黒雲覆い始める中、マン「ファウスト博士」の下巻へ
今日は昨日とは打って変わって寒い。昨日は最高気温が十℃以上。今日は午後には雪がチラホラし始め、うっすらと雪化粧。
富山は異常に感じられるくらい雪が少ない。
← トーマス・マン著『ファウスト博士 〈下〉』(関泰祐訳 岩波文庫)
あまりの小雪に懸念していたのだが、一昨日だったか、気象情報の中で、平野部は確かに平年に比べかなり降雪量がすくないが、山間部についてはほぼ平年並みだと云っていた。
そうなのか。だったら安心だ。
富山(に限らないが)は、立山の賜物と言われるほど、立山連峰の山々に降り積もった雪の恩恵を被っている。冬、たっぷりと降って、夏場に向けて徐々に溶け出し、川の水に、あるいは歳月を経て湧水などとなって富山の平野部を潤してくれる。
山のほうに暮らす人には生活の上で苦労もあろうが(スキー場の経営には大雪は歓迎だろう)、里に暮らすものには、降雪量は、里に少なく山に多いってのが理想なのである。
今日は人形の間(ま)にする予定の部屋の環境整備作業に取り組んだ。
過日、部屋の中の箪笥など、物置状態になっていたのを、荷物の大半を片づけ、ガランとした空間にした。
今日は、カーペットなどに掃除機をかけ、カーテンを吊るし、虫に喰われた畳の上に茣蓙を敷き、古びた障子戸に使わなくなった襖を立てかけ、などしてほぼ受け入れ準備を終えた。
あとは納屋(蔵)に仕舞ってある雛人形を持ち出し、飾りつけをするだけ。これらは姪っ子など女性軍に任せる!
さて、今日は、 トーマス・マン著『ファウスト博士 〈中〉』を読了し、いよいよ下巻に突入。物語も佳境に入る。
出版社内容情報によると、「現代のファウストに擬せられる一天才作曲家の、芸術家としての悲劇的生涯に托して作者が追求するものは何なのか。芸術の不毛と孤立とを娼婦からの病毒感染による霊感という「悪魔との契約」によって乗りきろうとして破滅する主人公」像も興味津々なのだが、むしろ後段の「ナチズムの毒に冒され破滅へむかってつき進むドイツ。重い時代の流れがたくみに描かれる」点にこそ関心が掻き立てられる。
時あたかも、「籾井勝人NHK新会長、慰安婦「どこの国にもあった」 就任会見で発言」が世情を賑わせている。良識ある日本人(に限らないだろう。むしろ、海外の人ほどだろう)は、憂慮の念に堪えない。
「籾井氏は三井物産副社長、日本ユニシス社長などを歴任し、2013年12月20日に前会長の松本正之氏(元JR東海社長)の後任として経営委員会から指名された。選任に当たっては、NHKの放送内容が「偏向している」と不満を持つ安倍政権の意向が強く働いたことが指摘されている」。
要は、「大阪維新の会」の橋下徹大阪市長と同列の発想を披歴したわけで、安倍首相の考えを代弁したものと見做していいのだろう。
公共放送機関なのに、偏向した報道をなされるのではと危惧されてならない。
他の国にもあったからと日本の蛮行を正当化する、乃至は矮小化を試みようとする。情けない。
他の国がどうだろうと、自らの国の行いを総括し反省し繰り返さない決意が求められるはずなのだ。
こんな発言は、過去の蛮行の正当化を試みていると見做されることをどうして理解できないのだろう。
ドイツのナチズムは(他国からもだが)ドイツ自ら徹底的に追及したが、日本の場合は戦争の総括は曖昧なままに終わったし(アメリカが日本を軍事基地化、防衛前線基地化するため、戦争責任者らの懐柔を図ったせいもあろう)、A級戦犯もアメリカとどんな取引をしたのか知らないが、どうどうと戦後の日本で跋扈してしまった。靖国に祀られる始末。
反省も何もあったものではない。そして今、軍国主義の黒雲が急激に日本(など)の空を覆い始めている。
都知事選、反原発で戦うのもいいが、反タカ派でも戦ってもらいたいくらいの気持ちだ。
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コメント
「反原発で戦うのもいいが、反タカ派でも戦ってもらいたいくらいの気持ちだ」 - これは市民運動支持者の中でも議論となるところですね。しかし、安倍支持者も極右支持なので分裂しているようなので、本当に皆が投票に行くとすれば状況は変わりそうです。
本来ならば統一戦線が確実であったのでしょうが、議論が盛り上げれば盛り上がるほど投票率も上がるかもしれません。「再稼働反対」が、名護の「辺野古移転反対」に当たるのかどうか、またもろもろの危険な法案成立反対に対して都知事が出来ることの権限などが議論の対象となるのでしょう。どうしても左右両極ともポピュリズムになる傾向は否めません。
投稿: pfaelzerwein | 2014/01/27 01:02
pfaelzerwein さん
細川陣営は、反原発勢力が例によって共産党の(意図せざる?)計らいで、反原発勢力が分散し、自公勢力に負けそうな趨勢。まあ、今の若い人たちには、細川さんはもちろん、小泉元首相の神通力も昔の話でしょう。
原発もだけど、明日の見えない生活に、困窮する人びとは
縋れるものは何でも縋る。
満たされている人々はオリンピックやら景気に関心が向く。
原発がどうだろうと、経済さえ上向けばそれでいい。
貧富の格差が拡大し、生活に不満を持つ若い人が増えると、欲求不満のはけ口を求めるマグマがいつ破裂するか分からない。
政権側はそれを、中国や韓国、北朝鮮に向けさせ、軍事優先、タカ派志向の政治を実現しようと画策している。
下手すると、若い人たちの憤懣は政権に向うから、それを逸らすのに懸命でもある。
普天間問題は、つまるところ、内政の問題。キャンプシュワブへの移設がアメリカも現実的だし一番、早いと考えていたのだけど、外務省もだけど、防衛省が辺野古にこだわったことで、鳩山元首相も断念した。
実現していれば、今頃、既に動き始めているはず。
日本の政治の一番の敵は、やはり役人でありお役所の利権とメンツだということのようです。
投稿: やいっち | 2014/01/27 22:20