした。)
本日、伊藤 正一著『定本 黒部の山賊 アルプスの怪』(山と溪谷社)を読了。
知る人ぞ知る、ロングセラー本。
→ 「山の釣り人」(1964) 伊藤正一氏の著作『黒部の山賊』の表紙の原画として制作されたとか。本書『黒部の山賊』の旧版のカバーに使われた。傘……じゃなく、釣竿を持った山男を描いた作品。 (画像は、「畦地梅太郎 あとりえ・う on the web 山男1960s」より)
本書には、黒部源流周辺図(現在)や、本書に登場する昭和20から30年代半ばころの状況を統合したという、「『黒部の山賊』の舞台」(当時)の地図が載っている。エピソードがあった場所が地図上に示されている。
← 「とりをいだいて」(1972) 畦地梅太郎に孫が誕生した頃の作品。 (画像は、「畦地梅太郎 あとりえ・う on the web 山男1970s」より)
本書のエピソードの数々を読みながら、その舞台の地を地図上でその都度探して、時になかなか見つからず、地図上で遭難しそうになったり、それがまた楽しかった。
できるだけ想像力を逞しくして読むことで、せめて山の素晴らしさと厳しさを看取しようと努めた。
→ 「山湖のほとり」(1983) 「山への想いを抱きつつももう山に登ることができなくなった、という者にとってのあこがれの姿を描いた作品」だとか。まして、まるで登る勇気も覇気もない、だけど山に憧れるものには、羨望の世界だ。 (画像は、「畦地梅太郎 あとりえ・う on the web 山男1980s-」より)
熊との遭遇の場面が幾度となくあるが、クマには背を見せない、目を合わせ目を背けないでいると、そのうちクマの方で逃げ去っていく、などと(実際にクマに遭遇したら自分にはできないだろうけど)あって、興味が尽きなかった。
← 「八ヶ岳山ろく」(1953) 「若い頃は、冬になると仕事で信州に赴くことが多かった」とか。 (画像は、「畦地梅太郎 あとりえ・う on the web 風景画」より)
この本を読んで、いつか山へ…なんてことは思わなかったが。あと二十年早ければ分からなかったが。
今日は、伊藤正一の著作『黒部の山賊』(旧版)の表紙の原画を描いたという、版画家・畦地梅太郎の作品を幾つか紹介する。
→ 「残雪の道」(1964) 「山々や融け始めた雪、曲がりくねる山道が描かれた抽象画作品」らしいが、ちょっと見には、ピカソじゃないが、顔、あるいは上半身の抽象画という印象も。恩地孝四郎の影響も受けた? (画像は、「畦地梅太郎 あとりえ・う on the web 抽象画」より)
「畦地 梅太郎は昭和期に活躍した日本の版画家。 山岳風景を題材とした木版画作品を多数発表し、「山の版画家」として知られる。画文集の出版や装丁、挿画などの分野でも活躍した」という。
町田市立国際版画美術館でも展覧会があったようで、小生も見る機会があったわけだ。
← 「山の音」(1967) 山に登る者にしか分からない音が聞こえるという。本書でも謎の音の話題が出ていて、アルプスの怪の大きな一つ。その後、科学的に解明された現象もあるようだが、すべてが究明されたわけではない…らしい。本書、「定本」のカバー挿画である。 (画像は、「畦地梅太郎 あとりえ・う on the web 山男1960s」より)
「畦地梅太郎記念美術館・井関邦三郎記念館」
「アートギャラリーミューズ 作家 畦地 梅太郎」
「あとりえ・う(畦地梅太郎ギャラリー)」
「畦地梅太郎 - Wikipedia」
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コメント
山か、山の展覧会では、写真美術館で山岳写真のパイオニアの展覧会、黒部と槍 が行われました。
http://www.syabi.com/
最近、東京の美術館は改装などで、長期休館になるところが多いのですが、写真美術館もその一つ、もうすぐ休館に入ります。
マルシア ガルケスの評伝が新潮選書から、もうご覧になられたかな。
投稿: oki | 2014/05/23 22:18
oki さん
黒部と槍 冠松次郎と穂苅三寿雄、ですね。観れたらよかった。
「山の日」決定にちなんでの展示かな。
いま、読んでいる本を読了したら、次の本。
マルケスについては、他にも読みたい本があります。
投稿: やいっち | 2014/05/24 19:29