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2013/08/25

莫言作の『赤い高粱』に手を出す

 今日は暑くない! 真昼間、少しだけ畑に出たが、麦わら帽子が大袈裟かなと感じられた。
 家の中でも、網戸越しに吹き込む風が涼しく感じられる。
 あの暑い最中に比べて、ほんの数℃ほど低いだけなのに、こんなにも体感が違ってくる。
 いかに、人間などの生物が、わずかな温度変化に敏感か、狭い温度域の中に生活帯があるかを実感してしまう。 

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→ 張藝謀「紅いコーリャン」((1987年 映画) (画像は、「張藝謀「紅いコーリャン」 Internet ZoneWordPressでBlog生活」より。内容についても参照するもよし。)

 さて、過日より、莫言作の『赤い高粱』(井口晃訳 岩波現代文庫)をようやく読み始めた。
 やや、重い内容ということもあるし、このノーベル賞作家の本を読むのは、初めてということもあり、なかなか手にできないでいた。

 というか、車中で読み始めたのが拙かったのかもしれない。
 自宅でじっくり向き合うべき本であり内容なのである。
 初めての作家の本というのは、文体に慣れるのに、(少なくとも小生の場合)やや手間取る。
 人見知りする…初対面の相手とはすぐには打ち解けられないという自分の性分がこんなところにも現れるのだろうか。

 読み始めて最初に感じたのは、やや荒々しい描写。表現が荒っぽいというのではない。描こうとする現実に向き合うには、中国のでの当的な詩文風な文体では間に合わないということなのか…もしれない。
 といいつつ、車中ということもあり、なかなか物語の中に入れない。これは…家でじっくり読むべきだったと(予想通りの)反省しきり。

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← 莫言作『赤い高粱』(井口晃訳 岩波現代文庫) 「婚礼の輿が一つ,赤に染まる高粱畑の道を往く.美しい纏足をもった少女.汗に濡れ輿を担ぐ逞しい青年.血と土,酒に彩られた一族の数奇な物語が始まる.その名「言う莫れ」を一躍世界に知らしめた,中国現代作家の代表作」とか。(引用文及び画像は、「赤い高粱 - 莫言-井口晃 - 紀伊國屋書店ウェブストア」より) ちなみに、筆名の莫言(ばく げん、モー・イエン)は「言う莫(なか)れ」を意味するとか。「もう、云えん」ってのも、味がある。

 自宅では、プルーストの『失われた時を求めて』をこれで二か月に渡って読んでいて、来月の半ば頃までは、家では他の本は読める見込みがないという、情けないのか充実しているのか分からない事情があるのだ。

 なんて言い訳はともかく、「むき出しの生の意志と赤裸々な本能が,生命の輝きとして飾らずに描き上げられているからだ.粗暴を装おう筆致は,原始的な欲望をすくい上げるには,ぴったりの技巧であった.救いようのない卑猥さも,目を覆いたくなるような暴力も,命の讃歌の変奏としてかなでられている以上,この題材を巧みにさばく作家の力量に感服せざるをえない」(張 競(明治大学教授:比較文学)の評。「岩波現代文庫『赤い高粱』moreinfo」より)というのだから、安易には読めないのも、仕方がないと云うべきか。

 何といっても、「ガブリエル・ガルシア=マルケスやウィリアム・フォークナーの影響を受け、マジックリアリズムの手法で中国農村を幻想的かつ力強く描く作風」(「莫言 - Wikipedia」より)なのである。
 実を云うと、好きなガブリエル・ガルシア=マルケスの影響を受けているということで、俄然、読みたくなった作家(の作品)なのである。
 まして、「2012年10月11日、「幻覚的なリアリズムによって民話、歴史、現代を融合させた」としてノーベル文学賞を受賞」ということで、ミーハーな小生の好奇心は高まった。
 さらに、野田政権、阿部政権とタカ派の台頭で、中国(や韓国)を敵視する風潮が日本の中で掻き立てられている現状への憂いの念もある。

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→ 畑の隅っこ(用水路脇)の花壇。大概のグラジオラスはとっくに枯れて、花も茎も枯れて、茶褐色に変色してしまっているというのに、一本だけ、今頃になって咲き始めた。狂い咲きに近い? ヒマワリの元気さに刺激された?

 中国や韓国(朝鮮)なくして日本は成り立たなかった歴史を直視しないといけない。多分、経済のみならず文化においても、深いつながりはこれからも続くと考えるべきだろう。
 という意味もあって、でも、マルケスに背中を押されて、重い腰を上げたのだった。

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