プルーストからドノソへ
昨秋、ドノソの『夜のみだらな鳥』を読んだが、その頃、新聞の書評で本書の刊行されていることを知り、即入手。
「フィクションのエル・ドラード」シリーズの一環として、ほぼ絶版状態の『夜のみだらな鳥』も含め、ドノソの本などが刊行されていくとか。ドノソの復権への第一歩なのか。
本書は、「大農園主ドン・アレホに支配され、文明から取り残され消えゆく小村を舞台に、性的「異常者」たちの繰り広げる奇行を猟奇的に描き出す唯一無二の“グロテスク・リアリズム”」だとか。
小生は本書を読み始めたばかりで、感想も何も述べる段階ではないが、「読みやすく」には若干、違和感がある。まあ、代表作の一つ『夜のみだらな鳥』よりは確かに入門編的性格があるのは否めないが。
情報によると、「この『境界なき土地』は、『夜のみだらな鳥』の一挿話として構想されていたものを中篇化した作品といった性格を持つらしい」(拙稿「ドノソとデザイナーベビーと(後編)」など参照のこと)。
いずれにしろ、ホセ・ドノソ作品世界は、自分の中で、南米文学としては、『百年の孤独』のガブリエル・ガルシア=マルケスに比肩する存在になりつつある。少なくとも、マリオ・バルガス・リョサよりは、肉厚で不透明で不条理で且つ混沌としていて、評価はずっと上である。
実際、マリオ・バルガス・リョサとホセ・ドノソとは、文学観などにおいて決定的に対立していたとか。
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