我が家の守り神・杉の木との別れ
木曜日、とうとう我が家のシンボルとも云える大きな杉の木を断ち切った。
好き好んで伐採したと¥わけではない。
木の幹が縦にスパッと割れていて、今にも倒壊しそうだったので、やむなく切ったのである。
← 枝葉の半分だけが残る杉の木。
残ったのは、杉の木の幹の土台部分の一メートル余りだけ。
これは、竹垣の柱(杭)として使うため、意図的に残した。
杉の木の幹が縦に亀裂が入ったのは、偏に小生のせいである。
3年前の10月、台風18号の風で、台所の脇にあった大きな杉の木が、幹の中途で折れ、上半分が隣家の居間の窓辺へ倒れかかるという事件があった。
当然、すぐにも杉の木は、やはり土台部分の一メートルを残して伐採した。
その時、我が家の庭の樹木の健全性を改めて見直してみた。
その結果、すぐに倒れるという心配はないものの、微妙に大きく捻じ曲がって育っていた、やはり我が家のシンボル的存在だった松の木が危ういことを認識せざるを得なかった。
松の木は(杉の木同様)、強風が吹き荒れると、松葉(杉の枝葉)が隣接する車道にバラバラと舞い散り、路面や車道の反対側の家の庭などを汚した。
さらに、この松の木は、枝葉が隣の蔵にしな垂れかかり、雪が降ると、松の枝葉が蔵の屋根の雪が落ちるのを堰き止めることがあった。
→ 今度ばかりは小生の手にあまり、業者に作業してもらった。かなり枝葉が断ち切られた。伐採は、職人の手作業だが、巨大な幹はユニック(クレーン)で持ち運ぶ。
さらにこの松の枝葉は、車道上の電線に触れ始めていた。
杉の倒壊の件もあり、松葉の被害を最小限に食い止める意味もあって、20メートルほどの松の木を上方の数メートルを断ち切り、枝葉も思いっきり伐採して、すっきりしたものに姿を変えさせた。
その時、まさに問題となった杉の木についても、手を加えることにした。
大きな杉の木は、我が家の南西角に位置し、こんもり茂った枝葉は、電線に触れかかっていた。
杉の幹を見ると、皮が一部、剥げ始めている。
台風で幹が折れた台所脇の大きな杉の木の惨状が脳裏をよぎらないはずがない。
大きな杉だけに、茶褐色となった杉の枝葉が風が吹くたび吹き千切られ、周辺に散在する。
松の木の松葉と杉の枝葉の掃除は、風が吹き荒れた翌日の日課のようになっていた。
まあ、それだけで済めばいいのだが、やはり、電線に触れそうというのが対策の必要性を迫られた大きな理由だった。
といって、二階建ての家の屋根より高い、我が家のシンボル的な杉だけに、上方の枝葉をすべて断ち切る、という決断は下しかねた。
なので、車道や隣家との間の小道に圧し掛かる部分の枝葉、結果的には杉の木の枝葉の半分を断ち切ることにしたのである。
これがまずかった。
← 手前の大きな杉の木の枝葉が揺れて、2メートル離れた杉の木の枝葉や幹も擦られて、とうとう裂け目が入ってしまった。2本、一緒に枝葉を伐採。
直径が50センチほどの幹だが、その半分には、枝葉が皆無になり、残りの半分に枝葉がこんもりと生い茂っている。
つまり、幹の半分に杉の木の枝葉の重みがすべて、圧し掛かっていることになってしまった。
風が吹くたび、残った枝葉が揺れる、雨や雪が降れば、一層、増した重みが幹の半分に圧し掛かるわけである。
そして……とうとう幹が縦にスパッと断ち切られる日が来た、というわけである。
あるいは、徐々に罅割れていたものが、過日の数十センチの降雪の際に、最後の留めとなって幹を引き裂いたのか。
気が付いたのは、十日ほど前:「雨の話…どころじゃない!」
在宅の日は、雨だろうが雪だろうが、とりあえず、一回は家の周りをぐるっと見て回る。花が咲いていれば、写真に収めたいという思いもある。
