梅が咲いたよ
いかにも農村だからこその風景であり、香りである!
必要に応じて、肥溜めから専用の桶のようなものに移し替え、田圃へ運び、柄杓で撒く母の姿を見かけた。
究極の地産地消!
やがて少しずつ、農家以外の家も増えてきたし、田圃や畑と国鉄職員との兼業が大変になっていて(地方転勤など)、肥溜めは潰された。
便所には昔風なぽっとんの肥溜めがあり、折々、汲み取り業者の車が来て、汲み上げていった。その一時は、匂いが籠って、世界が黄色く変色したかのようだった。
やがて世間並みに水洗トイレへ。
→ 瀟洒なる隣家の壁を背景に。
なんて、話を書くつもりはなかった。
一昨年は梅の実の収穫は悲惨なほど、乏しかった。
それが、昨年は喪が明けたとでも云うように、笊に一杯と豊作。
今年も、あの咲きっぷりからすると、たくさん実が生りそうである。
今年は梅の開花が早いのか遅いのか。
ただ、いずれにしても、もう三月の中旬である。
昔の、東京在住の日記を覗いたら、以下のようなものが。
日記の日付を見たら、一月の中旬!
← 尾形光琳『紅白梅図屏風』(紅梅図) (画像は、「ウメ - Wikipedia」より)
「梅は咲いたか」
数日前の真夜中過ぎだったと思う。小生は、とある公園の脇に車を止めた。用を済ませたけれど、小雨のそぼ降る冷たい夜で、月や星を眺めて心を静めることもできない。
それでも、雨が小降りなのをいいことに、公園の奥に足を運んでみた。 すると、何か赤っぽいものが枝に見える。梅だ! 驚いたことに、もう、梅が咲いているではないか。
でも、すぐに、驚く自分が迂闊なのかと、思い直した。梅の開花は早いのだ。今頃、すでに固くその身を閉ざしているはずの蕾が開き始めたって不思議はないのかもしれない。無粋な自分が気付いていなかっただけなのかもしれない…。
それにしても、冬本番は、まだまだこれからのはずじゃないのか。
なんて、思っていたら、公園の端を縁取るように植えられている椿も咲き始めている!
花たちは冬の最中にも春を予感し始めているのか。
東風吹かばにほひ起こせよ梅の花、と昔、誰かが詠った。
絹の糸のような雨が夜の底に降り続いている。深い夜の果ては、まだまだのようだ。けれど、凍えそうな体を何か、ほんのりとしたものが暖めてくれたような気がして、また、車に乗り込んだ。
(02/01/19)
→ 8年前に撮った梅の花。(画像は、拙稿「東風吹かば」より)
梅関連拙稿:
「天神様信仰と梅の花」(02/01/26)
「梅や殖やせや……花を!」(2008/10/28)
「梅は咲いたし飛行機雲は見たし」(2009/02/08)
「東風吹かば」(2005/03/07)
| 固定リンク
「富山散歩」カテゴリの記事
- 重慶の前に錦州爆撃があった!(2024.12.22)
- ぬるま湯の茹でカエル(2024.12.19)
- 黒blackと炎flameはみな同じ語源を持つ(2024.12.17)
- 竹にまつわるエトセトラ(2024.12.12)
- 水鳥たちはいずこへ?(2024.10.22)
コメント
梅、梅酒ですか。
うちの親戚が元気なとき、梅酒毎年仕込んでくれましてね。
うちの近くの公園の梅祭りは終わっちゃいましたが、まだ梅咲いてますね。
梅は咲いたか、桜はまだかいなと。
仙台の、若冲が来てくれました、展覧会招待券当たったのでついでに東北大見てきますよ。
美術のページにもコメントしてあるのでUPされたし。
投稿: oki | 2013/03/13 20:23
okiさん
いきなり梅酒ですか。気が早いですね。
まずは観梅です。
我が家も、小生、帰郷した年から毎年、梅酒、作ってます。
冷蔵庫の上に数瓶、鎮座してます。
それにしても、東京は梅の開花が一月なのが、富山は今頃なんですね。
若冲を観に、仙台へ。
羨ましい。
東北大のキャンパスなど、様子を教えてください。
投稿: やいっち | 2013/03/13 21:34