富山に金山があったなんて、初耳だ!
竹島 慎二編著の『富山県 謎解き散歩』は、仕事の都合上、富山のことを少しでも知りたくて、車中で勉強を兼ねて読み始めていた。
仕事でなくとも、富山に帰郷して数年、出不精(デブ症じゃない!)で、未だほとんど箱入り中年の小生、追々あちこちに出没するための手がかりともしたかったのだ。
→ 薔薇の木をグリーンカーテン代わりにするなんて、贅沢の極みかもね。これでも、枝をかなり断ち切った。車道にぐっと伸び垂れてしまっていたので。
本書についての内容案内によると、「蜃気楼、立山連峰、黒部峡谷、越中売薬、五箇山合掌集落から、ホタルイカ、雷鳥、ます寿し、チューリップ、おわら風の盆まで。神秘の海、天空の楽園。越中富山は「天然の円形劇場」だ。」とある。
このうち、「越中富山は「天然の円形劇場」だ」と喝破したのは、ウォルター・ウェストン(Walter Weston, 1861年12月25日-1940年3月27日)である。
「富山県の歴史」を始め、富山県関連の本を少しは読み齧ってきたが、本書を通じても、富山を改めて見直したり、初めて知ったという知識がいろいろあった。
以下、初耳のこと、今後、調べてみたくなったことなど、アトランダムに列挙してみる。
富山大空襲の被害の大きさは仄聞していたが、地方都市最大の被害だったとは迂闊ながら知らなかった。
軍需工場だけじゃなく、およそ海岸の工場地帯がターゲットだったのだ(アメリカ軍は空襲を予告したというが、実際は住宅街の被害が悲惨なものだった)。
富山には、日本三大寺子屋の一つ「臨池居」があった。
十字峡という黒部峡谷の秘境がある(冠松次郎らが発見)。
越中売薬の元である薬業は、立山(山岳)信仰に無縁でない。
映画『少年時代』のモデルとなった柏原兵三の『長い道』はいつか読んでみたい。
近世和算家の石黒伸由について調べること(彼は五十九歳から測量を始めて、越中・加賀・能登、つまり加越能三州の地図を作った。伊能忠敬の絵図は海岸線を中心だったが、伸由の絵図は内陸部のすべての町村の位置が記載されている)。
松村謙三や安田善次郎、浅野総一郎、横山源之助、稲塚権次郎のことを調べること。
林忠正や滝口修造のことを調べるべし。
小学生の頃、遠足で見学したという幽かな記憶がある、大境(おおざかい)洞窟や、朝日町不動堂で発見された全国最大規模の竪穴住居跡、さらには桜町遺跡や柳田布尾山古墳、小竹貝塚、杉谷古墳群、特に四号墳の「四隅突出型」古墳を調べること。
本書を読んで意外という意味でびっくりしたこと。それは、タカジアスターゼを発明した高峰譲吉は、発電事業計画をも手掛けたこと。
越中瀬戸焼と立山町、あるいは日本一の銅器生産地・高岡のこと、さらには五箇山での塩硝(硝煙)生産、そして井波彫刻について改めて。
加賀藩のドル箱だった「越中七金山」のこと。富山に金山があったなんて、初耳だ!
放生津に身を寄せた亡命将軍がいた! 足利義材(のち義殖)である。
前田利長の菩提寺・瑞龍寺の屋根はなぜ鉛葺きなのか。
などなど、ほかにも大伴家持や黒川良安など、改めて調べるべき人物が多い。
←竹島慎二編著 『富山県謎解き散歩』(新人物文庫 新人物往来社) 車中での待機に読み始めた。18歳で富山を離れた小生、地元富山のことを知らない。富山のことを知ろうと、いろんな本を読んだり、パンフレットの類に目を通したり、ネットやテレビ、新聞の情報を入手しようとしている。むろん、耳や目からの情報も。
相変わらず自宅では、モーリス・ブランショ 著の『来るべき書物』(粟津 則雄 翻訳 ちくま学芸文庫)を読み続けている。
ヴァレリー以後、最高のフランスの評論家との定評があるようだが、きわめて高踏的な、パセティックなセンテンスが続く。
嫌いではないが、好きにもなれない。
その世界に没入できないと、まさに眼前を乗れたら乗りたかった超高速の列車がホームに居る自分など一切、関知せずとばかりに行き過ぎていくのをただ茫然と見送るばかりである。
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コメント
東京では、ロッキングチェアを愛用されていたようですが、今は如何ですか?
富山と言えば、富山県立近代美術館の瀧口修造コレクションでしょう。
美術書、芸術哲学の本なんかは如何ですか。
美は、呼ぶもの、と語ったのは、中世の偽ディオニュソス。
貴婦人と一角獣と言う展覧会が東京では、開かれていて、中世美術の最高峰が観られたりします。
投稿: oki | 2013/05/29 22:30
okiさん
寒い間は、合皮カバーのリクライニングですが、暖かくなってくると、木製のロッキングチェアーの出番です。
瀧口修造のことは、以前より興味を持ってきています。
我が母校である富山高校の先輩ですし。
小生が初めてシュルレアリスムに関心を抱き始めたのは、高校二年の時の同級生の影響で(美術の先生の影響でもある)。
ダリやキリコなど。そしてフロイトへと関心が広がった。
富山県立近代美術館は、例の事件で圧力を受け、ヒヨッタことで、行くのをずっと躊躇ってきています。
投稿: やいっち | 2013/05/31 22:05