梶井の清新さに驚く
昨日は仕事だったが、信じられないほどに暇で、待機時間も長く、とうとう「詩と真実 ちくま哲学の森 6」(筑摩書房)の残りの150頁余りを一気に読み通してしまった。
→ 野暮用で町中に出た。帰り、川に架けられた古い橋を渡ろうとしたら、水面にカモたちが。冷たくないのかな。
マスコミだと、少なくとも一部では、消費増税まえの駆け込み需要で盛り上がっているというが、やはり、おカネに余裕のある人が元気なだけのようだ。
小生の読み通り、アベノミクスは、日銀による(消費税10%実現までの間の)ミニバブル誘発で、物価だけは上がるが、賃金はそれほど上がらない、つまり結果的に労働者の賃金が目減りするという結果に終わりそうである。
企業には労働コストが下がって、(国際的な)競争力がアップしていいのだろうけど、大多数の労働者は浮かばれない…沈みっ放しに終わる。
われわれ国民は浮かばれないなー。
← 「詩と真実 ちくま哲学の森 6」(筑摩書房) (画像は、「筑摩書房 ちくま哲学の森 6 詩と真実 - 鶴見 俊輔 著, 安野 光雅 著, 森 毅 著」より)
さて、書庫から引っ張り出した、「詩と真実 ちくま哲学の森 6」だが、買ったのは89年。
丁度、四半世紀ぶりの再読となったわけだ。
当時の読書界では、ホットだった書き手も、今となっては忘れられつつある人物も居そうである。
念のため、どのような内容なのか、目次だけ示しておく:
箴言(ジレージウス)
芸術に関する一〇一章より(アラン)
昨日、動く砂は(ジャコメッティ)
下手もの漫談(小出楢重)
詩人失格(遠山啓)
自画像(寺田寅彦)
モンテーニュ(落合太郎)
断食芸人(カフカ)
酔中一家言(尾崎士郎)
桜間弓川さんのこと(野上弥生子)
間(武智鉄二)
艶、深、偉(円地文子)
芝居絵(花田清輝)
FARCEに就て(坂口安吾)
模倣と独立(夏目漱石)
素朴ということ(中野重治)
中国文学と日本文学(竹内好)
桜の樹の下には(梶井基次郎)
美について(田中美知太郎)
美の法門(柳宗悦)
茶室(岡倉天心)
歌よみに与うる書(正岡子規)
蕪村俳句のポエジイに就いて(萩原朔太郎)
曖昧な諺(滝口修三)
オーベルジンの偶像(西脇順三郎)
悦ばしき知識(深瀬基寛)

→ 昨日、休憩中にまたまたシラサギを観た。川の土手の斜面で、じっと水面を見つめていた。哲人の風情が感じられる。
恥ずかしながら、深瀬基寛の名は初耳だった。
竹内好や中野重治、花田清輝、落合太郎、西脇順三郎、武智鉄二、滝口修三、坂口安吾、田中美知太郎、アランなどは、今も読まれているのだろうか。
ジャコメッティや円地文子、寺田寅彦、正岡子規、遠山啓などは、懐かしいし、やはり読み応えがある。
カフカや梶井基次郎は、これからもまだまだ読み継がれるだろう。
梶井の『桜の樹の下には』が、『檸檬』共々、昭和の始めに、彼が30歳の頃に書かれた作品であることに、改めて驚かされる。清新さはちっとも色褪せていない。
← 萩原朔太郎著『郷愁の詩人 与謝蕪村』 (岩波文庫)
意外というか、再発見だったのは、萩原朔太郎の蕪村論。俳人としての蕪村を論じる、というより、蕪村の俳句の中に朔太郎の読み込みたい浪漫性の世界を読み取っているのだが、詩人の思い入れが感じられた。
思わず、今日、書店で萩原朔太郎著の『郷愁の詩人 与謝蕪村』(岩波文庫)を買ってきてしまった。車中で楽しみたい。
芭蕉は別格として、蕪村の世界は好きなので、朔太郎節はともかく、自分なりに蕪村を愉しむつもり。
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コメント
僕は、柳の、美の法門に惹かれますね。
美ははたして人を救うのか、難しい問題です。
ところで、富山は雪は積もってないのですか?
写真見る限り、雪がない。
東京は二回の大雪で、まだ、孤立集落があったり、大変です。
スーパーに全くパンがない状態です。
異常気象を通り越して、夏の猛暑と言い、日本も、経験したことない状態になってますね。
投稿: oki | 2014/02/18 23:32
最初の川の写真ですが「いたち川」でしょうか、あまり見たことない景色です。良かったら場所を教えて下さい。
投稿: SILVIAおじさん | 2014/02/19 21:09
oki さん
柳の小論は、テーマとしては極めて面白いけど(今、読んでいるゴンチャロフの「断崖」もマンの「ファウスト博士」も、同じ問題を扱っている)、論考としてはつまらなかった。
富山の平野部は、路肩などに除雪した雪があちこちで見えるだけ。
尤も、我が家の庭は日陰なので、結構、根雪状態。富山市の平野部で最後まで雪が残るのは我が家かも。
太平洋側は、雪には弱いですね。想定外。
でも、春夏の異常な雨を考えたら、冬の雪も、想定外がありえるという発想法が必要でしょうね。
もう、想定外なんて言葉、当局から聞きたくないです。
とにかく、温暖化の進行の結果は従来でいう想定外の連続と考えるべきでしょう。
原発なんて、論外だと、誰もが認識すべきでしょう。
投稿: やいっち | 2014/02/19 21:50
SILVIAおじさんさん
例の老朽化で橋としての危険性が指摘されていた、八田橋です:
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2013/08/post-f326.html
念のために断わっておくと、今、橋の補修中です。
投稿: やいっち | 2014/02/19 21:53