「アトムが飛んだ日」からタクシー稼業のこと
ネットをふらふらサーフィンしてたら、「10年後「なくなる仕事」は… web R25」という話題に目が留まった。
読んで字のごとしだが、「技術の進歩や様々な流行により、昔はなかった仕事がいくつも現れる一方、なくなる仕事もある。自分の今の仕事がなくなるとは考えたくもないが、とはいえ何が起こるか分からない世の中。いったい、どんな仕事がなくなる可能性が高いのか?」という問題意識。
← 田近伸和著『未来のアトム』(アスキー刊) 拙稿「田近伸和著『未来のアトム』を読了して」参照。
意外だったのは、会計士とか窓口業務。
なるほど思えば、証券業務ですら、インターネットが主流なのだ。
「今後、日本人の仕事として残り続けるのは、機械や外国人に代替されないもの。そのような意味では、機械にできないクリエイティブな仕事や、日本人の持つ細やかさ、おもてなしを必要とする仕事が該当する。このような背景もあってか、最近は、そうした「目に見えない価値」を重視する傾向が強まっているようだ。ただ、いくら自分の職種自体は存続しても、決して安心ではないようで…」と云われると、押し黙るしかない…のか。
さらに、「自分の仕事の未来を展望するには、今やっている仕事が、本当に自分しか担えないものなのか、改めて自問してみることが大事。自分にしか提供できない価値を持ち合わせておかないと、今後は厳しいということか」とまで畳みかけられると、将来、それも近い将来に展望がますます持てなくなる。
景気がいいとか悪いとか、そんな次元ではなく、仕事そのものが消滅の危機にある!
我が仕事であるタクシーについても、同様だろう。
一度ならず、お客さんに、近い将来、タクシードライバーなんて仕事は不要になるね。運転なんて、自動化されるんだし、などと云われたことがある。
→ 「今年は、マンガ、アニメーション界の巨匠、手塚治虫の代表作の一つである国産初の30分テレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』の放送開始から50周年にあた」るとか。(画像は、「特別展「鉄腕アトム放送50周年記念 アトムが飛んだ日」:練馬区公式ホームページ」より)
タクシー業は、運輸業移送業ではなく、サービス業だから、政治と宗教の話はご法度。しても、当たり障りのない一般論に留めるのが常識だし、大人の対応だろう。
だからというわけではないが、お客さんの意見に反論はしない。
反論できなかったから、なるほどねーと誤魔化した?
タクシーに限らず、車は路上を走る。
多種多様な乗り物や人が往来する。
それでも、コンピューターソフトなどの発達で、自動運転は徐々に始まっている。
衝突防止、居眠り防止、自動運転。
過日、ロボット革命というテーマのNHKの特集番組を見た。
日本も素晴らしく発達しているが、アメリカの発達ぶりに衝撃を受けた。
さすがに軍事のニーズがあるだけに、ロボット技術の進歩は安全保障のかかった命がけの営みだからと痛感させられる。
先般の福島原発事故、その対応を巡っても、放射能汚染されたエリアには、ヒューマノイドロボットの投入以外に現実的な解決策はないと、日本もだがアメリカも痛感し、個別対応の専門型ロボットからの路線転換を図りつつある。
← 京都駅のまん前には、京都タワー。右手前の像は、鉄腕アトムの雄姿。「京都へは野暮用で」参照。鉄腕アトムは、「21世紀の未来を舞台に、原子力(後に核融合)をエネルギー源として動き、人と同等の感情を持った少年ロボット」。手塚治虫も、放射能の問題には楽観的…それとも無頓着だったのだろうか。
車(タクシー)に限っても、自動運転されるか、さもなければロボットが代行運転する可能性もある。
介助ロボットが、家庭内のみならず、車についても、運転の代行をする。荷物の運搬も含めて。
実は、お客さんに、近い将来、タクシードライバーなんて仕事は不要になるね。運転なんて、自動化されるんだし、などと云われたとき、小生は、タクシーはサービス業なんです、ただ、お客さんを載せてドア・ツー・ドアで運ぶだけじゃなく、トランクへの荷物の出し入れの手伝い、お年寄りなど介助の必要な方の乗り降りの手伝い(見守り)、お客さんとの会話、などなど。
