ガス燈から永山裕子へ
「華名橋と桜橋の間にあるこの照明灯は、大正2(1913)年、富山市で初めてのガス燈がこの地で点灯されたのを偲んで、昭和63年11月に再現して立てられたもの」。
つまり、今年は、「富山市内で初めてのガス燈」が設置されて百周年に当たる年なのである。
けれど、誰も話題にしない。
← 華名橋と桜橋の間にある照明灯。往時のガス燈を偲んで設置された。
話題の遡上に載せるほどの意味も意義もないということか。ちょっと淋しい。
小生自身は、気が早いというか、昨年、「華明橋のたもとに立つガス燈」なる記事を書いている。
せっかくなので、ガス燈の元に設置されている石碑の碑文だけ、転記しておく:
文明開化とともに生まれたガス燈は、富山市では大正2年にこの地で点燈された。その明かりは松川の水面に映えて多くの市民を魅了したという。現在のガス燈は昭和63年11月に往時をしのぶ意味もあって立てられたものである
← 永山裕子/著「デッサンから見る透明水彩の基本」(グラフィック社) (画像は、「デッサンから見る透明水彩の基本 永山裕子/著 - セブンネットショッピング」より) 筆者のホームページ:「永山裕子 Yuko Nagayama」
さて、本稿のホントの狙いは、今を時めく水彩画家の永山裕子さんを紹介すること。
しかしながら、例によって、「このホームページに掲載されたすべての作品を、権利所有者の許可なくコピーすることは禁止させていただきます」なので、作品(の画像)をアップして紹介することは叶わない。
そこで苦肉の策として、同氏の著書の表紙画像を載せる形で紹介することにする。
同氏を知ったのは、折々勝手なコメントを寄せさせてもらっている、作家の田川ミメイさんの「『散骨イラストレーターの正体』 トルニタリナイコト@MimeiTagawa」なる日記を通じてである。
← 永山裕子/著「もういちど透明水彩を始めよう。 基本12レッスン」(グラフィック社) (画像は、「もういちど透明水彩を始めよう。 基本12レッスン 永山裕子/著 - セブンネットショッピング」より)
瑞々しい色彩画の世界は、特に女性を中心にファン層が広がっているとか。
情けなくも未だ実物はもちろんだが、テレビも含め、鮮明な画像を観たことがない。
作品を観たい。叶うなら描く現場に立ち会いたい。
ところで、必ずしも高名ではないかもしれないが、小生の好きな色鉛筆画作家に故・保田義孝がいた。
物故され、もう、新作を見ることは叶わない。
孤独だが暖かな抒情の世界が静かに佇んでいる。
永山裕子さんの世界とは随分違うのに、ふと、もう会うことは叶わなくなった世界を思い出してしまった。
← 保田義孝作「晩秋のひざし」(色鉛筆 (2001年) F8号) 詳しくは、拙稿「保田義孝個展へ」を参照のこと。
小生は、拙稿「保田義孝個展へ」の中で以下のように書いている:
(アンドリュー・ワイエスの世界に)確かに、何処か似ている。
けれど、保田氏の作品世界は、もっと暖かい。
俗っぽく言うと、日本的な暖かな叙情性の世界があるのだ。人恋しい。人嫌いというわけでもない。でも、敢えて人気のない浜辺とか、誰にも見捨てられた廃船やドラム缶や落ちた木の実とかに心を寄せてしまう。描かれている風景や情景に人影は見当たらない。なのに、人肌の温もりを感じてしまう。ウエット。でも、決してしつこくはない。画面からは、何故かある懐かしい感覚が漂ってくるように感じられる。
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コメント
わかります!
いろいろな方に見てもらいたい作品なのに、載せるわけにいかないって。
私の場合はポストカードが多いかな。
クリアファイルとか。
でも、雰囲気が変わってしまいます。
やはり、本物が一番ですね。
この水彩画もステキ!
写実的ですが、本物よりも本物らしい感じがします。
特徴が強調されているのでしょうか。
いい画家さんを見つけられましたね。
投稿: 砂希 | 2013/07/03 20:13
砂希さん
この画家さん、女性を中心にファンが多いとか。
色合いのセンスが際立っています。
さて、画家の作品、ブログに載せても、画像的に実物との差が問題になる。
だったら、サイトや情報を提供するだけのほうがいいのかもしれない。
でも、やっぱり、多少でも画像で紹介したいんですね。
ポストカード、小生、集めてます。
数百枚はあるかも。特に美術展の案内のポストカードが収集の中心。
保田義孝の色鉛筆画、素晴らしいですよ。
ギャラリーでこの方に会いました。
一枚でもいいから、買いたかったなー。
彼から本ブログで紹介したポストカードを貰ったのが、いい思い出になっています。
投稿: やいっち | 2013/07/04 21:46