タクシーは公共輸送機関…だよね
小生はタクシードライバーであり、昨年、ひょんなこと(不祥事)から、前執行部の任期の途中から会社の組合の執行部の一員に加わることになった。
労働組合については、一般論としてはその必要性を強く感じている。
← ヴォルテール【作】『カンディード 他五篇』(植田 祐次【訳】 岩波文庫) 「当時の社会・思想への痛烈な批判を、主人公の過酷な運命に託した啓蒙思想の巨人ヴォルテール(1694‐1778)の代表作」だが、学生時代、とうとうヴォルテールの本は(記憶する限り)一冊も読まなかった。ルソーくらいは読んだけど。そういえば、ダランベールもディドロも読まなかったはず。フランス啓蒙思想という括り、あるいはその性格付けの仕方に偏見を抱いていたような気がする。ルソーなど、啓蒙思想から食み出す部分のほうが大きい気がしたし。学生時代は、フランス近代思想については、パスカルやデカルト、ルソー、モンテーニュどまりだったなー。高校から大学にかけて、中央公論社の「世界の名著」シリーズのお世話になったものだが、その際も、「世界の名著 (35) ヴォルテール/ディドロ/ダランベール」の巻は、敬遠したっけ。やはり、巨人のヴォルテールの主著(の一つ)くらいは読んでおきたい。 (画像は、「カンディ-ド - ヴォルテール【作】-植田 祐次【訳】 - 紀伊國屋書店ウェブストア」より)
ブラック企業とか、サービス残業とか、派遣業の身分の不安定さとか、同じ労働者(労働組合)であっても、大企業と中小企業の格差はますます広がる一方(大企業だと、ボーナスの増額もだが、ベースアップさえ論議の遡上に登っている。一方、我々零細な会社の労働者の置かれた状況の悲惨さ!)。
いずれにしろ、労働者一人一人を守るのは、最後は、職場の仲間…ならぬ、労働組合しかないのである。
一人で会社や社会と戦えるわけもない。
労働者の立場の脆弱さは、不況もあってますます悪化の一途をたどっている。労働者は今や、人間ではなく、消耗品扱いなのである。
昨日、地連の春闘に向けての統一要求を巡っての大会があった。
執行部の一員とはいえ、怠慢の限りを尽くしている吾輩も、とうとう地連の会議に出席することに。
その内容の詳細は、ネットでも情報を得ることは可能なので、ここでは縷々説明することはしない。
それより、春闘を離れて、タクシー業界の存在の意義について若干、触れてみたい。
公共交通機関というものがある。この括りで、一般の人々が思い浮かべるのは、バスであり鉄道であろう。あとは、航空機そして船?
なかなかタクシーという機関の名は出てこないのではないか。
「公共交通機関 - Wikipedia」を覗いても、「タクシーについては、これを公共交通機関に含むという解釈と含まないという解釈がある」と、わざわざ冒頭に断わってある!
「タクシー事業の現状 年間輸送人員・営業収入 - 全タク連」によると、「輸送人員は、公共交通機関(タクシー、鉄道、バス)の6.1%を占める約17億8,300万人(平成22年度実績)、営業収入は1兆7,760億円(平成21年度実績)となってい」るとか。
6%余りという率は、少ないと言うべきか多いのか。
案外と多いと驚かれる方もいるかもしれない。
いずれにしろ、無視できない(無視してもらっては困るが)輸送実績と言えるだろう。
一方、社会的地位はかなり低い。
タクシードライバーはかつては収入も高く、社会的地位はともかく、てっとり早く稼げる職業の筆頭の一つであった。
今は、ほんのわずかな例外(の会社)を除いて、年金と相俟ってやっと生活できるかどうか、という水準まで下がっている。
個人的なことを云えば、小生は一般のサラリーマンの収入の半分にも届かない。ほとんどワーキングプアである。 急いで断っておくと、頑張る人は小生の五割以上は高い収入を得ている、それでも、一般のサラリーマンの水準には遠く及ばない。
今年、道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律が通り、つい先般、施行された。
遠距離バス運転手の過酷な運行状態の改善論議が高まる傍ら、タクシードライバーについても、過度な競争原理の導入が見直されたのである。
タクシー業界への新規参入の自由化が制限され(台数制限)、運賃についても、値幅が一定程度狭められた。
これによって、過度のダンピングはこれで避けられるのかどうか、今後の動向を見るしかない。
