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2013/02/13

年縞の話に興味津々

 過日、テレビの番組表を見ていたら、「湖に眠る奇跡の堆積物 」( サイエンスZERO)なるメニューがあった「 サイエンスZERO」は小生のお気に入り)。
 家事がせわしく、いつ見ることができるか分からない、でも、興味が湧いたので録画。

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→ 「三方五湖俯瞰」(2005年11月8日付でラムサール条約指定湿地に登録されている。水月湖は、「五湖中最大の面積」を誇る。きっと観光客が一層、押し寄せることだろう。汚れないように祈るのみ。) (画像は、「三方五湖 - Wikipedia」より)

 そもそも、奇跡の堆積物って、何だ? 見つかることの叶わなかったお宝? でも、これだと埋蔵物か何かで、堆積物という表現は使わない。

 番組の案内だと、下記のよう:

福井県の水月湖。ここに、世界の歴史教科書を書きかえるほどの「お宝」が眠っています。
それは世界でも類をみない、7万年分もの堆積物が織りなす、鮮やかな縞模様。年輪のように1年1層ずつ成長するため、古代の気温や降水量など、地球環境変動の歴史を、年単位で読み解くことができるのです。さらには、アメリカマヤ文明衰退の原因や、人類発展の歴史まで!
昨年、科学雑誌「サイエンス」で紹介され、世界中の研究者が驚嘆した「奇跡の堆積物」。そこからひもとかれる無限のロマンをお楽しみ下さい!

 つまりは、「年縞(ねんこう)」(縞(しま)模様のある堆積物)の話らしい。これは見ないわけにいかない。

 昨日、やっと見ることができた。

 この番組が編まれたのは、「水月湖でのボーリング調査に参加している中川教授らが文部科学省で発表。米科学雑誌サイエンスにも10月19日号で発表した」など、以下の事情によるらしい(「2012年10月19日」の記事):
水月湖堆積物が年代測れる基準に 5万年前まで世界の化石測定可能 社会 福井のニュース :福井新聞」:

ラムサール条約に登録されている三方五湖の一つ水月湖(福井県若狭町)の湖底堆積物からデータ収集をしている中川毅・英ニューカッスル大教授ら日欧の研究グループは18日、化石など古い物体の年代測定が数百年単位で精密にできるようになったと発表した。5万2800年前までさかのぼることができ、世界のどこで採取された化石でも精密な年代を測定し、過去の気候変動も調べることが可能な“物差し”が出来上がったとしている

 この中で、やや気になる記述がある。
「化石など古い物体の年代測定が数百年単位で精密にできるようになったと発表した」とあるが、誤差が百年単位なら、これまでの方法(放射性炭素同位体)でも可能だったわけで、これじゃ、あまり意義が感じられない。

年縞の発見で、細かな年代測定が可能に - WEB講義 - 環境goo」(この頁には、研究の当事者である中川毅・英ニューカッスル大教授自身による話が載っている)によると:

 90年代になるまで、文書記録以前の時代の年代測定には、放射性炭素同位体という方法がとられていました。けれども、この年代測定法では、統計上の誤差が±50年から100年もあるという欠点がありました。50年、100年の間に歴史は大きく変わってしまうことがある。私は、気候の変動が文明を変えるという説を唱え続けていたのですが、放射性炭素同位体の測定方法では、誤差が大きすぎ、気候と文明の正確な関係を捉えられないと長い間悩んでいました。

 ところが、91年に、私は福井県の水月湖の湖底で年縞を発見し、この悩みを解決することができました。水月湖のボーリングは、水深35メートルの湖底で行い、78メートルの連続した堆積物を得ることができました。
 その堆積物からは、連続したバーコード状の縞模様が発見されました。その縞模様は、春から夏にかけてケイソウが繁殖してできた白い縞と、秋から冬にかけて粘土鉱物が堆積してできた黒い縞が一つのセットになってできていました。つまり、年輪と同じように、1つの縞が1年の時間を表しているわけです。年縞の中には、花粉、ケイソウ、プランクトン、粘土鉱物、あるいは大型の植物遺体まで含まれるため、気温や水温だけでなく、植生の変化、海面の変動、洪水や地震の回数まで復元できるのです。


 そう、水月湖の特に湖底は、「硫化水素を含む無酸素の汽水」といった、堆積物を巡る好条件が揃っていたのである。
 過去数万年の昔に至るまでの気象変動(地球の環境変動)の様子などを年輪年代法(「年輪年代学 - Wikipedia」参照)のように、一年単位で確かめることが可能になったのだ。

 小生は、福井県の水月(すいげつ)湖をこの番組を通じて初めて知った。
 そもそも「ラムサール条約に登録されている三方五湖の一つ」なのだった!

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← 「水月湖」(三方五湖)

 なるほど、番組を視聴して、水月湖(の堆積物)の意義は小生なりに理解できた。
 番組でも伝えられているように、歴史の教科書の内容も大幅に書き換えられる可能性が大である。
 ただ、最後まで疑問なことがあって、ちょっと欲求不満気味だった。
 それは、なぜに水月湖なのか、である。
 海にしろ、湖にしろ、川にしろ、何処にだって堆積物はあるじゃないか。
 その中で何故、水月湖なのかを知りたい。
 その疑問に答えるように、番組の最後に謎解きしてくれた:

中川教授は、水月湖に保存状態の良い年縞ができた理由として、直接流れ込む川がなく大水で混ざることがなかったことを挙げた。また、周囲が山に囲まれているため強風で大波が立たず、湖底に酸素が行き届かなかったことから、生物がすまずに砂をかき回すことがなかった点も指摘。「良い条件がそろっていた。水月湖が地質学的に過去5万年の標準時になる」と述べた

 但し、5万年ではなく、水月湖には7万年分もの堆積物があるという。


関連サイト:
原子力事業本部 -第13号 水月湖の年縞(若狭町)- [関西電力]
年縞の発見で、細かな年代測定が可能に - WEB講義 - 環境goo

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