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2014/05/10

「安全神話」から「安心神話」へ だって

「2011年3月11日に発生した東日本大震災による甚大な被害は、驚愕すべきものであった」が、復旧復興の道のりはまだまだ遠いようだ。

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→ 苧環が花盛り。何とか群生にしたい。

 特に福島の復旧復興について難しくしているのが、何といっても、東京電力福島第一原子力発電所の事故である。
 怖いのは、未だに事故の原因が分かっていないこと。「最大の理由は、原子炉周辺の放射線量が高く、充分な立ち入り検査ができないためである」。

 東電(や政府)は、甚大な事故の原因は地震じゃなく、津波のせいにしたがっているようだ。どうやら、「安全神話」に代わる「安心神話」の創出を目論んでいることがありそう。

今度は、原発事故から生じるような低線量放射能は、健康に大きな被害を及ぼすはずがないという「安心神話」を広め、人類が、原発との共存を容認するように仕向けようとしている」!

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← 落合 栄一郎【著】『放射能と人体―細胞・分子レベルからみた放射線被曝』(講談社ブルーバックス) (画像は、「紀伊國屋書店ウェブストア」より)

 小生が本書・落合 栄一郎著の『放射能と人体―細胞・分子レベルからみた放射線被曝』(講談社ブルーバックス)を手にしたのは、「3基分ものメルトダウンした核燃料の処置という問題は、人類が経験したことのない事象であり、これを放置すれば、そこに含まれる放射性物質の放散を免れない。放射性物質は初期の爆発に伴ったもの以外にも、現在も出続けている。福島の子供たちに甲状腺がんが異常な高率で発生しているし、心臓疾患その他の病気も増加しているようである」といった深刻な事態もだが、そもそも放射能の何が怖いのか、人体への影響はどのようなものなのか、基本のところがあやふやだったからだ。

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→ 以下、緑豊かな我が家の庭。緑が多いと、立派な庭に見える。

 著者は化学者のようだが、「これまで、自分が放射能問題を充分に考えてこなかったことを反省し、新たに、原子力、放射能、その健康への影響を学ぶべく努力を開始した」という。
「科学的常識から、放射能問題を徹底的に考えてみようとし」、「今回、日本の人々向けに、放射能の生命に対する影響の問題をさらに詳しく考察してみようと試みたのが本書」なのだとか。

 この辺り、「『放射能と人体』 細胞・分子レベルからみた放射線被曝 落合栄一郎=著  ブルーバックス前書き図書館 現代ビジネス [講談社] その1」や「 『放射能と人体』 細胞・分子レベルからみた放射線被曝 落合栄一郎=著  ブルーバックス前書き図書館 現代ビジネス [講談社] その2」が参考になる。
 ここには、著者による本書のまえがきが載っている。

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 とりわけ、「放射能の生体に対する影響に関しての科学的知見はまだ不充分な点が多いが、がんとの関連は比較的詳しく研究されている。そのこともあって、放射能の健康被害というと、すぐ「がん」となる。専門家も一般市民も含めての反応である。しかし、がん以外のあらゆる健康障害が、放射能によって引き起こされうることは、科学者でなくとも推測できるし、事実すでにかなりのデータが集積されている」点は、留意したい。

 本書は、著者によると、「扱っているのは、放射能というものの健康に対する負の影響の解明であり、「(高エネルギー)放射線は生命と相容れない」という命題を、検証しようとするものであ」り、「これが検証されたならば、原爆・原発とも、放射性物質を作り出し、環境にばらまく(意図的か非意図的かにかかわらず)ことは、これ以上してはならないことになる。それは生命の存続の可否の問題であり、生きる権利という最も基本的な人権問題(他の生物にとっては生命権)といってよいかもしれない」。
 まさしく、「政治・経済を超越した問題である」。

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 小生は、本書を車中で読もうと、冒頭部分を読みだしたのだが、これは腰を据えて読まないといけないと思い直し、今、読んでいるマーク・ローランズ著『哲学者とオオカミ 愛・死・幸福についてのレッスン』(今泉 みね子訳 白水社)を読了後、本書に改めて取り掛かることにした。
 これはこれで面白い。オオカミとの生活。イヌとはまるで違うオオカミの習性。

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コメント

まあ、困ったもんです。
都会では、原発事故があったことなど、とうに忘れ去られています。
僕が、原発問題に関心があるのは、この問題を扱い続けている、東京新聞を読んでいるから。
読売や産経の講読者なんて、取り上げないから忘れているでしょうね。
全国紙の朝日や毎日はどのくらい取り上げているのか。
ともかく、東京は、しつこいくらいに取り上げます。
他の、再稼働予定の原発のこともしょっちゅう。
浜岡原発と南海トラフの地震のこととか。
週刊誌も腰が弱い。
福島第一原発に二年前、入って、単独で悲惨な姿をレポートした、週刊朝日も、編集長が女性に替わったら、取り上げない。
比較的取り上げるのは、週刊金曜日くらいですが、この週刊誌はマイナーな存在、まあ困ったもんです。

投稿: oki | 2014/05/14 21:52

okiさん

読売やなんて論外です。読売は原子力の平和利用を推進した正力の新聞。福島の事故があった際も、さっさと原発政策の推進を臆面もなく。
産経は論外。
東京新聞は読んでませんが、小生は朝日を取っています。これは大新聞の中では比較的持続的に取り扱っています。

心配なのは、某国営放送です。会長の影響がじわじわ効いているようです。原発や事故についての、他ではできない特集が消えていきそう。
新聞系の週刊誌は昔からつまらない。かといって、一般の週刊誌は眼中にないですが。

投稿: やいっち | 2014/05/14 22:27

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