無論、挨拶など、人間的な関わりは基本だろう(そもそもタクシーにそんなものは求めない人もいるだろうが)。
実際、お客さんによっては、自分の行先すらまともに云えない人がいる(案外、多い)。
かなりアバウトな情報を告げるだけで、あとは運転手任せでどうにかなると思っているようだ。
それでも、運転手はない知恵を絞り、お客さんが何を云わんとしているのかを懸命に察しようとする。
目的地に着いて当たり前、間違えたら苦情を言われるだけである。
例の客に、近い将来の運転手不要論を弁じられた時は、せいぜい自動運転の差し迫った(?)現実化を考慮に入れて、いやいやタクシーはサービス業なのであって、ただの運送業ではないとの反論が可能だと思っていた。
自分への慰めもあったのか。
しかし、ロボット革命の特集を見て、サービス業の次元ですら、タクシードライバーの必要性・将来性は真っ暗だと思わせられた。
車自体の性能の向上で自動運転も視野に入りつつあるし、運転専門ロボットが開発されれば、生身の(愚痴の多い、、労使問題も発生しえる)運転手など雇わず、黙々と働く運転ロボットを導入したほうが、経費も安上がりだろう。
→ 自動運転は、当たり前の現実になるのか。 (画像は、「あめじゃむ ★電車のように連結されてレーザー誘導自動運転で走る自動車@Lasers-Guided Cars」より)
ロボットの発達に終わりなどないだろう。人間の我儘は、どこまでもロボットの性能の向上を求める。
どんなニーズにも応えられる、鉄腕アトムのようなロボットの登場。
そんな時代が近い将来、実現するとして、そもそも人間とは何なのか。
一部のエリート的タレントは、生き残るとしても、大多数の、少なくとも小生などは、生きる値打ちの皆無な存在となるのではなかろうか。
税金さえ払えば、あとは政府は関知しない存在。
あるいは小生などは、極端な低賃金で最低限のサバイバル生活を送り、やがて遅かれ早かれ野垂れ死にと相成るのだろうか。
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コメント
「ヒューマノイドロボットの投入以外に現実的な解決策はないと、日本もだがアメリカも痛感」 - 本当ですか?ヒューマノイドが厳密に何を意味するかは知りませんが、人工知能とは違うと理解しました。
そもそも自然科学の観点からすれば、各々の機能を分析して分類することでエンジニア―リングの発達があるので、そのまま人間風のコピーをロボットとする考え方は日本独自のもので、そこからは科学の発展は無い筈です。
なるほど早稲田の理工などの研究成果はその世界で評価されているようですが、本質的な発展にはあまり寄与しないと考えます。例えば自動走行システムにおいてもその基礎は確率論などの基礎研究にしか無い訳で、そうした基礎的な理論展開無しに情報の集積からサイコロ確率で判断するとなると経験による決断と言う不確定さが生じます。要するにロボットが何かを決断する時には必ず確固とした判断基準が必要になります。その判断基準は誰がどのように決定するかということになります。
投稿: pfaelzerwein | 2013/03/26 19:58
pfaelzerweinさん
ヒューマノイド型ロボットといっても、あくまで放射能事故により汚染された区域への投入という課題に向けた現実的な解決策としての方向性ですね。
現段階では(あるいは近い将来であっても、それがどういう理念だろうが)、ヒューマノイドの(一部の人がそれぞれ同床異夢的に思い浮かべている理想像であろうと)、完成に近づくとは思えません(誰も思っていないかどうかは分からないけど)。
問題は、放射能汚染された瓦礫の山の先(中)での、具体的な作業に適したロボットです。
それは、瓦礫をものともせず移動でき(階段を上り下りする、狭い場所へ屈んで、あるいは這って移動する、など体型を必要に応じて変化させる融通性という意味での人間型ロボットの有効性)、扉を開ける、コンクリートなどの壁に穴を開ける、扉の取っ手を回す、故障を直す、などの課題に応えられるロボット。
その際、離れた場所(安全な場所)から人間が指示する、乃至、監視する、という前提(制約)を今のところ離れてはいないと思われます。
