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2013/03/08

ツルゲーネフからゴンチャロフへ

 株価が順調に(あるいはバブル気味に)上昇していて、リーマンショック以前の株価を回復したとか。
 与党筋はもちろんだが、テレビなどマスコミも景気がよくなりつつあると、煽るような論調。
 現実はどうかというと、一気に円安に振れたせいで、ガソリンや灯油はもとより、輸入品や輸入に頼る原材料が多い商品が値上がり。

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→ ツルゲーネフ【著】『猟人日記抄』(工藤 精一郎【訳】 未知谷) 「本作『猟人日記』にインスピレーションを得てトルストイは『森林伐採』『三つの死』など、チェーホフは『葦笛』『猟兵』、国木田独歩は『武蔵野』、島崎藤村は『千曲川のスケッチ』を書き上げた。ありのままの自然と人間の姿を素直に知ろうとする自然主義文学がここから始まる」とか。そんなことより、ツルゲーネフの表現力の卓抜さ、ユーモラスでもある自然や人物描写を楽しむべし!

 上がって嬉しいのは、今のところ、気温だけである。
 昨日など、五月の陽気だった。

 車は、暖房どころか、クーラーを使うかと思い始めた。
 今のところ、窓を開けて、外気を取り込むことでしのげている。
 ただ、PM2.5や花粉、さらには黄砂の襲来と、せっかくの陽気なのに、素直に春の気分を味わえない。
 町中を行くと、マスクする人々の多いこと。
 3月になるとマスクする人の数は増えるのは、例年の光景だが、今までの花粉症対策ばかりじゃなく、今年は黄砂とPM2.5のダブルパンチで、ひたすら防御態勢である。
 春爛漫の陽気を楽しむはずが、鬱々として楽しまず、という風である。
 
 景気回復の実感にははるかに遠く、営業のほうも暇で、読書ばかりが進む。
 車中では、上平恒著の『水とはなにか―ミクロに見たそのふるまい (新装版)』(講談社ブルーバックス)を読了し、念のために持参した狩野博幸/河鍋楠美著の『反骨の画家 河鍋暁斎』(新潮社)をめくり始めた。
 暁斎は、小生、「ギョウサイ」と読んでいたが、違った(実際、ギョウサイとPCに打ち込むと「暁斎」と出てくる。PCの技術者もそのように思い込んでいるのだろう)。暁斎は、一時期、「狂斎」と名乗ったことがあり、読みも「きょうさい」が正しいのだという。
 その暁斎の画鬼たる世界の凄味。
 ひたすら息を呑むばかりである。

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→ 狩野博幸/河鍋楠美 著『反骨の画家 河鍋暁斎』(新潮社) 観るたび、知るたび、驚倒される、まさに画鬼・河鍋暁斎。こんな奴が活躍出来た江戸も凄い。「浮世絵師・歌川国芳に師事した後、狩野派で研鑽を積んだ「画鬼」暁斎。本格的な仏画から戯画まで何でもござれの売れっ子絵師として、八面六臂の大活躍!! 幕末から明治にかけての激動の時代を生き抜いた稀有なる画家の、波乱万丈の人生と多彩なる作品世界を余すところなく紹介し、その才能を再検証する!」だって。 著者の一人・ 河鍋楠美は、察せられるとおり、「河鍋暁斎の曾孫。1977年11月3日、自宅を改装して、河鍋家に伝わる画稿・下絵類を中心に暁斎とその一門の作品を収蔵・展示する河鍋暁斎記念美術館を開館」とか。

 さて、自宅では、ツルゲーネフ著の『猟人日記抄』(工藤 精一郎【訳】 未知谷)を読了した。
 自然主義の風だというが、そんなことより、逐一の描写の妙こそが素晴らしい。
 ロシアの広大な光景が目に浮かぶようだし、ツルゲーネフの骨太だがユーモアのある表現をこそ、楽しむべきだと思う。
 これは、小生が少しは創作に手を染めたからこそ、彼の表現力の卓抜さを思い知らされたのでもあろう。

 本書は、『猟人日記抄』とあるように、『猟人日記』からの抜粋。
 しかも、ホントに掛け値なしの抜粋だけである。
 本書には、ツルゲーネフについての紹介も解説も一切ない。
 確かに彼は世界的に有名だが、今時の人気は分からない。
 本書で初めてツルゲーネフの世界に触れる人だっているやもしれない。
 あまりに不親切ではなかろうか。小生のように、ツルゲーネフの小説の大半を読んでいて、改めて彼の世界を楽しむ、というのなら、本書の体裁でもいいのだが。

 ちなみに、本書には以下のようにあるだけ:

 本書は、長大ゆえか絶版久しい古典を親しみやすい形で提示しようと企画し、権利者の快諾を得て、編集部が10篇を選択し挿絵を添えたものです。興味を覚えられた方は、是非25篇の『猟人日記』をお読み下さい。  編集部

 肝心のツルゲーネフについては:

 1818~83年。19世紀ロシアの代表的な小説家。ロシア帝国の貴族。『猟人日記』は彼の出世作であり、地主や農民の姿をありのまま誠実に描いた本作によってアレクサンドル二世は農奴解放を決意し、国木田独歩や島崎藤村は自然主義文学を志したと言われる。

 物足りない、もっとツルゲーネフのことを知りたいという方は、「ロシア文学:ツルゲーネフの伝記」を覗いてみてもらいたい。
 長くはないし、それでいて読んでなかなか面白い。

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← ゴンチャロフ著『オブローモフ』(井上 満訳 決定版ロシア文学 日本ブック・クラブ ) 「革命前のロシアの知識人の一典型を描く。良心がありながら、自分からは何もしようとしない、何もできない人間像。ひょっとして、現代日本の人間像かもしれない・・・。トルストイやドストエフスキーの陰にかくれてはいるが、ロシア文学の傑作」だって。 (画像や情報は、「オブローモフ ゴンチャロフ 井上 満訳 決定版ロシア文学全集 日本ブック・クラブ - 古本うしおに堂」より)

 さて、ツルゲーネフを読了したことだし、いよいよ30年ぶりにゴンチャロフ著の『オブローモフ』(井上 満訳)を、今夜辺りから読み始める。
 小生の本作への思い入れなどについては、下記を参照のこと:
 『オブローモフ』にはまった頃のこと

 余談だが、「ロシア文学:ツルゲーネフの伝記」にもあるが、ツルゲーネフとゴンチャロフは、仲たがいしたとか:

1860年、ツルゲーネフは、文学仲間のゴンチャローフによって引き起こされた大きな不幸に耐えねばならなかった。当時ゴンチャローフは多年にわたって執筆中の労作「断崖」(1869)についてツルゲーネフとしばしば議論していたが、「その前夜」の趣向には、「断崖」からの剽窃がいくつかあるとツルゲーネフを非難したのである。3人の作家を判事役として非公式の法廷が開かれ、ツルゲーネフの潔白は証明されたが、激怒した彼はゴンチャローフ(彼のパラノイアはやがて病的なものとなった)に絶交を宣言し、以後2人の親密な関係が回復することはなかった。

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