ひょんなことから『ムーン·パレス』へ
過日、ひょんなことからオースターの本を買った。仕事で時間的な空きができたらいつでも読めるように、何からしら本を持参しているのだが、その日は、慌てていて、バッグの中身を確かめられず、仕事先へ行って、本を一冊も所持していないことに気付いた。
→ 「Moonlight」(1885, the Brooklyn Museum) (画像は、「Ralph Albert Blakelock - Wikipedia, the free encyclopedia」より) オースターのある小説の主人公は、とある美術館に所蔵のラルフ・アルバート・ブレイクロックの「月光」という作品を鑑賞するように指示される… 「オースターそしてブレイクロックの月(前篇)」など参照。
ややパニック。新聞を読み切ると、やはり本を読みたくなる。
東京在住時代は、車中ではラジオ番組を聴くのが楽しみの一つだったが、富山ではラジオはチャンネルの数も限られ選択の余地が乏しく、つまらない。
あるいは、ラジオパーソナリティが小生よりひと世代以上若くなり、話に付いていけなくなったのか。
それとも、近年のパーソナリティは、時事問題への突っ込みなどまるで関心がなく、ただただ、ダラダラとむだ話が続くからか。
流れてくる楽曲も、小生の好みとはまるで違う。今、日本でヒットしている曲は、自分の耳には音楽に聞こえない。雑音以上に耳障り。
もう、時代から取り残され、相手にされなくなった世代なのか。
← ポール·オースター著 『ムーン·パレス』(柴田 元幸訳 新潮文庫)
だから、なおのこと、本を読みたくなる。
本に飢えて魚津駅界隈を歩き回っても、書店など見つからない。
こうなったらコンビニで何か、まさに時間潰しの本をと思ったが、駅のコンビニに比べても書架の乏しいこと。
歩き回ったら、大きなショッピングセンターに行き当たった。中に文苑堂が入っている。
助かった! 案の定、岩波文庫は置いてない。
新潮文庫の棚を観て回ったら、オースターの本が二冊あった。
『ムーン·パレス』(柴田 元幸訳 新潮文庫)をゲット。
ポール·オースターには、富山に帰郷し、図書館に通いだして、発見遭遇した。
最初に 『幻影の書』(柴田 元幸訳 新潮社)を読んで気に入り、ついで『ムーン·パレス』(柴田 元幸訳 新潮社)を借り出し、以後、 『 偶然の音楽』(柴田 元幸訳 新潮社)、 『トゥルー·ストーリーズ』(柴田 元幸訳 新潮社)、 『シティ・オヴ・グラス』(山本 楡美子/郷原 宏訳 角川書店)、『空腹の技法』(柴田元幸/畔柳和代訳 新潮社)、『ティンブクトゥ』(柴田 元幸【訳】 新潮社)と立て続けに借りていった。
→ 過日、仕事で魚津へ行った。せっかくなので、潮の香を嗅ぎたくて、海を眺めたくて、海辺へ。
小説もエッセイも独自性に溢れている。
アメリカという砂上の楼閣だからこそ生まれたに違いない、虚構の極を行く小説世界。作り話以外にこの世に何も存在しないという茫漠たる自覚。
規制緩和と不況で、ワーキングプアの最たる職業であるタクシー業に携わるようになって、やたらと拘束時間が増え、図書館へ足を運ぶのも億劫になってしまった。
休みの日は、畑と庭仕事をやったら、あとは寝て過ごす。
読める本の数も極端に減った。
書店で本を買うのは、十数年来、控えてきたが、今は本は借りて、ではなく、買って読む。
余裕ができたからではなく、上記したように、図書館さえ敷居が高く、読める本の数も限られているので、買って読んでも経済的な負担は少ないのだ。
切羽詰ったら(常時!)、昔、読んだ本を読み返す。
← ポール·オースター著『幻影の書』(柴田元幸/訳 新潮文庫) 小生が初めて読んだオースターの小説。そして、初めて買ったオースターの本。
昨年、『幻影の書』(柴田元幸/訳 新潮文庫)を書店で買って読んだ。
ひょんなことから買う羽目になった 『ムーン·パレス』(柴田 元幸訳 新潮文庫)は、買って読むオースターの小説として二冊目となる。
過日より、ドス・パソスの『夜のみだらな鳥』を読みだしていたのだが、オースターを読み出したら最後まで読み切らないと、パソスの本に手が出ない。
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コメント
やいっちさん、活字中毒ですね。
私も本が読みたくなります。
でも、週の半分は勉強のために、経済誌を読まなきゃならんのです。
荻原浩の『あの日にドライブ』は、銀行マンからタクシードライバーに転職した男の話でした。
途中まではとても楽しかったです。
時間の使い方は難しいようですね。
プロフィール画は『ハリスの旋風』でしたっけ。
これも、お上手だなぁと感心しましたよ。
ちばてつやは好きな漫画家のひとりです。
一番好きな作品は『おれは鉄兵』です。
ああ、愛蔵版が欲しくなりました。
投稿: 砂希 | 2013/10/11 21:14
砂希さん
今じゃ、立派な活字中毒です。
どんなに忙しくても、日に50頁を読むことをノルマにしています。
仕事の日でも、死に損なったような病気の時でも!
でも、ガキの頃は漫画に夢中。
外で遊ぶのも好きだったけど、読むのも描くのも大好きでした。
ちばてつやさんは、好きな漫画家で、いろんな作品がある中、やはり、「ハリスの旋風」が一番、印象的。
主人公が自分とは一番、対蹠的人物だからかな。
タクシーについては、自分でも小説やらドキュメントやエッセイを書いてます。
でも、日記は別にして、小説はほとんど、東京時代のもの。
当時は、流しがメインだったので、ドラマも多くて、刺激的でした。
今は、無線が多く、GPSで会社に位置情報が把握されているので、仕事の面白みは皆無に近い。
不況のせいかもしれないけど。
投稿: やいっち | 2013/10/11 22:00