コンキスタドール
一昨日からラス・カサス著の『インディアスの破壊についての簡潔な報告 (改版)』を読み始めた。
「スペイン人征服者によるインディオの殺戮と搾取」の歴史的事実は、小生には、北米などでの(西部開拓という美名のもとの)白人による先住民殲滅の歴史と並んで、南北米大陸への関心の焦点の一つなのである。
小生は、『百年の孤独』のマルケスやドノソへの関心もあって、中南米への関心がある。インカ帝国とかマヤ文明への興味はガキの頃に読み浸った漫画週刊誌の影響が大きい。特に『百年の孤独』の奇天烈極まる物語世界は小生には衝撃だった。
日本も、秀吉による朝鮮出兵など、半島や大陸で碌でもないことを仕出かしたけど、スペイン人(や北米での白人)らの蛮行はその比じゃない。人間は(あるいは宗教的な思い込みや人種的偏見)は、こんなことを平気でやらかすのだ。宗教は人間の野蛮を解き放ち蛮行を正当化する口実じゃないかと思える。
上掲書は予想に違わず面白い…というか衝撃的な内容である。本文は200頁あまりで、今日にも読了しそう。
ただ、解説が80頁ほどあるし、年表も充実しており、ある意味、この解説の部分が楽しみだったりする。
それにしても、スペイン人によるインディオ(先住民)への蛮行は想像を絶する。作り話と思いたいが、どうやら歴史的事実のようだ。
新天地で見た動物を狩りまくるように、スペイン人は先住民を殺しまくった。僅かな年月に一千万人以上を虐殺したのだ。その殺し方がおぞましい。
← ラス・カサス【著】『インディアスの破壊についての簡潔な報告 (改版)』(染田 秀藤【訳】 岩波文庫) 「キリスト教化と文明化の名の下に新世界へ乗り込んだスペイン人征服者によるインディオの殺戮と搾取―。残虐非道が日常化した植民地の実態を暴露し、西欧による地理上の諸発見の内実を告発した植民地問題の古典。十全な解説を付した改訳決定版」だって。
本当とは俄かには信じられないので、後に解説を読むとして、とりあえず、例によって「スペインによるアメリカ大陸の植民地化 - Wikipedia」を覗く。
「1492年にクリストーバル・コロンがアメリカ大陸を「発見」して以降、スペイン人はカリブ海やその近辺の大陸に対する機会を生かそうと考え(中略)、新たに征服される土地と住民はスペイン国王に属すこととされ、スペイン国王の代行者たるパシフィカドール(鎮定者)は、既に成立した条約に基づいて先住民を服従させるか鎮定する役割を担った。このトルデシリャス条約のため、スペイン人が先住民に出会った際に、先住民に対しての選択肢は征服以外に存在しなくなり」ってしまった。
「コンキスタドーレスの初期のアメリカ大陸での基本方針は、レコンキスタ終焉後の宗教的熱狂から来るキリスト教の布教と、入植することよりもまず黄金や財宝をかき集めることにあった。コンキスタドーレスはマヤ文明、アステカ文明、インカ文明といったアメリカの文明を破壊して金や銀を奪い、莫大な富をスペインにもたらした。この過程で多くのインディオが虐殺され、キリスト教への改宗事業が進み、また、インディオ女性に対する強姦が横行し、さらに、ヨーロッパ由来の疫病が免疫のない多数のインディオの命を奪った。」
「スペインはその植民地政策において、アメリカ合衆国・カナダとは比べ物にならない数の先住民を一掃してしまった。生き残った先住民も侵略者である白人と黒人奴隷との混血が進んだ」のだ。
以下、詳細は、「スペインによるアメリカ大陸の植民地化 - Wikipedia」を参照願いたい。是非、一読を。
人間はこんなことを平気で…あるいは楽しんでやってしまう。
こういった歴史を背景にしての中南米文学なのである。
余談だが、小生が初めて「コンキスタドール(征服者)」という言葉を知ったのは、フロイトの本を通じてだった。彼は無意識の探求者でありコンキスタドールだという自負の念があったのだろう。
それにしても、なぜ、コンキスタドールな(んて言葉を使った)のだろう。
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