西郷孤月なる画家を知る
過日、車中の徒然にテレビを見ていた。
番組は、「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)で、瞠目したのは西郷孤月の掛軸6幅。
西郷孤月の名は小生は初耳。恐らく絵を見るのも初めて…のはず。
→ 「孤月甦る」 (画像は、「2008/10/25~11/30 「孤月甦る」 (西郷孤月生誕135年記念展)」より)
「開運!なんでも鑑定団」でその存在を知った作家は結構ある。決して骨董趣味の持ち主ではないのだが、好きな番組の一つである。
本ブログでも、幾度か関連する記事を書いたことがある。
残念ながら、テレビで観て感服した西郷孤月の掛軸6幅の画像は、ネット上で見つけることができなかった。
「西郷孤月 - Wikipedia」によると、西郷孤月(明治6年(1873年)9月23日 - 大正元年(1912年)8月31日)は、「明治期の日本画家、美術教育者である。本名は規(めぐる)。長野県松本市生まれ。日本美術院の創設者のひとり」で、「大観、春草、観山とともに雅邦門下の四天王と謳われた」とか。
← 「夜桜之図」 (明治39年(1906年)頃 絹本着色、軸装 129.4cm×41.3cm) 「画面右上におぼろに光る満月、今を盛りと咲き誇る桜枝に月光を遮るように垂れ下がる柳枝の暗い影。欧米での高い評価を手にした友を見つめる孤月。春宵の情景に自らの心の闇を投影したのでしょうか」…。(転記文及び画像は、「松本市美術館ホームページ 【作品紹介】 西郷孤月」より)
「雅邦門下の四天王、大観・観山・春草・弧月のうち、最も将来を嘱望され、同年末橋本雅邦の娘と結婚。媒酌人は岡倉天心であった」が、「ある酒席で雅邦と激突、以降、酒と遊蕩に明け暮れるようになり、それが要因となり1年後に離婚してし」、いろいろあったのち、「中央画壇を離れ各地を放浪することとな」り、「38歳の若さで世を去った悲運の画家」である。
小生のような門外漢には、まるで知られない存在となってしまったのも無理はないのか…。
→ 「春暖」(明治30年 1897 絹本着色 掛幅装 170.3×271.8) (画像は、「東京藝術大学大学美術館 収蔵品データベース 作品情報 ; 東洋画真蹟 - 422 春暖」より)
「松本市美術館ホームページ 【作品紹介】 西郷孤月」には、 「孤月の作風には狩野派の画風が下地にあり、その上に琳派、西洋画の技法を取入れて近代日本画の改革を目指しました。作品の画面の多くには、雅邦門の四天王と呼ばれながらただひとり脚光を浴びることのなかった孤月特有の寂寥感が漂います」とある。
↑ 「波濤月雁」 (諏訪市教育委員会 蔵) (画像は、「文化芸術情報 » 孤月 甦る」より)
この番組を通じて、西郷孤月の知名度も上がり、ファンも増えただろうから、いずれ近いうちに全国で彼の展覧会も催されるに違いない。
是非、現物を拝見したいものだ。
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コメント
おやおや、西郷をご存知なかったとは。
まあ、今年はルネサンス、ルネサンスで、雑誌もルネサンス特集だらけ、何しろラファエロ、ダヴィンチ、ミケランジェロが上野に集結ですから。
日本美術は、サントリーがやる、谷文晁なんていかがでしょう?
投稿: oki | 2013/05/17 22:30
okiさん
やはり、東京の情報量は圧倒的ですね。
富山も頑張っているようですが、いざ、観に行くとなると選択の余地が狭い。
まずは今は、富山の風景や風土を愛でるほうに専念です。
投稿: やいっち | 2013/05/18 21:42
鑑定団、ご覧頂いたよう嬉しく思います。依頼人の二木でございます。西郷孤月は長野県(松本市)では比較的知られているのですがまだまだ知名度は低いようです。これを機にファンが増えると嬉しく思います。当館のホームページに画像がありますので是非ご覧下さい。
投稿: 富士乃湯 | 2013/05/21 19:23
富士乃湯さん
わざわざのコメント、ありがとうございます。
テレビ、拝見させていただいてました。
素晴らしい結果でしたね。
実物はさぞかし素晴らしいものでしょう。
松林桂月の作品も部屋にしつらえてあるんですね。
西郷孤月は、知る人ぞ知るのようです。ブログ仲間でも、知っている人はおりました。
でも、もっと知られてしかるべき方ですね。
投稿: やいっち | 2013/05/22 21:47
西郷孤月の展覧会が各地で開催されればいいのですが、作品数が少ないのです。昔は孤月作品のサインと落款を切り取り、そこに菱田春草のサインと落款を押した「春草の偽作」が出回ったようです。
松林桂月先生は、当館に逗留されて作品を三つ残されています、そのうち、額装に仕立てたものを客室に飾っています。
投稿: 富士乃湯 | 2013/05/23 20:41
富士乃湯さん
西郷孤月は、近年、次第に知られてきたようですね。
ネットで調べると、あちこちで美術展が行われています。
多分、このたびの放送で、かなり認知が進んだと思われますので、今後、展覧会の機会も増えるような気がします。
松林桂月が帰館に滞在され、作品を三つも残された!
松林桂月の「春宵花影」を観たことがあります。
その時は、全くの未知の存在でしたが、初見で惚れました。
以下がその時のことを書いた(思い出)日記です:
http://atky.cocolog-nifty.com/bushou/2005/04/post_1.html
(以上、高名な方については、畏敬の念を込め、継承は略させてもらいました。)
投稿: やいっち | 2013/05/24 22:25