自動的に移動可能な車にしても、車道に監視装置を張り巡らす形で設置し、衛星からのナビ情報も前提に、ある意味、所詮は遠隔操作に近い(ただ、乗っている(運転している)人間には自動操縦モドキに映る)だけのことだろうと思われます。
要は、科学者や技術者が想定しうる状況(に対処する方策)をコンピューターに打ち込んでのソフトで、従前よりは遥かに高度ですが、人間が生き行動する際に使っている知能とは実際には程遠いと思われます。
「ロボットが何かを決断する時には必ず確固とした判断基準」でしょうが、現段階では、リモートコントロールに毛が生えた次元で、判断基準というより、最終的操作基準は、管理者の決断に拠ると思われます。
それでも、車については、見かけ上、人間が運転操作に携わらずに済むわけで、当面は高速道路では人間はハンドル(アクセル)には足も手も出さないことになるのかもしれません。
なお、NHKスペシャル 「ロボット革命」については、下記が参考になるかも:
http://www.nhk.or.jp/special/eyes/23/
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-b492.html
投稿: やいっち | 2013/03/26 20:38
リンクを拝見しました。大分実際とは異なった見解のように思いました。私のBLOGにも過去に研究者からのコメントもありましたが、階段を上り下りなどの技術は矢張り日本のものだったと思いますが、今回の福島では強い放射線で機能しなかったのは外交筋からも聞きました。なるほどロボットがその場で判断をすればリモートコントロールする機能は必要ないのですが、有線もしくは無線の情報伝達以前にマイクロチップ内の放射線の影響があるので、一概に遠隔操作の問題ではないのです。
つまり鉛で重装備しているかどうか、重いものを動かせる小さな駆動部があるかどうかの工業技術的な堅牢さの相違です。恐らくドイツの工業技術などの方が軍事を含めて重要でしょう。それは、器用に人間の動きを真似る介護ロボットなどのアイデアとは機能性が全く異なります。
それに関連すれば、自動車の自動航行システムは決して遠隔操作次元ではなくて、未来予知・事故予知の基礎研究から演繹されて実用化されています。ですから、NHKが語るような内容は事実を正しく伝えていなくて、引き続きデマ放送を繰り返しているに過ぎません。
投稿: pfaelzerwein | 2013/03/27 06:23
pfaelzerwein さん
「放射線は生物だけでなくコンピューターにとっても有害であり、コンピューターは放射線を浴びることによってソフトウェアがエラーを起こしたり、半導体としての機能が失われたりする。人工衛星は宇宙空間で被爆することを前提として高い放射線耐性のあるシステムで作られている。ロボットが放射能漏れを起こしている原子炉内部で作業する場合にはコンピューターが放射線で破壊される危険であり、特殊な放射線耐性を持った電子機器でなければ正常に動作できない」とか。
番組の中では、人間には危険だけど、ロボットは放射能に影響を受けるか否かについては、一切、言及がなかったようです。
但し、放射能耐性のある構造にするため、何らかの方策は必要でしょうね。
ただ、いずれにしろ、守るべきは電子回路部分で、大部分の図体は(汚染はされるとしても)守る必要はないし、そもそも放射能を恐れないのがメリットなのでしょうね。
テレビでは、アメリカのロボット(人間型も含め)が紹介されていましたが、アシモよりずっと機能性が高いと実感させられました。
瓦礫どころか、もっと厳しい場所も問題なくクリアーしていた。
まるでターミネイターに登場するロボットのよう。
「自動車の自動航行システムは決して遠隔操作次元ではなくて、未来予知・事故予知の基礎研究から演繹されて実用化されています」ってのは、小生のようなドライバー稼業のものには、それこそ脅威。
本稿を書いた動機も、まさにそこにある。
タクシードライバー(トラックドライバーなど)なんて職業は不要になるのでしょうね。
投稿: やいっち | 2013/03/28 21:30