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2013/03/11

サンルーム欲しいな

 物干し台と聞いて、懐かしいと思う人は、ある年代以上の方だろう。まあ、東京には未だ、実際に活躍しているかもしれないので、懐かしいではなく、うまくすればここにありますよと、写真の一つも撮ってもらえるかもしれない。

Sscn2791

← 昨夏、縁側に付した網。雪の季節も去って(といいつつ、今朝もうっすら雪化粧していたが)、ふと内庭などを片づけていたら、蝉の抜け殻が網に張り付いているのに気付いた。中身の蝉は、一体、どこへ行ったやら。

 でも、知らない人には、何のことやらさっぱりかもしれない。物干しを「ものほし」と辛うじて読めるとしても、下手すると、物欲しげの「物欲し」と勘違いしたりして。
 ただ、物干しに台が付いている事で、洗濯物を乾かす場なのだろうとは見当が付くだろう。

 物干し台というと、今時の人が真っ先に思い浮かべるのは、洗濯物の干す棹と石の台のようだ。となると、やっぱり一昔前まで東京の下町などでは風物詩というか、当たり前のようにして見受けられたらしい物干し台というのは、馴染みではないということらしい。

 ネットで小生が思う物干し台の画像を探したが見つからなかった。
 隣家には二階に立派なサンルームも兼ねた(その実、西に向いているのが不思議だが)物干し場があるが、さすがに撮って紹介するわけにいかない。

 まあ、簡単に言うと、多くは民家の二階から出入りする、せいぜい三畳ほどの広さの今でならウッドデッキのようなスペースで、周りは腰の高さほどの木の柵が巡らしてあって、その柵を手摺代わりにできたもの。民家の屋根は当然のように瓦屋根。周囲を見渡すと、同じような作りの家々が軒を並べる。

 そう、「時間ですよ!」というテレビ番組を見た記憶のある人なら、実際にそうした物干し台に立ったことがなくても、すぐに物干し台のある家の光景を思い浮かべることができるだろう。「時間ですよ!」というのは、今は作家として活躍されている久世光彦氏演出のTVドラマである。森光子や浅田美代子、堺正章らが出演していた。「あの子は、どこの子。こんな夕暮れ…」と、浅田美代子が「赤い風船」という曲を音程を外しながら歌っていたものだった。
 今頃気づいても遅いだろうが、物干し台というより、(洗濯)物干し場と言ったほうが相応しいのか(書きながら、物干し台という言葉に違和感を覚えていた。物干し場のほうがいいのじゃないか…と)。 

 時間ですよの舞台となっている家の仕事は銭湯。時折、お約束の女風呂のシーンなどがあって、結構、楽しみだったものだ。当時は、気付くはずもないが、久世光彦氏は、東京生れだが、高校までは富山で育ち、大学は東京大学へ入られた(我が高校の先輩でもある!)。
               (中略)
 さて、やっと本題に入る。なぜ、唐突に物干し台が話題に出たかというと、過日、読了した本の中で物干し台が出てきて、とても懐かしくなったからである。その本とは、芳賀徹著の『詩歌の森へ』(中公新書)である。ならば、ちょいと調べてみたいと思ったのだ。といっても、小生は物干し台のある二階家の瓦屋根の家に住んだことはない。また、芳賀徹氏の名誉のために一言しておくと、氏は「時間ですよ!」には一切、言及していない。見る暇も、その気もなかったろう。

(「物干し台といえば」(04/01/19)より)


 こんな古い日記を持ち出したのは、春なのに、無条件に暖かさの到来を歓迎できず、杉花粉やら、PM2.5やら煙霧やらが飛来し、なんとも気鬱な春を迎えるようになっているからだ。
 洗濯物も、寒さが和らいで、いよいよ外に干せる! と思った瞬間、即座に、あれ、外に干していいのかな、埃やら花粉やらPMからが大気に交じっていて、うっかり気軽には干せない…。

 すると、隣家には立派な、サンルーム風の物干し場があるじゃないか!
 羨ましいが、簡単には真似できない。
 なんだか、これまた気鬱な春なのだ。


久世光彦著『怖い絵』の周辺
久世光彦・著『ベスト・オブ・マイ・ラスト・ソング』の周辺
久世光彦『時を呼ぶ声』から三好達治「土」へ
無言坂…早く昔になればいい

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