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2014/02/10

文学のミクロ・マクロコスモスへ

 昨日は仕事だった。最後のお客さんを乗せたのは、夜半過ぎ。
 いろいろお喋りに興じつつ、車を走らせた。
 今冬は富山の降雪が異常に少ない…なんて今や定番の話題、東京じゃ、長靴なんて買ったことない、などを糸口に富山と東京の話になった。

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← ゴンチャロフ【作】『 断崖〈1〉 (改版)』(井上 満【訳】 岩波文庫) 新装復刊、大歓迎である! 彼の小説はやたらと長いが、スローな物語の展開もにこだわることなく、語り口そのものを愉しめばいいのだ。

 そのお客さんが聞いた、東京から富山へ引っ越してこられた方の、富山に抱いた感想や印象。
 どうやら、ご主人が富山の方で、結婚して富山へ来られたらしい。

 そのお嫁さん曰く、富山に来て驚いたのは、星空の綺麗さ。
 富山に来て、夜空にはあんなに多くの星々が瞬いているのだと知ったという。

 東京だと、夜空には数えるほどの星。これは小生も東京在住30年なので、夜空の星の数の乏しいことは実感している。
 でも、東京生まれで育ちだと、それが当たり前だと思っている。
 それこそが実は異常なのだと富山などの地方に来ると気づくわけである。

 お客さんとの雑談の中で、東京の夜空に星が乏しいのはなぜかという話にも及んで行った。空気の汚さ(昔よりはましになったけど)、都会ならではの終夜の明るさ、などなど。
 地方つまり富山に住む我々には、夜空の星が平野部でも結構な数、眺め上げられるのは当たり前になっていて、そのありがたさを自覚できない面もある…なんて話にも及んだ。

 富山では夜空の星が市街地でも結構な数、愛でることができる、なんて書いたが、富山の今冬の降雪の少なさも異常だが、今冬の異常さとして、冬の富山(北陸)特有の鉛色の空(曇天)の日が少ないこと、逆に晴天の日が多く、因って、晴れ渡った夜空に恵まれる機会の多いことを感じている。

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→ 御雛様や人形の館にするつもりで、綺麗にした部屋。労苦は水の泡と消えた。部屋の一角に机があり、その上にカラーボックスを置いた。父母の日記やアルバムをまとめたのだ。ふと見ると、壁に「馬」の掛物が。せっかくなので、画像を載せておく。

 小生は駅などで待機している際、夜など、空を眺めてぼーとすることが多い。駅前で夜空をぼけーと眺め上げている奴がいたら、それは小生である。
 あの星たちの世界を理解しようとしている人がいる(理解したいと思うだけなら小生も、その例外ではないが)。
 それどころか、いつの日か、あの星の世界へ旅立ちたいと願っている…だけじゃなく、実現しようと考える人もいる。
 数十年も前、アメリカが月に人類の足跡を着けさせた、小生はそんなことが可能なのか、しかも、実現させてしまったのかと、心底、驚いたものだった。
 次は火星だとも。
 
 さて、過日より、リサ・ランドール著の『宇宙の扉をノックする』(NHK出版)を読んできていた。今日、読了。
 LHC(大型ハドロン衝突加速器)が、今年いよいよ本格稼働する。筆者はその成果を待ち望んでいる。
 なぜなら、「宇宙の根本的な構造について、物理学の大きなパラダイムシフトが起きようとしている」、そんな劇的な場面に今、立ち会おうとしているのだ。

 その前に、「2013年10月、「ヒッグス粒子」の存在がついに確定!」(「宇宙の扉をノックする NHK出版」より)というニュースは耳に新しい。昨年のノーベル賞も、ピーター・ヒッグス博士らに与えられた。
 そして、今年は、超対称性、余剰次元、ダークマターなどの謎が解き明かされる(ためのデータが得られるやもしれない)のである。

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← リサ・ランドール【著】『宇宙の扉をノックする』(向山 信治【監訳】/塩原 通緒【訳】 NHK出版) 「宇宙の根本的な構造について、物理学の大きなパラダイムシフトが起きようとしている。宇宙についての私たちの理解は、がらりと変わるかもしれない。LHCをはじめとする世紀の実験の成果とともに、最先端の現代物理学が、宇宙の扉を開く大冒険へと読者を誘う。いま、宇宙の起源と運命の謎が、劇的に解明され始めた」だって。(画像は、「宇宙の扉をノックする - ランドール,リサ【著】〈Randall,Lisa〉-向山 信治【監訳】-塩原 通緒【訳】 - 紀伊國屋書店ウェブストア」より)

 ところで、余談だが、筆者のリサ・ランドールは、Lisa Randall と表記される。
 彼女の著書について、ドイツのある雑誌が扱った記事の中で、「宇宙の縁」という語がランダムに頻出する。
 文章の脈絡に関係なく「宇宙の縁」なる用語が出てくるのを彼女は不思議に思った。
 
 彼女の「Randall」という名前は、ドイツ語では、「rand」は「縁(ふち)」、「all」は「宇宙」を意味する。

 あとで真相が判明したのだが、彼女の名前をコンピューターでドイツ語に自動翻訳したため、「宇宙の縁」となってしまったのだとか。つまり、自動翻訳された彼女に関連する記事には、本来は彼女の名前のはずが、「宇宙の縁」と勝手に訳されてしまっていたのである。

 宇宙の縁(ふち)、宇宙の果てや謎を探求するランドール(すなわち、宇宙の縁)は、まさに申し子のような存在、なんてのはまさに余談であった(でも、本書にて著者自身によって紹介されている話題である!)。

 さて、本書を読了して、次は、のびのびになっていた、ゴンチャロフ作の『 断崖〈1〉 (改版)』(井上 満【訳】 岩波文庫)を今度こそ、読み始めることにする(全5巻)。
 素粒子という超ミクロの世界、宇宙という超マクロの世界から、言語の宇宙たる文学の世界へ移行するわけである。
 言語の宇宙という、極小から極大を自在に振幅する奇跡の世界を堪能したい。

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コメント

映画「ほしのふるまち」http://youtu.be/bh85aTvyFqY 
のような話ですね。この映画の舞台になりました氷見の夜空は綺麗だそうですよ。

投稿: SILVIAおじさん | 2014/02/10 21:33

SILVIAおじさんさん

富山は市街地でも、夜空はすばらしい。
ただ、真冬の夜空は、曇天のはずが、晴天が多いのは、ちょっと珍しい?

氷見の夜空は素晴らしいのでしょうね。

星空や、特に真冬の満月について、以下のエッセイがあります:
「真冬の満月と霄壤の差と」
 http://atky.cocolog-nifty.com/houjo/2013/01/post-7ca1.html

投稿: やいっち | 2014/02/10 22:08

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