綺麗な薔薇には棘がある
我が家の薔薇がいよいよ開花の最盛期を迎えつつある。
いかにも、6月の誕生花らしい。
「季節の花 300 薔薇(ばら)」によると、薔薇には、「春(5~6月)と秋(10、11月)に咲くものが多いようだ」とか。
我が家の薔薇が秋に開花するのは観たことがないので、春に咲く品種の薔薇のようだ。
ちなみに、「夏は暑いのでひと休み」とか。
ということは、同じ薔薇でも、夏休みはあっても、春にも秋にも咲くということなのか?
「バラ - Wikipedia」によると、「「ばら」の名は和語で、「いばら」の転訛したもの[1]。漢語「薔薇」の字をあてるのが通常だが、この語はまた音読みで「そうび」「しょうび」とも読む」とある。
薔薇を巡っても、幻の青いバラなど、これまでいろいろ雑文を綴ってきた。
ただ、「日本はバラの自生地として世界的に知られており、品種改良に使用された原種のうち3種類(ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナシ)は日本原産である」というのは、自分の中ではっきりとは認識されていなかった気がする。
我が家の薔薇は、父母らが植えたものなのか、自生ということはないと思うのだが。日本原産なのかどうか、分からない。
せっかくなので、以前にも転記して紹介したが、再度、以下を掲げておく:
古くバラは「うまら」「うばら」と呼ばれ、『万葉集』にも「みちのへの茨(うまら)の末(うれ)に延(ほ)ほ豆のからまる君をはかれか行かむ」という歌がある。『常陸国風土記』の茨城郡条には、「穴に住み人をおびやかす土賊の佐伯を滅ぼすために、イバラを穴に仕掛け、追い込んでイバラに身をかけさせた」とある。常陸国にはこの故事にちなむ茨城(うばらき)という地名があり、茨城県の県名の由来ともなっている。
薔薇は「古代ギリシア・ローマでは、バラは愛の女神アプロディテもしくはウェヌス(ヴィーナス)と関係づけられた。また香りを愛好され、香油も作られた」などと、西欧における長い歴史の故なのか、映画やドラマの影響なのか、花の持つ雰囲気もだが、香りも深みがある。
香水の原料になるというのも、むべなるかなであろう。
小生にしても、若い頃、何処かのマンションのバスルームで嗅いだ、バスローブの香りは二十年以上経った今も印象に鮮やかである。あれ以上の香りには出会っていない。
その時の香りの鮮烈な思い出と、約10年ほど前、赤坂の煉瓦壁のマンションで起きた、ある事件から受けた印象などを元に、掌編を綴ったこともある:
「薔薇の褥(しとね)」
← 『ちくま文学の森 5 思いがけない話』(安野 光雅 編集 , 森 毅 編集 , 井上 ひさし 編集 , 池内 紀 編集 ちくま学芸文庫) 一昨日から読み始めた。車中の愉しみ。さながら名作短編集である。 参考までに、《収録作品》:夜までは…室生犀星/改心…O・ヘンリー/くびかざり…モーパッサン嫉妬…F・ブウテ/外套…ゴーゴリ/煙草の害について…チェーホフバケツと綱…T・F・ポイス/エスコリエ夫人の異常な冒険…P・ルイス蛇含草…桂三木助演/あけたままの窓…サキ/魔術…芥川竜之介押絵と旅する男…江戸川乱歩/アムステルダムの水夫…アポリネール人間と蛇…ビアス/親切な恋人…A・アレー頭蓋骨に描かれた絵…ボンテンペルリ/仇討三態…菊池寛湖畔…久生十蘭/砂男…ホフマン/雪たたき…幸田露伴
薔薇の持つ、何やら怪しげな、それとも妖しげな雰囲気はイメージは、愛憎と結び付けられやすいが、これは(小生が思うに)明らかに、棘のもたらす業(わざ)に違いない。
美しい薔薇には棘がある、というあまりに知られた諺も、花の醸し出すイメージの故というより、棘の故なのだろう。
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