というのも、運転代行業による不法な営業(白タクやダンピング)が目に余るものがあるし、白ナンバーの車による人員の有償輸送が徐々に広がりつつあるからである。
その前に、タクシーの乗客自体が減りつつある現実。
タクシーは、日中はもちろんだが、深夜も営業する。終日終夜営業なのである。これこそ、公共輸送機関たる最たる特徴である。
一方、赤字バス路線への地方自治体からの補助、鉄道への国の関わりに比べ、タクシー業界へ当局から補助される、なんてことは皆無だった。
今は詳しくは書かないが、過去はそれでもよかったのだろうが、今後はどうか。
貧富の格差がますます進行する、この現実を食い止めたいが、すぐには無理だろう。
とすると、かつてはあった(かどうかの検証も必要だろうが)中産階級がなくなり、金持ちと貧乏の二極化が当面、進行すると考えるしかないだろう。
となると、必然的にタクシーの潜在的乗客の数も減ると思うしかないだろう(細かくは観光客とか、いろいろ要因を考える必要があるが)。
一方、では、タクシー業の公共性は減るかというと、お年寄りなどの利用のニーズは高まることはあっても、低くなることはないと考えられる。
この辺り、もっと丁寧に論じたいが、要は、春闘とかの個別の要求とは別に、将来に向けて、点から点という利便性と終日営業という高度な公共性をもっと社会に訴え、場合によっては国や当局による何らかの配慮を考慮する必要性も高まってくるのでは、と思うわけである。
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コメント
点から点へ。そうですね、他の交通機関だと停車場まで歩いていかないといけない。
お年寄り、身体の不自由な方、障害を持った方にとっては、点から点へ運んでくれるタクシーは強い味方だ。
ただ、一般の人にとっては、やはり料金が高い。
道を知らない運転手がいる。
深夜バスも走っている。
などの理由から、ついタクシーは敬遠しがち。
都会だと夜の主要な駅のタクシーの待ちはひどいからね。
料金プランにしても、一律で取るんではなく、顧客に応じて、取り分けるなどのサービスも必要かと考えます。
投稿: oki | 2014/02/26 22:39
okiさん
タクシーの公共性をもっと考慮し利便性を高めないとって思います。
例えば、免許返納制度を使った方は、証明書を持っていると、一割引き、身体障碍者も手帳を持っていると、一割引き。
それはいいのですが、その割り引いた一割は、会社(つまりドライバー)の負担となる(売り上げの減少という形で)。
運転免許返納制で一割は会社負担というのは、警察の考えだと、タクシーを利用する人が増えるから、一割引き分くらい、負担しろよってことです。
思うに、こういった高齢者などの利用が増えることが大いに考えられる。
考えられるだけじゃなく、利用を促進することが必要。
当然ながら、割引率を二割とか三割にするってことも考えていい(あるいはそれ以上)。
その際、この割引分をタクシー会社が負担するってのは、あまりに荷が重い。
考えられるのは、市町村や県に割引分を負担してもらう。
障碍者手帳に準ずる何等かなの手帳かカードを当局に発行してもらう。
タクシーのカードリーダーでカードを読み取って、割引し、当局に割引分を会社がもらう。
いずれにしろ、タクシーの公共輸送機関としての性格を一層、アピールし、各種の割引制度を充実させるってことを考えることが必要だと思います。
当局も、タクシー会社も知恵を絞らないとね。
投稿: やいっち | 2014/02/26 23:31
タクシードライバーは労働時間に見合う収入が得られていないということですね。
早朝や深夜まで働いているのに、なんという理不尽さ。
去年読んだタクシードライバーが主役の小説では、出来高制と書かれていたような…。
深夜まで起きているために、暇な昼間に仮眠するともありました。
会社によって事情が違うとは思いますが。
私は運転が下手なので、絶対なれない職業です(笑)
投稿: 砂希 | 2014/02/27 23:31
昔はともかく、今は完全歩合制の会社が多いようです。会社はリスクを負いたくないので、固定給の部分をなくしたい。
サラリーマンのような、日勤もあれば、終日勤務の隔日勤務制もある。
終日だと、体が持たないので、途中、仮眠をとる。
といっても、待機しながら仮眠って人が圧倒的。
食事も待機中に。ひたすら、ワーキングプアです。
投稿: やいっち | 2014/02/28 21:31