その日も、雪が降っていたのだが、小降りだったこともあり、竹箒を手に、庭木に積もった雪を払い落としながら、庭を見て回った。
→ 伐採され、残された杉の木の幹。罅割れの痕跡が根元近くまで。年輪を数えたかったが…。杉の木を1メートルあまり残したのは、竹垣の杭にするため。
そして、件(くだん)の南西角の大きな杉の木を見上げた途端、思わず息を呑んだ。背筋がゾゾゾと来てしまった(恐らく、いつかはこういう日が来ると予感していたのだろう)。
幹の半分は枝葉がないので、すくっと立っているだけだが、枝葉を残してあるほうの幹は、吹く風にユラリユラリと揺れている。
小生は、発見した瞬間、この我が家のシンボルでもある杉の木は、その日のうちに倒木すると直感してしまった。
それから、知り合い(近所の方、親戚などなど)に相談して回った。
最初は、近所の何でも屋(便利屋)さんに断ち切ってもらおうと思った。
実際、この大きな杉の木の枝葉の半分や松の木の天辺を伐採してもらったのも、その便利屋さんだったのだ。
が、折々、仕事はないかと見て回り、たまたま庭仕事していた小生に声を掛けられ、作業を頼んだのだが、店がどこにあるのか、連絡先は何処なのか、確認しておかなかった。
近所らしいという話だったので、自転車を駆って探して回ったが、とうとう見つからずじまい。
← 業者のトラックに載せられた哀れな杉の木。これがお別れ。
窮した挙句、電力会社にも打診した。
枝葉が電線に架かりそうだったら、その枝葉の伐採をやってくれるから。
が、生憎、既に断ち切った、電線や車道に接するほうの枝葉だったら、作業してくれたかもしれないが、今回は、車道や隣家や電線には面していない、北東の方角の枝葉、ということで、すげなく断られてしまった。
とうとういろんな人に相談した挙句、ある知り合いが造園業の方を知っているということで、紹介してもらい、ようやく木曜日の伐採作業に至ったわけである。
今回の杉の木や松の木は、我が家のシンボル的存在だったというのは、我が家が建った頃、一緒に庭に防風林的役割を担うことを期待して植えられたもの。
樹齢は半世紀どころか、少なくとも我が家と同様、成って60年は経っている。
→ 断ち切られる前の杉の木。幹に縦に亀裂が入っているのが分かる。
一昨年、父母が亡くなった。
父母に続くように、キウイの木、松の木、杉の木などなどが倒れていき、風呂(ボイラー)や水道がダメになり、襖や畳がダメになり、二口コンロが不具合となり…気がつけば、小生一人……となるのだろうか。
「雪の季節の終わり…庭木の惨状」
「3本の杉の木を断ち切った(後編)」
「富山は裕福な県?」
「杉の木が倒れた」
「雨の話…どころじゃない!」
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コメント
失礼ながら、伐採に幾らかかりましたか?
うちの庭は手入れして貰うと8万位取られますね。
シンボル的存在だった杉の木ですか、なくなって寂しい?
うちの隣の老人も、おたくの柿の木は渋柿だから、切っちゃったらと勝手なこと言うんですよ。
弥一さんは、隣家から何か言われたことは?
東京もだいぶ暖かいです、春ちかし。
投稿: oki | 2013/02/01 23:03
okiさん
今回の作業の請求書、まだ届いていません。
ドキドキものです。
近所の方は勝手なことを云いますね。
落ち葉がひどいから切れ、と云われて切った木もあります。
寒暖の差、激しいですね。
東京、今日は20度で、明朝は5℃だとか。
富山も、今日は暖かだったけど、今夜遅くには氷雨が雪になるかも、だって。
投稿: やいっち | 2013/02/02 22:07