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2013/02/05

ルーツへの旅

 始原を巡る旅、始原へ遡る探求が好きである。
 川を観れば、その源流を求めてみたくなる。
 宇宙の始まり、太陽系の始まり、地球の誕生、生命の誕生、細胞の誕生(原核細胞、そして真核細胞への飛躍的進化)、恐竜や鳥類の栄枯盛衰、哺乳類の誕生、人類の誕生、現生人類の誕生、そして日本人の誕生、心が生まれたとき…。

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← 斎藤 成也【著】『 DNAから見た日本人』(ちくま新書) DNAから見た生物、人類、そして日本人の来歴を問うってのは、実に興味深いテーマ。新しい本は見当たらなかったので、とりあえず、本書で一服。日本は、人類にとって、それ以上は、太平洋が壁となる、吹き溜まりの国なのだ。日本民族の多様性には驚かされる。

 日本人(日本民族という表現は、やや抵抗がある)の成り立ち、淵源を探る本は、目がない。
 ルーツが気になるのは、人間の性(さが)なのか。

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 ということで、斎藤 成也著の『 DNAから見た日本人』(ちくま新書)を読了した。

 悲しいことに、仕事が暇なもので、本書を二日も要さずに(仕事中に)読了してしまった。
 必ずしも新しい本ではないのだが、読み漏らしていたので、この際にと。

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→ 崎谷 満【著】『新日本人の起源―神話からDNA科学へ』(勉誠出版) 何年か前に読んだ崎谷満著『DNAが解き明かす日本人の系譜』(勉誠出版)だったが、既に新刊が出ていた。

 日本人は日本人(日本)について語るのが好き、語られ(論じられ)る本を読むのも好き、とか。
 本当だろうか。
 本当だとして、日本人だけの現象(性向)なのだろうか。
 欧米の人だって好きだろうし、中国や韓国など、アジアの人、あるいはアフリカの人々だって彼らの淵源を探求する試みは、恐らくは好きな話題なのだと思う。

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← 篠田謙一著『日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造』(NHKブックス) 拙稿:「「日本人になった祖先たち」の周辺」参照のこと。

 日本民族という表現や捉え方は好きではない。
 まるで単一民族であるかのような印象(誤解)を生じかねない。
 そんな単純な成り立ちではないと思うし、実際、東洋の果て、アジア大陸の最果ての地であり(極東)、良くも悪くも吹き溜まりの国家なのだ。

 北方から大陸から(朝鮮半島を経由したり、直接だったり)、東南アジアから、あるいは中東やインド、チベットなどから渡ってきて、土着した人々もいたのだし、先住の人々とほとんど混じることなく、由来の痕跡を残していたりする。

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→ 『ここまでわかってきた日本人の起源』(産経新聞生命ビッグバン取材班【著】 産経新聞出版) 拙稿:「『ここまでわかってきた日本人の起源』をどう読むか」を参照のこと。

 さて、斎藤氏は「私は生物の中でも特に、人間の進化に興味を持っていて、進化の中心である遺伝子の変化について調べてい」るという。
 さらに、「具体的には、人間の遺伝子と、もっとも近縁な類人猿や霊長類の遺伝子との比較が主テーマです。また、アジアを中心とした遺伝的近縁関係の解析や、遺伝子進化を研究するためのソフトウェアの開発を行なってい」るとか(「遺伝子で探る日本人の起源 斎藤 成也 氏」より)。

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← 崎谷 満【著】『DNAでたどる日本人10万年の旅―多様なヒト・言語・文化はどこから来たのか?』((京都)昭和堂 ) 拙稿「『ここまでわかってきた日本人の起源』をどう読むか」や「崎谷 満著『DNAでたどる日本人10万年の旅』!」を参照のこと。

 日本人の祖先については、「大昔は大陸と陸続きだったことから、1万−3万年以上前、ユーラシア大陸から来た人々のDNAが、われわれとつながっていることは間違いないとされてい」るとして、その上で、「縄文人がベースとなって、そこに大陸から来たさまざまな遺伝子がミックスされたのではないかと考えられる」という(「遺伝子で探る日本人の起源 斎藤 成也 氏」より)。

 また、「沖縄の人とアイヌの人が本土の人よりも、骨の形や顔つきなどに共通性があり、DNAも意外と近いのではないか、と考えられているのです」という(「遺伝子で探る日本人の起源 斎藤 成也 氏」より)。

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→ 堤隆 著『黒曜石 3万年の旅』(NHKブックス No.1015) 拙稿「堤隆 著『黒曜石 3万年の旅』」参照のこと。

 先にも書いたが、日本列島は、アジアの東、極東の地である。
 吹き溜まりの地なのだ。
 恐らくは多様な淵源を持つ人々が、今もそのルーツの痕跡を失うことなく生存していると思われる。
 もっともっと大規模なDNAの調査を、日本のみならず、アジアのみならず、世界において行われることを期待する。

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← 溝口 優司【著】『アフリカで誕生した人類が日本人になるまで』(ソフトバンク新書 ソフトバンククリエイティブ) 拙稿「始原への旅」参照のこと。

 本書にも書いてあるが、世界は多様なルーツを持つ人々がいるのは間違いなかろうが、世界の人々の交流が進むことで、どんどん多様性を失っていく。
 日本人も、単一か多民族なのかは別にして、その文化的特異性、独自性をいつまで保てるのか。
 言語も民族性も文化も、違いがあっても、徐々に個性が溶け去っていく。
 調査・研究は喫緊の課題に思えるのだ。

斎藤成也氏関連サイト:
斎藤成也のホームページ - Saitou Lab - 国立遺伝学研究所:「Home Page of Saitou Naruya (Sayer)
遺伝子で探る日本人の起源 斎藤 成也 氏


関連拙稿:
居眠りには読書だ…『日本人の起源―古人骨からルーツを探る』
始原への旅
「日本人になった祖先たち」の周辺
『ここまでわかってきた日本人の起源』をどう読むか
崎谷 満著『DNAでたどる日本人10万年の旅』!
堤隆 著『黒曜石 3万年の旅』

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